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伝説の始まりは現実の終わり  作者: 一ツ柳八重
アンダーグラウンド
28/53

雄二の過去と由紀の内面

まだ上手くシナリオ構成できませんが、どうぞよろしくお願いします!

雄二さん兄妹と一緒に、洞窟から出ようと斬撃の跡を進んでいく。

ところどころ崩れてきそうな感じはしても、崩れてこないところから、絶妙にバランスをとっているのだろうと感じた。


「雄二さん、聞きたいことがあるんですが、いいですか?」

「何だい?」


 すんなりと返してくれた空気に少し驚きながら、聞いてみた。


「ええっと、ですね。雄二さんって、戦っているときや今みたいに何もないとき、ゴブリン王の時の念話? みたいな時などなど、感じがちがうんです。受ける印象と言いますか、戦っているときは凄く冷たい印象ですし、今は優しいお兄さんって感じですし。そうかと思えばゴブリン王の時は凄く取り乱していて、こんなこと言ったら申し訳ないんですが、情けなく感じてしまい」


 一生懸命言葉を選んで聞いてみた。

 その間もうまい言葉が思いつかず、内心は恐る恐ると言った感情で埋め尽くされている。


「あはは、いいよ。そうだね。そんなに親しくも無い人に話すような事じゃないんだけど、それでもいいかな?」

「僕でよければ」


 何か大きな話になりそうな気がして、雄二さんの後を追いながら、聞く体制になった。


「実は僕たちは、幼少期……と言っても中学生の時に虐めとにあっていたんだ。妹もね。妹は母親や父親に助けられた。妹はその時小学生だったんだ。それもあってか、虐めの内容が酷かったのか直ぐに学校も動いたんだ」


 その声音からは悲しみや、焦燥感らしきモノを感じるが、それでも感情を出さないと言うように、落ち着いて話してくる。

 でも、一生懸命抑えようとしても、肩が震え、握っている手は今にも人を殴りそうな感じだった。


「だけど、僕の方はほったらかしにされた。男なのだから、虐めは本人に責任がある、なぜやり返さない、散々そう言われてきた。歯向かったし、足掻いた。でもその都度、叱られたのは僕だった。そして、大切な物を奪われた。そこで、僕の中に何かが目覚めた。それから、妹だけは優しくしてくれて。それに触れた時に、意識が狂っていく感じを受け入れた。その時から誰かを攻撃するときには冷たくなり何も感じなくなった。何かを奪われるときは見にくくても泣き騒ぐ自分が居た。それで、あんな感じになったんだよ。今は妹がいるからいいんだけど」


 一瞬感じた怒りや憎しみは、最後には消えて優しい空気で締め切った。

 なんか僕に似ているところある。

 僕も昔虐められていた。

 初めは確か小学校の時。

 見た目が女の子ぽかった事から、ある時に女子の服を着せられたのが切っ掛けだった。

 その時は、盛大に抵抗した。叶わなかったけど。

 でも、その時から守ろうと一緒に居てくれた子が居たけど。

 思い出せない。


「僕からも一つ聞いていいかい?」

「はい」


 まさかの質問。

 内心何を聞かれるのかという恐怖が湧いてくる。

 その間も黙々と歩き続ける。


「君と同じで、僕も気になってたんだ。あの時の攻撃性と今の君は全く違う。そう言うのも、君は君でも中身は別人、全く違う人に感じたんだ」

「二重人格って言いたいんですか?」


 少し足を止めて考える素振りをしてから雄二さんは口を開く。


「いや、二重人格とは違う印象だった。しいて言えば、文字通り二人いるって感じだ。人格がじゃなくて、異なる人が一つに混ざったような」

「なるほどです」


 あの時は確か、特殊な空間に行ってその時に何かが抜けた……気がした。

 その時の人も大丈夫って言ってたし、何よりその空間から抜け出した際に、もう一人、確かに意識があった。

 言葉も聞こえた。


「確かに僕の中にもう一人いるのかもしれません。あの時、確かに戦っていたって感覚があったんです。でも僕じゃない別の誰かが僕の中に居たんです。でもそれは僕でもあったんです。もう一つの自分って言うんですか? そういう物をここに来る前に見せられてて、もしかしたら無意識化のトランス状態だったのかもしれませんね」


 そんな筈はない。

 トランス状態なら、意識として残るからだ。

 高揚感、超越感など特別な感覚を認識することが可能の状態だからだ。

 スポーツで言うと、全集中状態でスローに見えたり、無茶なモノでも可能に感じてしまうモノであるから。

 出来ないはずなのにできてしまう、やれてしまうような感覚を受ける、その状態を指すんだから。


「なるほど。その間は意識がなかったり?」

「いいえ、こっちに意識が戻って来た時や、途中で嫌になった時など意識はありました。でも、意志とは違う物が身体を動かすそんな感覚が襲う事も」

「君も何かあったのかもな」

「かもしれません」


 そう言って話しているうちに外に出た。

 外は夕焼けに染まっており、爽やかな風が吹いていて気持ちいい。


「んーーー! ふう。気持ちいい」


 そう背を伸ばしながら言った。

 なんか何日も洞窟に居たそんな感覚があったためだ。


「これから君はどうする?」

「僕ですか? いったん始まりの街に戻ろうかと思います」

「そうか。なら僕たちとはこれでお別れだね」


 そう言いながら、手を指し伸ばしてくる。

 僕はその手を握り返した。

 すごく大きくてしっかりしてる。

 男の人の手ってこんなにもたくましいんだ。

 って何考えてるの?! 僕は元は男。

 あの戦いから何か意識が変なんだよな。


「じゃあまた近いうちどこかで」

「はい」


 そう言って別れようとするとリリィがこっちに走ってきて、手招きをしてきた。

 屈んで、耳を貸すと。


「お姉ちゃん、今度はもっと気持ちいいことしようね」


 そう言われた。

 その瞬間顔が真っ赤になったのを感じて、硬直する。

 リリィの顔は見えなかったけど、たぶんあの時の笑みを浮かべてるんだろう。


「じゃーね! お姉ちゃん!」


 雄二さんの方に駆けていく感覚と、手を振ってる感じは何となく感じていた。

 変な子に目つけられた?


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