再開
今回は妹探しと、世界の始まりの一部について書いてみました。
どうぞ、のんびりしていってください。
「大丈夫だったか?」
「うん! お兄ちゃんの彼女さんが守ってくれたから!」
「え? いや違うよリリィ。鏡さんは彼女ではないんだよ」
あれから、僕たちは洞窟に囚われてる人達と、雄二さんの妹を助けに動き回り、後は妹さんを見つけるだけになっていた。
「結構沢山いましたね」
「そうだね。把握してただけでも60人、死体も入れるなら100人はいただろうし」
事細かに詳細を話すことはできない程だった。
「っち。胸糞わりぃな。こんな事の為にあいつに使われてたとはな」
「あの死んだ人たちに入って居た魂は?」
「全部死んでたさ。それに加担してたとはな。アイツだけは許さねぇ」
あの後、この世界の在り方を、グラムに聞いた。
この世界には、先住民、いわゆる人に似た知性の存在があった。
その存在に初めて接触したのが、僕の叔父だった。
叔父は、彼らに持ち掛けた。
肉体を与えよう。概念を与えよう。存在を証明しよう。その為に仮の器を動かさせてくれないか。私たちと同じ姿をした人類。その活動を君たちに担ってもらいたい。
その事を、彼ら……叔父が言うにアースニウム世界の原始が了承した。
人との同一化をするために、彼らが持ちうる特殊な鉱石でアクセサリーを制作し、人間がもつ技術で、世界を映し出した。
その中心にあるセフィロトを解放することを条件に。
そのセフィロトは、世界を統合し、意識だけだった彼らに、肉体を与えられるそんな代物だと語った。
それは、七つの宝石により縛られ、統合させるのには七つすべてがそろった時だった。
そこから、叔父は自然の力を出し切るためのシステムを走らせた。結果、七光鉱石が生まれ、その余波により、他の彼らも鉱石を生み出せるようになり、七光鉱石は自然界に存在してる物に自我を与えた。
その結果がグラムたち『自然幻想』アースイマジンと言うこそだった。
そして、間借りしている人間が死ぬと。
アースニウムはそのまま消滅する。
「そんな事になってるなんて知らなくて、僕たちは」
「鏡さんは悪くないさ。先人の僕や、その他の所有者が知らなかった事に問題がある」
「っち。で、オニキスの持ち主には本当に心当たりねーんだな?」
「うん」
黒い粒子の持ち主、彼は七光鉱石の一つオニキスの所有者で、唯一石を反転させる才能を持っていたようだった。
「お兄ちゃん!」
明るい声が、洞窟の先から聞こえ雄二さんはそっちに走っていった。
そこには年齢で言えば十歳そこそこの、黒髪のショートカットでショートパンツにマントを羽織った女の子が居た。
「全部終わったぞ。大丈夫だったか?」
「うん! 何もなかったよ!」
二人はしっかりと抱き合いながら、お互いの存在を確認しあっている様だった。
何分経っただろうか? 僕にも分からないほど時間がたち、二人が離れてこちらに歩いてきた。
その間、何も考えてなく思考停止していた自分を殴りたいと今更思う。
「お待たせ。この子が僕の妹の――今はリリィ」
「は、初めまして! 兄がお世話になっています!」
大きくお辞儀をされた僕は慌ててお辞儀を返してしまった。
「いえいえ。僕の方こそお世話に」
「女の子なのに僕って言うの?」
「いろいろあるから聞かないでね?」
痛い所をついてくる。
いや、直観的に、この子身長も145くらいあるし、何か引っかかる感覚が。
「で、そっちの彼が僕の相棒になるグラムだ。グラム、挨拶してくれないか?」
「あ? ……、っち。俺はグラムだ。よろしくな」
グラムの対応にも違和感を感じた。
なんていうのだろうか? こう、関りを持ちたくないような、恐れているような?
