思案
次の章に向かう為の話です。
この話が終わったら、いよいよ新章に入ります。
少しごたごたしてしまってますが、ここでの由紀の心境と言うのと理解と言うのは、現状とても大切な事になります。
その事を伝えられたらと考えて頑張って書きました。
数十分移動して、TLSの内部にあるらしい衣装店と言う場所に来た。
ここは、ビルだと五階に位置する様で、窓の外の景色がハッキリと見える。
そんな衣装店に来た僕は、アリスに引っ張られてとある入り口に連れていかれる。
「あの、入り口ってあそこなんじゃ?」
僕が言ったのは、ショーウィンドウが並び、今でこそ人は少ないが、何人かが荷物を持ち出入りしている所だ。
それに、メインの通路に接しているし、現実世界でも着れるような服が並んでるのも、その出入り口付近だ。
「は? あんた、その上から着る訳? そんなの明らかに服に関して知らないからでしょ? ますはインナーからよ」
そう言って、背中を押されて入ったそこは。
色とりどりの、下着が並んでるそんな空間。
フリル付きや、リボン、それに面積が小さいやつまで。
「はわわ」
「何紅くなってるのよ。あんたも女でしょ。ほらさっさと探すわよ!」
俯きながら彼女を追う。
ちょっと待って。流石にこっちでは女だけど、中身男なんだよ? 分かってる? 向こう戻ったらきちんと男性なんだよ?
「で、あんたカップ数とか、スリーサイズは?」
「ええっと」
分かる訳ない。
そもそも、わかっている方がおかしいんじゃ。
「っと、そうだったわね。ちょっと待ってね。店員さん!」
そう店の奥に声をかけると、返事も無くすらっとした女性が来た。
茶髪のロングで、身長は165を超えている感じがする。
しかも白いシャツに黒いベスト、黒いパンツと言う、何だろう? そう、高級レストランに居そうなそんな女性だ。
綺麗な人だな。
「彼女、自分のサイズも分からないの。測ってもらえる?」
「お連れさんでしょうか?」
「関係ある?」
「はい」
淡々と話している二人の会話に入っていけない僕はただ行く末を見守る。
「……はぁ。連れよ。で測ってくれるの?」
「お連れ様でしたら、ご一緒に記録を残せますし、何より今後利用する際に、双方の記録を参照できます。もちろん止めることもできます。これはプレゼントとかに利用できますが、どうしますか?」
「そうね。そうゆう事ならお願いするわ」
「わかりました。ではそちらの方ついてきてください。お連れの方は、後程お呼びいたしますので、店内を見て回ってお待ちください」
少し入り組んだ所に案内され、その場所には何室かのフィッティングルームがあった。
一番奥に案内されて、中に入るとカーテンを閉められる。
「少しお待ちください。担当が変わりますので、それまでの間に右手側にある端末に身体情報を記録しておいてください」
「あ、あの! どうやって記録するんですか?」
確かに右手側に、エアータオルの様な機械が取り付けられているが、使い方が全く分からない。
「使い方は簡単です。正面に鏡がありますが、そこの左手側に認証パネルがあります。そこに手を翳した後に、鏡の前で下着姿になると、頭上のランプが緑色に点灯します。その状態で、一回転をしていただくと、測定され、測定結果がアクセス機に転送されます。転送が完了すると、それぞれの鉱石の色が弾けますので、確認したら右手の機械にアクセス機を翳していただけたら完了いたします」
「わかりました」
「それでは」
そう言われたのち、遠ざかる足音が聞こえて一息つく。
そう言えば僕こっちの世界で自分の事確り見たことなかったな。
下着姿と言っても、ほぼほぼスポーツウェアみたいなものなので、気にせずに鏡を見る。
っセミロング位の茶髪に、幼さの残る顔立ち。胸は程よく膨らんでいて、ウエスト周りは細くなっている。軽く捻っておしりを確認すると、程よくいい感じでもあって。
あれ? 何だろう? 自分の身体なのにそのなんというか。
心拍数が上がってるのが分かって、顔が熱くなるのを感じる。
「いけない! よこしまな考えが浮かぶ前に、済ませよう!」
左手の所を見ると、透明に反射しているパネルがあり、そこに手を翳す。
店員さんに言われた通り、頭上のランプが点灯し、そのまま一回転をすると、右手のブレスレットから紅い光が弾けたので、機械に翳す。
『確認。鏡由紀様の身体情報を登録。承認。以降、TLS内の衣服店では情報を開示するだけで確認ができるようになります』
その音声を聞き意識を今後の事に向ける。
そうしないと、なんと言うか、元が男性だから無いものの感覚でかなりやばい精神状態に陥りそうで。
やっぱり中身まではまだまだ変わるのには時間かかるな。
自責の念らしきものに駆られてはいるが、頭を振ることで思考を変え、考えに耽る。
僕は前回の戦いでは何も出来なかった。
言われたことに背き、錦戸さんに迷惑をかけ、アリスに助けられて、危うく死にかけた。その時にはエルの力を使ってはいたけど、それも出ただけであって、いまいちよく分からなかった。
人の感情により成長をしていく鉱石。
七光鉱石は、全て一つの鉱石から意志を持ち、変化を起こしたと言う物。
構成式は? と言う点は多分問題ないんだろう。
ヨシュアさんが見せたピンクの輝きと、青色の澄んだ粒子。それは同系統と言うよりも、同名を関するものに近いと感じた。
つまり、僕たちの持ってる七光鉱石は、成長すると言うよりは変化すると言う事になるのではないだろうか?
