少女
少しまとまりましたので更新です。
翌日朝6時。
ぼんやりとした頭で昨日の事を思い出す。
昨日の夜はいつも通りの日常と、恐怖を確認した。それと同時に懐かしい思い出を思い出し、学校に行こうかと一瞬脳裏をよぎる。
日はこの時期だとあまり入らないが、スズメは普通に鳴くから朝だと実感する。家には誰も居る気配は無く、この時間が僕の唯一気が休める時でもあった。
朝の清々しい光を浴びようとベッドから降り、カーテンを開ける。日の光が少しだけ入って部屋を明るく照らす。それでも僕の気持ちは晴れる事無く、結局行く気力もなくなっていた。でも勉強はしなければいけないので、そのまま机に向かった。
いつもは苦手な英語をやるけど、今回は英語ではなく電気系の参考書を取り出す。引き出しを開けて筆記用具とノートも取り出し、勉強する準備が整う。
パラパラとページをめくり、今興味を持ったものを書き写していく。こう言うのは声に出して言えばいいのだけど、そんな事をしなくても覚えられる。それにこの参考書少し特殊で見ていて面白い。
「色の連想かぁ」
今写しているのは色の連想。色から受けるイメージやそう人に与えると言う効果の物だ。
「赤が情熱、革命、危険、活力」
元気や危うい物に対してそう感じるのかもしれない。止まれの標識が赤いのも危険を暗示しているところからなのかな。
「へえ……白色に合わない物が入ってる」
今は最後の中間色、白色について見ている。白には清浄、潔白、神聖は分かるけど、不吉と言うイメージもあるらしい。意外性があってこうゆう事を知るのも楽しみの一つになりそうだった。
でも、病院って潔白とか神聖って感じで白を使ってたはずだけど、これ見ると少し印象が変わるなぁ。
もし不吉って言うのが事実だとしたら、病院の白は不吉とも取れる訳で、そうなった場合恐怖が先に来るんじゃないんだろうか?
例えでは、死んでしまうかもですけどごめんなさい! 的な。
そんな事普通に考えてある訳ないだろうし、考えるだけにバカらしい。でも、本当に不吉という意味を病院に当てはめるなら、それは病気と闘ってもまっさらに最後にはなると言う二つの意味なのかなぁ、と思ってしまう。
そんなこんなで二時間ほど勉強をして時刻は八時。
「今日も行かない。向こうの世界に行こう。今日は街の中を見て回ろうかな」
最近初めて街に行ったけど、きちんと探索はした事なかった。
街に行って、錦戸さんに連れ去らわれて詐欺に会いかけて殴られて。
うん! 僕って向こうの世界だと訴えたらお金もらえるんじゃない? とか細やかに本気で思っている節もあるけど、そんな事しても何も楽しみなんてないし、錦戸さんは詐欺から守ってくれた人なんだからそんな事言っちゃ悪いよね。
「でも、あれは本当に痛かったなぁ」
椅子の上で天井を見ながらそう呟く。もう一つの現実と言われてるだけあって本当に僕にとっては向こうが現実で、こっちがネットの世界みたいに感じる。その感じは悪夢を見ているような物で、内容は知らない生き物に殺される夢。何時間も逃げて、拒絶しているのにその生き物はゆっくりゆっくりと追いつめてくる。追いつかれたと感じたときにはすでに遅くて、体の自由を奪われる。そして、精神を蝕み少しずつ自分じゃないと感じて来たら最後。最後に残ったのは人の形をしたただの塊で命令されたら動く意志の持たない人形と言う感じだった。
「ばかばかしいこと考えてるなぁ。昨日過去の優しいこと思い出して嫌な現実に耐えて、恐怖を感じたのに、優しい思い出が支えにならない程に蝕まれていたんだ」
そう自分で声に出して言ったら以上に虚しく感じた。
「やっぱり学校になんて行きたくない。あんな先生がいる学校になんて! 親なんて守ってくれるどころか、僕存在も否定するんだから」
