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伝説の始まりは現実の終わり  作者: 一ツ柳八重
アンダーグラウンド
27/53

再開

今回は妹探しと、世界の始まりの一部について書いてみました。

どうぞ、のんびりしていってください。

「大丈夫だったか?」

「うん! お兄ちゃんの彼女さんが守ってくれたから!」

「え? いや違うよリリィ。鏡さんは彼女ではないんだよ」 


あれから、僕たちは洞窟に囚われてる人達と、雄二さんの妹を助けに動き回り、後は妹さんを見つけるだけになっていた。


「結構沢山いましたね」

「そうだね。把握してただけでも60人、死体も入れるなら100人はいただろうし」


 事細かに詳細を話すことはできない程だった。


「っち。胸糞わりぃな。こんな事の為にあいつに使われてたとはな」

「あの死んだ人たちに入って居た魂は?」

「全部死んでたさ。それに加担してたとはな。アイツだけは許さねぇ」


 あの後、この世界の在り方を、グラムに聞いた。

 この世界には、先住民、いわゆる人に似た知性の存在があった。

 その存在に初めて接触したのが、僕の叔父だった。

 叔父は、彼らに持ち掛けた。

 肉体を与えよう。概念を与えよう。存在を証明しよう。その為に仮の器を動かさせてくれないか。私たちと同じ姿をした人類。その活動を君たちに担ってもらいたい。

 その事を、彼ら……叔父が言うにアースニウム世界の原始が了承した。

 人との同一化をするために、彼らが持ちうる特殊な鉱石でアクセサリーを制作し、人間がもつ技術で、世界を映し出した。

 その中心にあるセフィロトを解放することを条件に。

 そのセフィロトは、世界を統合し、意識だけだった彼らに、肉体を与えられるそんな代物だと語った。

 それは、七つの宝石により縛られ、統合させるのには七つすべてがそろった時だった。

 そこから、叔父は自然の力を出し切るためのシステムを走らせた。結果、七光鉱石が生まれ、その余波により、他の彼らも鉱石を生み出せるようになり、七光鉱石は自然界に存在してる物に自我を与えた。

 その結果がグラムたち『自然幻想』アースイマジンと言うこそだった。

 そして、間借りしている人間が死ぬと。

 アースニウムはそのまま消滅する。


「そんな事になってるなんて知らなくて、僕たちは」

「鏡さんは悪くないさ。先人の僕や、その他の所有者が知らなかった事に問題がある」

「っち。で、オニキスの持ち主には本当に心当たりねーんだな?」

「うん」


 黒い粒子の持ち主、彼は七光鉱石の一つオニキスの所有者で、唯一石を反転させる才能を持っていたようだった。


「お兄ちゃん!」


 明るい声が、洞窟の先から聞こえ雄二さんはそっちに走っていった。


 そこには年齢で言えば十歳そこそこの、黒髪のショートカットでショートパンツにマントを羽織った女の子が居た。


「全部終わったぞ。大丈夫だったか?」

「うん! 何もなかったよ!」


 二人はしっかりと抱き合いながら、お互いの存在を確認しあっている様だった。

 何分経っただろうか? 僕にも分からないほど時間がたち、二人が離れてこちらに歩いてきた。

 その間、何も考えてなく思考停止していた自分を殴りたいと今更思う。


「お待たせ。この子が僕の妹の――今はリリィ」

「は、初めまして! 兄がお世話になっています!」


 大きくお辞儀をされた僕は慌ててお辞儀を返してしまった。


「いえいえ。僕の方こそお世話に」

「女の子なのに僕って言うの?」

「いろいろあるから聞かないでね?」


 痛い所をついてくる。

 いや、直観的に、この子身長も145くらいあるし、何か引っかかる感覚が。


「で、そっちの彼が僕の相棒になるグラムだ。グラム、挨拶してくれないか?」

「あ? ……、っち。俺はグラムだ。よろしくな」


 グラムの対応にも違和感を感じた。

 なんていうのだろうか? こう、関りを持ちたくないような、恐れているような?


