ヨンハとマリア、ヨシュアの決着
これで、アンダーグラウンド編が終わりになります。
次回からは後日談になっていきますので、どうぞ楽しんでください!
瓦礫を飛び越えながら、ザクロ色の粒子が集まってるところを目指して進んでいく。
粒子に近づくにつれ、沢山の人型の黒い模様が辺りに多くなっていく。
これは、この先にいる人に盾にされたのかな?
そう言うのも、集まり方が扇型になっているからだ。そして、頭だと思われる跡はすべて粒子の方に向かって映っているから。
もしこれが全てと思うと、この先に居る人の感覚が分からなくなるが、その中で一つだけ感じることがある。
シンさんがあの性格ならば、この先に居る人は何か理念を持っている筈だ。
そして、賛同した人たちが盾になったんだと思う。
街中ではぐれた人はそんなに強くなかった。
強くなかったって言うのは間違いかもしれないが、ここで倒れた人たちは錦戸さんやクリスさんの攻撃に向かったと言う事。
無理やりの可能性もある。でも、この影たちは、誰も逃げた体勢ではなかった。全てそこで耐えるとそんな意志を僕は受けていたんだ。
「この先に誰が居るんだろう?」
そう考えていると、視界の端で何かが光り、とっさに身を捻った。
捻ったすぐ横を、ザクロ色の粒子の線が通り過ぎる。
「見つけたよ! 七光鉱石の持ち主!」
低い女性の声。
こちらからは視認できないという事から、何かしらの道具を使っているんだと思う。
「気が付いてるんでしょ! こっちに向かってきな!」
何本も粒子が一直線にこちらに向かってくる。
着地し、一気に駆け出す。
粒子は放物線を描いて、僕の方にそのまま向かってくる。
着弾したところに大きな爆発が起こり、破片が散弾銃のごとく狙ってくる。
だが、当たる瞬間に紅い粒子が炎となり砕き散らせる。
それを幾度となく繰り返し、目的の場所に到着した。
そこには一人の女性が立っていた。
緑色のロングヘア―に、黒いマント。身体の体系を表現するようなライダーパンツと言うのかな? そのような服装だった。
「あんたが七光鉱石の鏡だね。うちの会長の為に囚われるか死んでもらえない?」
「遠慮したいんだけど?」
「そう。ならこの距離だし、接近戦でけり付けようじゃないか」
「礼儀正しいんですね」
「ふふふ。そう見えるかしら? でもね、わざわざ遠距離ではなくここに連れてきた意味も考えないとは、あんたよっぽどの馬鹿かお人よしね」
「な!?」
目の前に女性が現れて、胸の所にザクロ色の線が。
「っち。そうかい。あんたも覚醒済みか」
一瞬で引いた様で、紅い粒子が吹き荒れていた。
今のは?
「武器は持たないのかい? それとも錦戸と同じ格闘タイプか?」
「どうだろうね」
ここで情報を上げたら確実に負ける。
初めてここにきてまだ数日だ。
もっと言えば一週間弱でしかない。体感的に。
そんな僕があんな強い人に勝てるわけがない。
するとウィンドウが勝手に開きCALLと言う文字が浮かんでる。
「でな。それくらいは待ってあげるワ」
「そう言ってふいうちとか?」
「冗談。覚醒者は無意識状態が一番危ないのよ」
そう言っていたので、素直に応じる。
『鏡の嬢ちゃん! 相手側に付いたか? 勝手に飛び出すのは今後辞めてくれ』
「すみません。それより目の前にザクロ色の粒子を使う人がいるんですが」
『なに? 今すぐそいつから離れろ! そいつは俺たちレベルじゃないとかなわない! 急げ!』
「逃がすとでも?」
瞬間、衝撃が伝わり吹き飛ばされる。
大きい衝撃が加わったが痛みも無ければ、傷も無い。
感覚的には建物に何かが衝突したようなそんな感じだった。
『クッソ。そいつはアンダーグラウンド副会長の、ヨンハっていう女だ! 基本戦術は接近戦による格闘と、中距離の鞭だ』
「そこまでよ」
今度は後ろから声がしたので、とっさに身体を右に倒し回転する。
目の前を通り過ぎる何かが、炎と交差して火花を上げていた。