最後はほとんど人が居ても聞き取れないほどに小さい声だったと思う。自分でも発音したのか分からなかったからだ。
そう呟いた後にブレスレットを右腕に付けて旅立った。
※※※
こっちの世界に来て、いろいろ周って見た。露店にはたくさんの装備品に食べ物、小物など沢山置いてあった。
天候は晴れで、申し訳程度に風も流れている。いたる所に鳥らしき生き物もいて、現実の朝に似た感じを与えてくる。今は多分九時くらいだろうか。清々しい感じもして、ここが電子で作られているとは思えないほどだった。
「そう言えば服屋ないかな? パジャマのままで来ちゃったし」
少しあたりを見回してもそれらしきところは見当たらない。そこから移動して街の東側を見て回る。ざっと中央通りから見てきたけど、地域によって売られている物が大体決まっている事に気が付いた。
中央広場やLTS周辺には武器や本などの戦闘関係の物が売られていて、西側には文房具やゲームなどが売られている。ここ東側には生活雑貨が売られているらしく、もちろん服屋もあると教えてもらった為にここに居る。
パジャマ姿だといろいろはだけていて視線が痛い。
「ねぇ、君。ここ初めて?」
後ろから声を掛けられた。声は透き通っていて、よく響きいつまでも聞いときたい落ち着く感じの声音。
そちらに振り向くと、歳は15前後の少し長めの髪形をした女の子が立っていた。顔たちは整い、目は少しつり目の気の強そうな女の子。どこかで見た事あるような気がする。
「ねぇ、聞いてるんだけど?」
少し敵意を感じるような声で再度聞かれた。その際は腕を組んで威圧するような構えだ。そんな感じなのに視線は僕から少しも外さずにまっすぐに見てくる。
「え、ええっと、は、はい」
おどおどして答える。今も人の通りは激しくて声も大きい中、僕の声は細々と言った為相手に聞こえたのかも危うい。
「そう。なら付いてきて。服探さないとそのままだと変なのに狙われるわよ」
彼女は僕の手を取り歩き出した。人ごみは中々歩きにくいはずなのに、彼女はすらすらと僕を引きながら歩いてくれている。
「君は?」
「私? そんなの気にする事じゃないでしょ」
すっぱりと断られた。
「で、でもお礼も言いたいし」
「お礼なら今言えばいいでしょ。わざわざ名前なんて聞く必要性無いじゃない」
もっともだけど、どうしても名前が知りたかった。
過去にこの顔立ちに似た人と知り合いだった気がして、その人と同一人物か気になっただけかもしれないけど。
あんな事思い出したからそう感じるだけなのかもしれない。
「ど、どこに向かってるの?」
「今更それ聞く? 服屋よ」
呆れた声でそう答えてきた。表情は見えないけど空気も僕の事をバカにしているのは察しが付く。
しばらくすると一軒の寂れた建物の前に来る。
新しさは全く感じなく、木造作りの築100年は超えてるだろうと言うほどボロボロだった。
「着いたわよ」
「ここ?」
疑問に思いながらそう聞いてしまった。
「あんたは何を見てるの? ここになんて書いてある? 見えるでしょ? それとも日本語がとめないの? そこまでバカじゃないでしょ。もしそうなら私の目の前にいるのは女の子じゃなくて女児ね。小学生よりも小さい幼稚園児よ。ここには小さいけどルージュシュナイダーって書いてあるでしょ? ここの店主はバカだけど、紅の仕立て屋って書いてあるでしょ! 服屋よ! オーダーメイド専門だけどね」
聞いてしまったのが最後、思いっきり怒られた。それに殴られ、この他にも罵詈雑言を吐かれてやっと落ち着いたのかと思ったらさっさと中に入って行ってしまった。
今回はそのまま行った場合の事を書いてみました。
後は色について。
みなさん知ってそうで怖いですけど、温かい目で見てください。