「グラムさん。よろしくね!」
無邪気に見えるけど、すごい違和感が。
気持ちが悪い。
「おい。ここから出るのに時間がかかる。ついでだ。俺を使って外に出な」
「え? でも、ここからなら直ぐに出れるのでは?」
「いいから、やれ!!」
間違いない。
グラムは何かを感じている。
この世界に生まれたものだから感じる何かなんだろう。
「わかった。リリィ少し離れていてくれ」
雄二さんは右手を振ってから、前方に伸ばした。
「グラム!」
すると、右手に一本の刀が出現し、それは金色に輝きながらも蒼い光に金色の粒子を散らしてる。
「グラムって二振りだったきが?」
「なんか一本がいいみたいだ」
そう言って、右上から切り下し、左から水平に切る動作をしたら、振り上げて両手で構える。
「スキル名はあるんですか?」
「いいや。グラムが言うには集中して、イメージをグラムに送ればいいらしい。今回は外に出れるだけの範囲で調整してくれるようだから、それを信じて振ってみるさ」
そう言われたから、僕はリリィちゃんを腕の中に抱え、近くの岩陰に隠れる。
「……ふぅ。すぅ」
すごい圧が周りを支配していく。
言葉で言うのなら、何度も全身を空気の圧力で潰そうと迫ってくるそんな感じ。
まずい。この感じは。
僕は、直ぐに剣を、と思ったが破損してたので、粒子をコントロールできないか試してみる。
右腕に集中して、粒子で自分たちを囲うように。
赤い粒子が、少しずつ放出されていくが、その間どんどん圧が強くなる。
「雄二さん! この圧力はリリィちゃんにも負担が!」
そう叫んでも聞こえてないのか、更に出力を上げていってる。
辺りには、金の粒子が混じった青い粒子が渦巻き、時々破裂したように襲い掛かって、鋭い斬撃を浴びせたかのような亀裂が洞窟に入る。
まずい、まずい!
このままだと僕達まで、意識を研ぎ澄ませ。感覚で感じろ。今だからこそ意識を集中させるんだ。
その間、スカートが翻り、服もピタって張り付くような感覚に加え、リリィちゃんの身体が僕に押し付けられるような感触もある。
「お姉ちゃん、胸大きいんだね!」
無邪気な声。
その言葉に、全身の血が顔に溜まっていったのを自覚する。
意識が離れて、赤い粒子が青い粒子と衝突し連鎖的に爆発を起こす。
「な、な、ななななな、何言ってるの!? リリィちゃん!?」
「だって、こんなに顔に柔らかいのって初めてなんだもん! 同級生のマギちゃんもすごかったけど、女子高生ってこんなに柔らかいんだね!」
その言葉で、頭がショートした。
火花が散るってホントなんだ。真っ白だ。女の子って怖い。
「はぁ!!!」
そして視界の先に雄二さんが刀を振り下ろしたのが映り、その刀の軌道がそのまま目の前の岩盤を吹き飛ばしていた。
その間も地響きを続けており、真っ白な頭では何も考えられない。
「お姉ちゃんプロポーションもよさそう」
そう聞いた時、警戒したものの一つが判明した。
この子、女の子もいける口だ。
小学生が関心持つ、女の子なら早い段階で知識を得ると言うけど、それを兄の前では一切出さないその感覚。純粋じゃない。この子は小悪魔じゃないか。
「僕男だよ?」
全力で振り絞った声は、次の一言で霧散する。
「エッチな事考えたでしょ? そうじゃないよ。今は女の子なんだから、精神がどうでも関係ない。そもそもそっちに結び付ける時点で、アウトだよ。お姉ちゃん」
耳元でささやかれて、自分のふがいなさと、背中がぞわっとした感覚は一生忘れないだろう。
地響きが収まり、リリィちゃんは僕から離れて、雄二さんに駆け寄る。
「お兄ちゃん!」
数分思考停止してながら、小耳に聞こえてくる言葉があった。
「えー。でも私お姉ちゃんみたいな人が家族に欲しいな!」
さらっとすごいことを言ってるが、それを流す。
僕はいつの間にか近くにいたグラムに耳打ちをした。
「ねぇ、グラム。グラムが警戒してるのって、二面性があるから?」
一瞬にらまれたが、素直に答えてくれた。
「いや、ちげーよ。アイツは人であり人あらざるものだ。お前も気を付けることだな」
そう言ったのち、グラムは離れていった。
その間も雄二兄妹は騒いでたが、気にするとまたショートしそうなので、雄二さんが明けた出口を見る。
そこには幅5メートル高さ8メートル、奥ゆきは分からない程の大きな斬撃の跡ができており、奥に連れて幅が広くなり、緑色と青色の世界が口を開けて待っていた。
次回は洞窟から出る所になります。
更新は遅いですが、何かありましたら、コメントの方でよろしくお願いします。