「あんたを奴隷都市に渡せば、私たちは幸せになれる。だからさ、さっさと降参してほしいのよ」
今度は意識して回避する。
突きを後ろに引き回避。
すると、右側から重い衝撃が加わり吹き飛ばされた。
態勢が立て直せずそのまま瓦礫に激突。
「聞いてたのに自動化でしか避けられないなんてね」
少しせき込み、女性の方を見ると、短剣の柄の所からザクロ色の紐みたいなのが伸びていた。
そういう事か。
彼女の、ヨンハの強さは意識を短剣に向けたうえでの戦闘。
一切その動きを悟らせない様に、鞭の軌道と同じ方向に短剣を振る。
それも一瞬で、目で追えないほど早く。
さっきの動作はたぶん三回だ。
初めの突きを何度か躱させて、後ろに引いた瞬間、構えなおす振りをして左から高速に見日に振り、突き出したんだ。
その一瞬だけ鞭を出して、消える時間差で打ち付けた。
そんなに高度な戦い方をするのに何で。
「けほけほ。ねえ、一つ聞いていいですか?」
「諦めるのなら」
「諦めはしませんよ。でも、聞きたいんです。力の差もありますし、勝てる気はしてません。出来るとしても、錦戸さんが来るまで耐える事だけだと思うし」
「まぁ、そういう事ならいいわよ。いいな」
そう言われて、聞きたかったことを聞く。
「なんで、あの人たちは貴女を護ったの?」
「そんな事ね」
「それだけがすごく気になって」
「いいわ、話してあげる」
ヨンハは語りだした。
アンダーグラウンドとは、シンさんがこの街ができた時に作られた地下組織だった。
もともとは、社会不適合者と呼ばれるような集まりで、家出少女や、ごろつき、暴力団など悪事を働こうとした人たちをまとめる場所でもあった。
でも、シンさんにより、何人かは心変わりをし始め、自分たちの居場所として、アンダーグラウンドを家のように作り上げていった。
そんな事を聞かない連中もいた。外で詐欺をするもの、不純異性交遊、人身売買。そんな闇の部分をTLSの人は悪と決めつけ、追放していった。
奴隷都市から逃げてきた人たちも中には居たのに、だ。
そんなあくどい事をする人たちを真っ向から叩き潰していたのがシンさんだった。
そして、悪事を抑えようと、純粋に恨みを越えようとする方に動いたのが、ヨハンさんたちだった。
そんな中、奴隷都市のある人物がヨハンさんに言ったそうだ。
『近いうち、TLSの連中がアンダーグラウンドの連中を一人残らず殺す。もし生き残りたいのなら、この街に居る七光鉱石の持ち主を我らに渡し、女も全員渡せ。もちろんアンダーグラウンドが協力してくれるなら、お前たちは生かしとこう。もし拒否するならば、勝手に死んでいくがいい。もちろんシンと言う男は、我らが殺すからな。あんたが勝てるとは思わないがせいぜいがんばれよ』
と言われたらしい。
そしてヨンハさんたちは、結託して自分の生活を護るために戦いを始めたと。
「わかったかい? 私たちはあんたらの性で居場所を取られたんだよ」
「そうなんだ。でも私には分からない。それなら何で、本当の事を、シンさんに連絡一つ取らなかったの?」
飛び出す。
右手に粒子を溜めて。
「あんたには分からないだろうね! 大人の気持ちなんてさ!」
鞭が今度は見える。
左から薙ぎ払う軌道。
それを左手で掴む。
爆発音が響いた。
でも、僕の勢いは消さず、そのまま殴る。
ヨンハさんは後ろにのけ反るだけで、そのままこちらを見ずに短剣を払う。
体勢を崩していた僕は、そのまま転がるように右に倒れる。
「反応速度だけは良いみたいね!!」
倒れた所に鞭の一撃が来る。
咄嗟に腕で守ったが、車と衝突したみたいな感覚を受けて、全身に痛みが走る。
その間も炎の守りは機能していたが、関係なく貫いてきた。
「ざんねーん。私のスキルはー、貫通型でした!」
声の質とは裏腹に、馬鹿にした甘ったるい声でそう告げてきた。
防御貫通。
つまり、自動防御は意味ない?
