アンダー戦!
今回からアンダーグラウンド編のクライマックスになります。
由紀は、シンさんと別れて、力の意味を知った訳ですが、さてこの戦いで自分の意志を定めることが出来るんでしょうか?
どうぞ見ていってください!
全速力で目的地に走ってはいるが、周りの風景を見るだけで、そこに住んでいた人の悲しみの声が聞こえる惨状に心が痛んだ。
そんな中、今の服装ではいつもより速く走れている事に今更ながら気が付く。
マップの縮尺的に、目的地までは20km離れているのに、疲れない。
初めは地上を走っていたが、途中で飛んでみたらどうだろうか? と思い今は瓦礫や、原型が残っている屋根などの上を飛びながら向かっている。
その途中でも、何人か人を見かけたが、主に救助をしていたので、気にしないで過ぎている。
本当は助けたいんだけど。
助けられた命がもしかしたらあったかもしれないが、もし助けたとしても原因が止まらない限り、また移動中に危険に見舞われる。
それを今僕が止めなければいけないんだ。
そして、目の前に真っ青な粒子が舞い始め、爆発を繰り返している。
この粒子は錦戸さんの!
でも特訓時の色とは全然違った。
あの時の色は真っ青と言っても過言でない程だったのに、今は薄っすらときれいに透き通っているような。
でも真っ青は真っ青なんだけど。
「錦戸さん!」
「お? 鏡の嬢ちゃん! ここは危ない! さっさと避難しな!」
目視しできた錦戸さんは、何度も拳を振り、脚を回しながら周りの粒子を吹き飛ばし、時々衝撃波を放っている。
「由紀の嬢ちゃんじゃないかのぅ! わしに会いに来てくれたんか?」
クリス博士も居たが、こちらは何とも言えない余裕そうな態度だ。
「クリス博士も? 楽そうですね」
「ええい、歳よりはこれくらいがいいんじゃよ」
周りには人型の何かが集まっており、その粒子の塊人が後ろの道を護っている。
「今はいいや! 錦戸さん! 伝言です。七光鉱石が集まった! リンクを開いて待っといてほしい、と」
その言葉を聞いた錦戸さんは一瞬手を止めてしまい攻撃が迫った。
その間に塊人が割って入り、爆発が起こる。
「海坊主もまだまだよのぅ」
「うるせー! ジジィ! 鏡! それは誰からの伝言だ?」
「シンさんと言う人です! アンダーグラウンド会長の!」
「っち! アイツか。癪だが、開いてやる! 鏡の嬢ちゃん! そっちのリンクは可能か?」
「時間は儂が稼いでやるかのう。スキル、幻惑の木偶人」
沢山の色とりどりの粒子が人型になり、敵との間に壁を作る。
その間から漏れてくる攻撃は、ノミと言ったら失礼だと思うが、それほど俊敏に元気よく叩き落しているクリス博士が舞っていた。
「すまない! 鏡の嬢ちゃん! アクセス器のスキル画面を開いて、右下に音声入力画面がある。それを確認したら、音声認証、スキルリンクポートの解放、と言ってくれ!」
「わかりました!」
言われたとおりに即画面を開く。
スキル画面にはステータスと獲得スキルが出ており、右下には三点リーダーのようなものが波を作っている。
「音声認証。スキルリンクポートの解放」
『音声確認。スキルリンクポートの解放をします。注意。このアクセス器はスキルの連携は行えません。同じ鉱石同士以外の場合は粒子供給にとどまりますがよろしいですか?』
「うん!」
『承認。リンク先の選択をお願いします』
よくわからない言葉が出てきて戸惑っていると、向こうから声が聞こえた。
「リンク先をTLSと言えばいい! それ以外は遮断と宣言しろ!」
錦戸さんの方は終わったようで、拳に粒子を集めながら指示を出してくる。
「リンク先! TLS」
『リンク先の検索。確認。現在錦戸亮のみにリンク可能。それ以外のリンクを承認しますか?』
「それ以外は遮断」
『確認。リンクします』
「錦戸さん! リンクできました!」
「よし! あとは安全な所に居ろ!」
すると、ブレスレットから薄水色の粒子と紅い粒子が舞い始める。
同時に、錦戸さんの攻撃が赤いものに変わり、水色の粒子が後に待っていた。
「お前もTLSの仲間か―――!」
背後から声がして振り向くと、剣を振り上げた青年が涙を流しながら飛び掛かってきていた。
まずい! やられる!