「グラムさん。よろしくね!」


 無邪気に見えるけど、すごい違和感が。

 気持ちが悪い。


「おい。ここから出るのに時間がかかる。ついでだ。俺を使って外に出な」

「え? でも、ここからなら直ぐに出れるのでは?」

「いいから、やれ!!」


 間違いない。

 グラムは何かを感じている。

 この世界に生まれたものだから感じる何かなんだろう。


「わかった。リリィ少し離れていてくれ」


 雄二さんは右手を振ってから、前方に伸ばした。


「グラム!」


 すると、右手に一本の刀が出現し、それは金色に輝きながらも蒼い光に金色の粒子を散らしてる。


「グラムって二振りだったきが?」

「なんか一本がいいみたいだ」


 そう言って、右上から切り下し、左から水平に切る動作をしたら、振り上げて両手で構える。


「スキル名はあるんですか?」

「いいや。グラムが言うには集中して、イメージをグラムに送ればいいらしい。今回は外に出れるだけの範囲で調整してくれるようだから、それを信じて振ってみるさ」


 そう言われたから、僕はリリィちゃんを腕の中に抱え、近くの岩陰に隠れる。


「……ふぅ。すぅ」


 すごい圧が周りを支配していく。

 言葉で言うのなら、何度も全身を空気の圧力で潰そうと迫ってくるそんな感じ。

 まずい。この感じは。

 僕は、直ぐに剣を、と思ったが破損してたので、粒子をコントロールできないか試してみる。

 右腕に集中して、粒子で自分たちを囲うように。

 赤い粒子が、少しずつ放出されていくが、その間どんどん圧が強くなる。


「雄二さん! この圧力はリリィちゃんにも負担が!」


 そう叫んでも聞こえてないのか、更に出力を上げていってる。

 辺りには、金の粒子が混じった青い粒子が渦巻き、時々破裂したように襲い掛かって、鋭い斬撃を浴びせたかのような亀裂が洞窟に入る。

 まずい、まずい!

 このままだと僕達まで、意識を研ぎ澄ませ。感覚で感じろ。今だからこそ意識を集中させるんだ。

 その間、スカートが翻り、服もピタって張り付くような感覚に加え、リリィちゃんの身体が僕に押し付けられるような感触もある。


「お姉ちゃん、胸大きいんだね!」


 無邪気な声。

 その言葉に、全身の血が顔に溜まっていったのを自覚する。

 意識が離れて、赤い粒子が青い粒子と衝突し連鎖的に爆発を起こす。


「な、な、ななななな、何言ってるの!? リリィちゃん!?」

「だって、こんなに顔に柔らかいのって初めてなんだもん! 同級生のマギちゃんもすごかったけど、女子高生ってこんなに柔らかいんだね!」


 その言葉で、頭がショートした。

 火花が散るってホントなんだ。真っ白だ。女の子って怖い。


「はぁ!!!」


 そして視界の先に雄二さんが刀を振り下ろしたのが映り、その刀の軌道がそのまま目の前の岩盤を吹き飛ばしていた。

 その間も地響きを続けており、真っ白な頭では何も考えられない。


「お姉ちゃんプロポーションもよさそう」


 そう聞いた時、警戒したものの一つが判明した。

 この子、女の子もいける口だ。

 小学生が関心持つ、女の子なら早い段階で知識を得ると言うけど、それを兄の前では一切出さないその感覚。純粋じゃない。この子は小悪魔じゃないか。


「僕男だよ?」


 全力で振り絞った声は、次の一言で霧散する。


「エッチな事考えたでしょ? そうじゃないよ。今は女の子なんだから、精神がどうでも関係ない。そもそもそっちに結び付ける時点で、アウトだよ。お姉ちゃん」


 耳元でささやかれて、自分のふがいなさと、背中がぞわっとした感覚は一生忘れないだろう。

 地響きが収まり、リリィちゃんは僕から離れて、雄二さんに駆け寄る。


「お兄ちゃん!」


 数分思考停止してながら、小耳に聞こえてくる言葉があった。


「えー。でも私お姉ちゃんみたいな人が家族に欲しいな!」


 さらっとすごいことを言ってるが、それを流す。

 僕はいつの間にか近くにいたグラムに耳打ちをした。


「ねぇ、グラム。グラムが警戒してるのって、二面性があるから?」


 一瞬にらまれたが、素直に答えてくれた。


「いや、ちげーよ。アイツは人であり人あらざるものだ。お前も気を付けることだな」


 そう言ったのち、グラムは離れていった。

 その間も雄二兄妹は騒いでたが、気にするとまたショートしそうなので、雄二さんが明けた出口を見る。

 そこには幅5メートル高さ8メートル、奥ゆきは分からない程の大きな斬撃の跡ができており、奥に連れて幅が広くなり、緑色と青色の世界が口を開けて待っていた。

次回は洞窟から出る所になります。

更新は遅いですが、何かありましたら、コメントの方でよろしくお願いします。

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