「そしてー、硬さに比例して威力も上がるお・ま・け・つき!」
きゃぴ、という音声が聞こえそうなそんな言い方。
どんな戦い方をしたらそんなのを覚えるのか、今度聞いてみたい。
考えながら激痛が走る身体を動かし立ち上がる。
あの時みたいに使えないと。
「エル。力かしてくれる?」
『残念だがそれは出来ない』
そう答えられた。
どうして? と思うが、相手に問題があるんだろう。
打撃を入れる構えを取り、感覚を集中させる。
だんだんコントロールが付くようになったと自負はしている物の、彼女の力なくしてはたぶん殺してしまいかねない。
深呼吸をして、頭の中で一撃を思い浮かべる。
そして。
「スキル! 緋炎!」
電気が走り抜けたようにその場から消える。
ヨンハの目の前に屈みこんだ姿勢で踏み込み、そのまま拳を振り上げる。
「あまいね!」
ヨンハは頭を後ろに倒す。
躱される。
体勢を戻さし、短剣を振り下ろされる。
左回転の要領で回転。
短剣と踵が相殺。
弾かれる。
着地し、距離を離す。
「かかったね!」
着地したところにザクロ色の粒子が巻き起こる。
「な!」
そうだ、左手は!
そう思い、ヨンハの方を見ると左手から一本の線が地中に向かって伸びていた。
「死にな!」
視界が消し飛んだ。
赤い粒子が舞うが、ところどころからザクロ色が内側に漏れてきてる。
身体を守るように体制を低くして丸まる。
どうしたら。
そんな事を考えていたら、身体が何かに突き飛ばされて、粒子外に飛ばされる。
「本当はいらないんだけど! スキル、心意夢想!」
透き通った鈴のような声が響き、きれいな三色の粒子がザクロ色の粒子を切り裂き、全て消し去った。
そこに立っていたのは、あの時助けてくれた女の子。
「あんただったんだね! アンダーの裏切り者は!!」
「お生憎様で、私は裏切り者じゃないのよ。副会長こそこの責任取ってくれるの?」
「はん! あんたみたいなガキが大人の事情に首つっこまないでもらえる?」
「ありがたく受け取るわ。おばさん」
その子は、喧嘩を始めるような形で挑発していく。
彼女は、短剣を取り出し構えるが、その短剣は普通のとは違っていた。
長さまでは分からないが、刃の反対側はギザギザしており、先端の方はダイヤ型の刃が少し突きだし、柄の方はのこぎりのようになっている。
「私にかなうと思ってるのかい!」
「うるさい! おばさんは黙って! 鏡、あなたはまだ使いこなせてないんだから首を突っ込まないでもらえる? 私までここに来ることになったじゃない。個人的に聞きたいことがあるんだから、死なれちゃ困るのよ」
ザクロ色の鞭が飛んでいく。
後ろに軽やかに躱した彼女は、オレンジの粒子を纏わせた何かを三本飛ばす。
ヨハンはそれを叩き落さずに、走り出した。
「鏡は応援が来るまでそこに隠れていて! そして、全力で身を固めるの! そしたら私の巻き添えも食らわないから!」
次の瞬間、ザクロ色がはじけ、大量の色とりどりな短剣が彼女を囲ていた。
「それを使うとはね。本気かい?」
「私には命令があるのでね」
「いいだろう。私も本気になろうか!」
ザクロ色の粒子が渦巻き、ヨハンを包み込む。
その後、圧縮した白く発光する鞭が握られていた。
「いくわよ」
「きな!」
その時の光景は目で追えなかった。
一部見えてはいたが、彼女の短剣が鞭を切り裂き、ヨンハの切られたものは爆発し、短剣がその中を通ってヨンハに向かって。
その後、三色の爆発が起こるも、今度は短剣をすべて撃ち落とし、白い発光が視界を覆いつくす。
そんな高速の戦いの音を耳に挟み、自分の無力さを痛感する。
ただ助けたいだけなのに、人助けをしたいだけなのに。
この街の惨状を見る前に決めた事すら。
戦いやルールが存在しないそんな世界を甘く見ていた。
何度も何度も考えを改めたのに、それでも抜けきらない。
――守ってもらいたい。
そんな声が聞こえた。
これが僕の本心なのかもしれない。
決意をしたとしても、揺らぐほど心が弱い。
「うう、ううぅ」
自然と涙があふれてきた。
たった数日の経験。
一年間、同じ場所に居た弊害。
ゲームではこんな事は無いだろう。
強くなりすぎて、後半は楽になる、そんなゲームしか知らない。
作られたヒーローは、ここでくじけない。それでも立ち上がるんだ。
でも、僕は物語の作られたヒーローでもない。
だから、意志を以て、苦痛にも耐えていかないといけないんだ。
それを乗り越えて、死んでも構わない、助けられるなら、死なせたくない、守るものがあるから。
それだけを考えられるように。
そして、爆破音が止まった時に、僕は飛び出していた。
見えてしまった。
見えてなく、音を聞いてただけで。
「私は! 変わるんだ!」
ヨンハと彼女の間に、涙を流しながら割って入る。
その時、ヨンハの笑顔は狂気じみた顔に代わり、振り向いた先の彼女は叫んでいて手を伸ばしていた。
「私の勝ちだね!!!」
振り下ろされる。
目の前に刃が迫る。
すごく遅い。
これが走馬灯の前のなんだっけ?
