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伝説の始まりは現実の終わり  作者: 一ツ柳八重
アンダーグラウンド
26/53

双刀グラム

前回の続きです。

「何呆けている」


 そう、言葉を聞き取れたのは、叫んでから何分後なのかすら分からない。

 そもそも、さっき我とか言ってたのに、結構好青年な感じなんですけど?

 そう言うのも、今私の目の前にいるのは、身長は170センチ前後で、赤紙、西洋の鎧の腰部分を付けて、上半身をはだけた和装のかなりアンバランスな格好の青年だ。

 目が透き通った紫系の色に瞳を奪われる。


「話していいか? それと、我って言ったのは、インパクトでな」

「は、はい」


 あれ? なんだろうこの感じ。


「自己紹介……はいらんな。お前のポップとか言ったか? それに出てるだろう」


 そうだった。

 デルを倒した際のウィンドウを見てない。

 改めて確認すると、経験値は800、ドロップ品無し、オブジェクト出現。

 ええっと、オブジェクトは双刀グラム?


「グラム?」

「そうだ。俺はグラム。そこに転がってる真っ二つに割れた剣の残骸だ」


 視線を向けると、上と下、刀身の根元に近い所から折れて転がっている。周りには淡い光が漂っていて、グラムに光を与えてる。


「で、なんでグラムはドロップ品じゃないの?」

「それは、俺がアイツの装備品として紐づけられてるからだ。七光鉱石だったか? それのリンク武具としてな」


 なんか言ってたと思う。


「そのグラムさんはなんで消えてないの?」


 純粋な疑問。

 武器には耐久値がある。

 それろ越えた場合、粒子状に分解されて消え、装備品の一部がアイテムとして手元に残る。この理由は、破損したものを継承し更に強度を増すためだ。耐久値が落ちていくと同時に強度値が蓄積されなん十本目となり、腕のいい職人がうつと、業物になるとか。

 こんな事初めてで詳しくは知らないんだけどね。

 その為、真っ二つになった場合などは、耐久値とは関係なく破壊されたことになり、そのまま消失する。


「あ、お前、この世界の形を知らないんだな」


 この世界の事?

 あの時の彼女からは、確か投影してるような感覚を教えられた気がする。

 確り思い出してみる。

 まず、私たちのいた元の世界は現実の世界。そこからアクセス機により、ゲームの世界に転移してきてる。

 それが表向きの設定。

 実際は、何万光年と離れた、地球に似た全く別の進化と発展を遂げた星に移動しているだけ。

 分かりやすく言うと、VR技術に近く、ゴーグルをはめる前は現実の部屋にいる。でも、ゴーグルをはめると、目に見えるのは遠く離れたサーバーやネットの世界。処理しているのは自宅の――VRを接続しているパソコンだったりテレビだったりするけど、データはそこにはなくて落とす前の、ネットの繋がった先に視界が繋がってる……だったかな?


「簡単に言うと、仮想の世界を実際に体験してるって事だっけ?」


 そうまとめた。


「やっぱりその程度か。しゃねー。そこの馬鹿を起こして、おいおい話してやる。急がないといけねぇみたいだしな」


 グラムは傍らで倒れてる、ええっと誰だっけ? 中田? 田中? 雄二……そう! 雄二さんの元に行って右足を上げ――。

 そのままふり払った。


「っ!?」


 勢いよく吹き飛んだ雄二さんは、途中で目を覚ましたようで、一回転して滑る。


「なんだ?」


 こちらを見て立ち上がり、辺りを見回す。


「僕は。そうだ……確か由紀ちゃんに助けを求めて。最後にアクセス機を壊されそうに」


 少しずつ整理するため呟きながらこちらに来る。


「! アクセス機は?!」


 慌てて確認して、あることに安心したのか、僕の目の前に来る。

「改めて礼を。ありがとう。僕も殺さずに救ってくれて」

「いいえ。気にしないでください。それよりもそちらの、グラムさんが凄い殺気で見てるので何とかしてくれません?」


 恐る恐る、指を指し気づかせる。


「もういいか? おい、雑魚野郎。貴様が俺の所有者になるから、そこの双刀を抜け」


 修復か何かが終わったのか、そこには大きな切り株と、二振りの刀が刺さっており、柄の部分もくすんでいて、年季物の本当に使えるのか分からない程ボロボロだった。


「おい。失礼なこと思っただろ?」

「い、いいえ? 別に」

「隠しても無駄だ。一度抜いてみろや」

「え? でもさっき雄二さんに」

「グダグダ言ってないで、さっさと試せ」


 そう言って、背中を追われた。

 近くで見ると更に古く感じる。

 くすんで見えたのは、金? か何かの輝いていた部分が錆びていて、光沢を失っていたためだと、今気が付く。

 刀身に見えてたところは、そもそも答申ではなく、透明の、いうなれば某アニメのバリアみたいなのが乱反射して、そこに刃があるように見せられていただけだった。

 実際は、柄だけが宙に浮いている感じで、見えない靄が切り株の面まで伸びており、切り株には見えない何かの傷がついてる。

 それを見て、切り株本体に刃が収まっている、と直感的に感じ取った僕は、柄に触るのを少しためらった。

 理由は簡単。

 今いる世界は、僕にとってはゲームが現実になった世界だ。

 そして目の前に柄と見えない何かがある。

 よくある選定の剣だ。


「何も起きないよね?」

「女々しいこと言うな。女だろうが戦うなら男と同じだろ」


 そう言われ、躊躇いを吹き飛ばし、右手で柄を握った。

 髪が逆立ち、全身に衝撃なのか分からない変な感覚が襲う。

 イメージだと、行きなり突風が柄を中心に吹き荒れ、圧殺するようなそんな感覚だ。


「う!」


 こんな説明では分からないだろう。僕でも聞いたってわからない。

 そんな感覚に息を漏らし、力の限り引き抜こうとしたとたん、何かが胸を打った。

 全身が硬直して、心臓が止まったと感じるそんな衝撃。

 咄嗟に手を離した。

 上空に吹き飛ばされ、雄二さんの足元に転がる。


「っかは」


 息ができた。

 今のは?


「わかったか。ぼろく見えても使えない様に見えても、それは主観でしかない。俺たちのような者はその主観の外から生まれるんだ。お前がぼろいと思ってたとして、それは所詮、見た目だけでしかねぇんだよ。本当の価値や、性能は見ただけじゃわからねぇんだ。覚えとけ」


 そう言って、抱えて立たせてくれたグラムは、実は優しい人なんじゃ? と錯覚するが即否定した。


「おまえ、さっさと抜け」


雄二さんに指示を出していかせる。


「僕まで吹き飛ばされないかい?」

「いいからさっさとしろ! 俺が力使えねぇんだよ!」


 そう聞くと普通に柄を握った。

 そこを中心に、突風が起こり、服が乱れる。

 咄嗟にスカートだったから庇おうとしたら。


「お前の下着なんざ見ねぇから安心しろ」


 そう言われて、背中側に移動させられた。

 風が収まると、雄二さんの手には二振りの刀が握られており、青い粒子を出してるのと、金色の粒子を出してるので分かれていた。


「これでいいかな?」

「上出来だ。俺はグラム。昔聖剣として生まれ、後にまけんと呼ばれた」

「憤怒の剣か。僕にふさわしいな」


 その声はどこか寂しそうだった。


今後もっとしっかりと書けたらと思います

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