咄嗟に腕で防御しようと目の前に交差させ、左足を後ろに引く。
「嬢ちゃん!」
「いかん!」
二人の声が聞こえて居たが、それよりもどうしたら良いのか考え始めていた。
どうしたら。
今のはほぼ計装だ。ゲームで言ったら薄着だし、現実だとありえない装備だと言われるほどだ。守りも上半身は胸だけだし。
着られて衝撃が来た時に飛ぶしかない!
そう決意したときに、目の前に剣が迫った。
だがその剣が触れる事は無く、代わりに青年が吹き飛ぶ。
「え?」
目の前には赤い粒子が炎を形作り渦巻いている。
それも僕を囲うようにだ。
蜃気楼のような靄まで出ており、そこには特別な空間があるかのように目に映っていた。
その先に一人の女の子が下りていき、青年を思いっきり蹴飛ばした。
「え!?」
驚きのあまり声が漏れて、意識がそちらに向く。
その時には炎が消えており、視界も鮮明になっていた。
ツインテールにしている髪の色は黒で、身長はたぶん155? フード付きのローブを纏っていて上半身は見えないが、ガーターベルトが見えており、ストッキングを止めている。そして、白く透き通った太ももが眩しくさえ見えるほど、色のバランスもスタイルもよいだろうと感じる。
そして振り向いたその顔は幼く感じ、どこかで会ったような強気の空気も感じた。
その子の手には、短剣が握られており、赤や黄色、オレンジなどの粒子が混ざったのが零れている。
「あんた、鏡由紀って言うの?」
「うん」
その声を聴いた時、直ぐに脳裏に浮かんだ。
あの服選びの時の子だ!
あの時と印象が違うので分からなかったが、この子こんなに可愛かったんだ。
「私のこと覚えてるよね?」
「服の時の」
「は? まぁいい。後で時間頂戴。その馬鹿な頭に思い出させてあげるから」
なんか怒らせてしまった。
僕服の前より以前にこの子に合っている?
もしそうならどこで?
そんな事を考えてると、彼女は僕の後ろに飛んだ。
すれ違いざまに、二の腕に巻かれた布を見たら、そこにはアンダーグラウンドの紋章が付いていた。
彼女もアンダーグラウンドの?
なんで争ってるんだ?
って、シンさんと同じなのかもしれない。
速攻で自己解決をして今なにすべきなのかを考える。
今は避難しろと言われたけど、この惨状を見て避難なんてできない!
そう考え、錦戸さんの所に飛んだ。
「錦戸さん! 私も戦います! この先の粒子の集まりを霧散させてきますので! そしたら攻撃の頻度が落ちるかもしれないですし!」
「おい! まて! っていっちまった。信じるしかないか」
そして目の前にある、ザクロ色の粒子を目指して駆け抜ける。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
前回のもたくさんの方に読んでいただきすごく嬉しかったです!
もし、よろしければ初めて読んでくれた方は評価をしていただければ、励みになります。
コメントも全部読ませていただき、返信も行いますのでどうぞ、気楽にしていただければと思います。
さて、今回の話は錦戸さんとの合流回になります。
少し人数が少ないのでは? と思われたかと思いますが、それはもうすでに大多数の人たちが倒れてしまっている為です。
直接的な表現はしませんが、この後にもっと悲惨な光景を目撃する事になる由紀は、まだ未熟なために考えが追い付いてない描写が何度かあります。
この小説は、内容自体考えないで読めるように努力してますが、同時に考えて読んでくれる方でも楽しめるように、書いていってます。
もし、自分が同じ立場ならこうするなど考えて読んでもらえたら、由紀自身の身体が言う事聞かない、確かに自分なのに自分じゃない、そんな感覚も体験できるかと思います。
もちろん、読んでくれた方が自分ならこうする! と言う意見でもコメントに書いてくれたら嬉しいです!
では次回もよろしくお願いします!