アニサキス現象?
違う。
それに似た何か。
そうだ。
タキサイキア現象だ。
その言葉を思い出せたことに、少し案著して、そのまま短剣を見つめる。
でもその短剣は来なかった。
目の前を青い透き通った粒子が通り過ぎて、僕たちを吹き飛ばしたからだ。
吹き飛ばされた僕は彼女の胸の中で守られたらしく、頭は痛くなかったが。
緊張の糸が途切れて、動けないでいる。
「ちょっと! 何飛び出してきてるの!? しにたいの!?」
そう声が聞こえる。
「守りたかった。助けてくれたから」
訳の分からないことを言った気がする。
その言葉に、彼女の顔が何故か赤くなり、口ごもった挙句。
「死んでいい訳ないでしょ! ここは人が戦ってるの! 強制ログアウトもされない! それなのに命を無駄にするなんて何考えてるの! テレビの見すぎじゃない!」
そんな事を言われていると、遠方から真っ青な粒子と紅い粒子が飛んできて、ヨハンに当たり吹き飛ぶ。
「っく!」
「鏡! 大丈夫か!」
錦戸さんたちも合流したようだった。
ならさっきのは錦戸さんの?
「私は大丈夫。でも彼女が」
そう言って体を離して錦戸さんに見てもらおうとすると。
彼女は顔をそらし、マントで身体を隠した。
「見せてもらわないと何の鉱石かもわからないんだが」
「おい! 海坊主! 早く終わらせてくれぬかのぅ? 老骨にはあの粒子の塊を消滅させるだけで精一杯なのじゃよ」
そう言いながら、クリス博士は、ヨハンの攻撃を杖で弾いて、余裕な表情をかましてる。
明らかにこの人たちはおかしい。
どこか狂ってる。
でも、やっぱり数日の僕だと弱いのも何となくわかる気がした。
「今行く!」
そして、ヨハンと対峙しようとしたとき。
「皆さんそろってるようだな!」
どこからか声が聞こえた、聞き覚えのあるこの声は。
「準備に手間取ってしまって申し訳ない」
言い方は似てるのに声音がちがう。
「この声は!」
「あ奴、今頃来よって」
「会長!」
口々にそう言っていたが。
なぜだろう?
僕には一人の人にしか聞こえない。
「会長! 私は貴方の為に、頑張りました! 今こそ念願を果たしましょう!」
そして、煙の中から歩いてきたのは。
黒いロングコートに、ズボン、白いシャツに。方には銀色の肩当が付いており、そこから青い布が伸びていた。
「はいはい。そう言うのは良いから。この後始末は俺がつける。いいな。錦戸。お前は手を出すな」
「なんで、シンがその肩当を!」
「今度話す。今はこの状況を終わらせるのが先だ」
そして、錦戸さんのアクセス器から青色の透き通った粒子が舞い、同時に僕のからは紫色の粒子が舞い始めた。
「まずは、あの塊を消す」
「おやめください! 会長! 私たちの悲願が!」
手を挙げたシンさんは、そのまま振り下ろすと、翠色の粒子が吹き荒れ、周りの炎や、アクセス器の粒子もろとも吹き飛ばし、辺りには青空が広がった。
「それでだ。ヨンハ。これは君がしたことだな?」
その声は落ち着いていて、それでも鋭く冷たい。
「はい。私たちの自由を手に入れるために」
「誰がやれと?」
「か、会長の手を煩わせることないように」
そう言って、後ずさりを始めた。
「そうか。この責任は取ってもらう。ヨハン君の性で、全ての計画はとん挫した。この事による大半の責任は君にある。だが、俺自身にも見抜けなかった事や、食い止められなかった責任も大きい。だから」
その声は凄く優しく、攻めるのでもなく、誰かに許しを請うかのような、そんな声。
シンさんは、右手を腰の位置に持っていき何かを握る素振りを見せると。
「リアクト」
透き通った青い粒子が舞い、一振りの剣がその手握られている。
太陽光が射し、どこか幻想的なその姿は、物語の騎士の様だった。
「な! あの鉱石は! サファイヤ! ヨシュアのじゃないか!」
そう、彼の持つ剣は柄の所は布みたいなので巻かれており、鍔は金色で、刀身は銀色。その真ん中に青く輝いてる綺麗な鉱石が透き通った粒子を放っている。
「会長! お願いです! 私は、会長の夢をかなえたくて!」
「すまない。俺がふがいないばかりに」
剣を振り上げる。
粒子が渦巻き、剣が光りだす。
「わ、私は! あなたの事が好きだったんです! いつまでも遺書に居たかった! そこの錦戸がアンダーグラウンドを壊すって情報を得て! 家がなくなって、あなたまで失うのが嫌だったんです!」
鉱石に気が付いてない?