その変化とは?
化学式に関する変化と言うよりは、そう人と同じで、衣装を変えたり髪形を変えたりするようなそんな感じに近いのかもしれない。
僕の場合はルビーとして鑑定可能な絶対的構造を残しつつ、各ルビーを関するものに僕の感情を元に付け替えていくんじゃないのかな?
もしそうだとすると、始まりの、今ついてるルビーは何も無い僕自身の現われであって、エルは、この世界の素の、本当の純粋な力だという事になるんじゃないのかな。
「そうだとしたら、ヨシュアさんのは気持ちと言うよりも理念に反応して、雄二さんのは、多分罪悪感に該当したため、グラムと共鳴できた? あの時のエメラルドの少女は、それ単体に見えたけど、それは他のに変わる意味が無かった。折れた刀を手放すのにも意味があり、それはつまり」
彼女は、一つの結果を自分で導き出し、ヨシュアさんは力よりも想いを選び、雄二さんは過去を見ている。
それぞれの効果、性能は全く違うし、七光鉱石と言う性質が成長していると言う事は、それは武器にも影響を与えると言う事。
「つまり、僕はやっとスタートラインに立てたうえ、覚醒と言う物を発現出来るほどの何かが存在していた?」
そうなると、僕の中の切っ掛けと言うのは。
「理想」
これしか思いつかない。
全てにおいて、理想を元に動くはずだ。
こじつけかもしれない。絶対悪は存在するのか? そう聞かれたが、その時も今もそれは存在すると思う。でも、それは片方から見たわけではなくて、本当に行ってはいけないことを指すのであって、同時にそれを裁き、更生させるようなそんな理想や救いがあってもいいとも考えていた。
そう、現実では明らかに無理がある。人の精神はもろいから。
それでも、何度でも助けたいと言ってくれる人がいたならば。
罪を犯す前に助けてくれる人が居て、全力で向かってくれる人が居れば。
罪を断ってくれる、悪いものから遠ざける人が居てくれたら。
「そうか、だから」
僕のは『断罪』と言う絶対的力が備わっていたんだ。
理想に共鳴し、境遇に対して同調して、彼女、エルが僕を選んだ。
だからこそ存在していた。
一番親和性が高かった僕だったからこそ、覚醒を可能にし、共鳴を起こせたんだ。
そして、見にくい憎悪も含めて。
憎悪が斬り離れたのは、彼女のおかげだったのかもしれない。
いかがだったでしょうか?
由紀自身も少しずつ自分の持つ『力』に向かい合い、その意味と言われた事を自分の中で答えを出そうとしてます。
今できる事、その人にしかできない事は誰にもわかりません。
ですが、その人が持っている物には必ず理由があるはずです。
それは、この由紀にも同じことが言えて。
自分で見つけることは大変ですが、由紀のように嫌味を言われたと言うだけで終わらせず、自分の中で経験として受け取れたらと思い書きました。
次回からは、アンダーグラウンド編から新章に向かう回になっていきます。
後日談は、買い物に行く、再会、経験、教えと言う事がメインで、由紀の内面や考え、まだまだ不足な所もありますが、初めの何も知らない時から見たら、少しは成長してると感じてもらえたらと思います。