もしかして。
「そうよ。彼は会長だけど、同時にこの街のリーダー。七光鉱石のサファイアを所有して、そこの禿げ頭にすら黙って、ごろつきとかをまとめ上げてた張本人。皆には、メノウと言ってた天才詐欺師みたいなものよ。よく見えなさい。七光鉱石を使いこなすってどうゆう事なのか」
そう言われて、僕はシンさん、いいやヨシュアさんを見守る。
「お願いです! 私は貴方と! 会長と一緒にこっちの世界で暮らしたいんです! こっちなら不倫にもなりません! お願いです! 助けてくれて、私は嬉しかったんです! 許してください!」
「この街の責任と、俺の責任。だから、許すことは出来ない。だが」
力を込めたようだ。
すごい圧が身体にのしかかってくる。
すると、粒子の色が薄いピンク色に代わる。
「俺には答えられない。だけど、君が悪い訳でもない。だからせめて物の慈悲だと思ってこれを答えにする」
そして、何かが輝くと。
ヨンハさんの方に、赤と翠の文様が浮き現れる。
「いやいやいやいや! お願い! 私を助けて! 私は理想を! みんなを! あなたを助けようと!」
「すまない」
振り下ろした。
その一瞬で、彼女の身体は切り裂かれ、粒子になって消えた。その場には銀製品のアクセス器だったものが宙にあり、ひびが入って砕ける。
そこに残ったのは、ザクロ石一つだった。
「死んだ……の?」
「いいえ。彼だけにできる事よ。あなたの断罪と同じこと」
そして、剣を収めたヨシュアさんがこっちにきて、飄々と。
「いやー、錦戸すまなかった! こんな事になるとは思ってなくてね」
「お前今までどこに!」
「アンダーの会長してたんだ。そしてそこの鏡由紀の特訓」
「ふざけるな! 俺たちがどれだけ苦労、はぁ」
言っても無駄のような感じでため息をつく錦戸。
「それよりも、鏡。俺はサポートにって言ったのに、なぜここに来た?」
少し怒ってるような威圧を感じて、身が縮こまる。
「錦戸さんを助けたくて」
「はぁ。お前もか。何なんだろうな。ここの連中は。な? マリア」
そう声かけられたのは、先までマントで身を隠してた女の子。
「それ言わないで」
「はいはい。とこれから、TLSで情報の開示と、同時に復興作業を行う。錦戸、クリス。君たちには会議後、街の復興とガーディアンの指揮、警備隊職員の安否確認を。その後その報告書をまとめて送れ。同時に現実に避難させてる女性たちにできるだけ声をかけて救援してもらえ。金額はそうだな、日本円で30万提示しろ」
「了解」
そうその場で指示を出す。
これは、なかなかすごい光景だ。
「じゃあ、あのクソジジィのワープホールが機能しないから、俺のスキルでまとめて移動する。異論は?」
「ねぇぜ」
「言いたいことは山ほどあるがのう。まぁよかろう」
「異論無し」
それぞれ答えおわり、何故かみんな僕の方を見てくる。
「僕は、お、お願いします」
「よし行くか」
そう言って、翠色の粒子が僕たちを包み、飛び立った。
これにて、アンダーグラウンド編が終わった訳ですが、いかがだったでしょうか?
初めの時と比べて、由紀自身気持ちに素直になりつつあります。
ですが、まだ押し込めたそんな感じが受けたのではないでしょうか?
これから、また新しい展開になっていけるよう頑張っていきます。
現実世界は大丈夫なの? と思われるかもですが、その辺りは後日談で書いていこうと思います。
もちろん、コメントももらえたら返していきますので、どうぞよろしくお願いします!
あと、後日談以降に要望に合ったものを少しずつ入れていく予定なのでそちらも楽しみにしてくれたらと思います。




