10話 ケーキと師匠
翌日。
駅前のカフェ。
待ち合わせの時間より少し早く着きました。
窓際の席。
いつもの席です。
「……やっほー。」
サクラさん。
黒髪で小柄です。
いつも眠たそうな顔をしています。
表情はあまり変わりません。
でも。
「ケーキ。」
甘いものは大好きだそうです。
「今日は新作らしいですよ。」
「……食べる。」
向かい合って座ります。
季節のチーズケーキとカフェオレを二つ。
「いただきます。」
「……いただきます。」
一口。
「……。」
「どうですか?」
「……おいしい。」
サクラさんとは、中学生の頃に出会いました。
七不思議を調べていた時です。
あの時は色々ありました。
当時私は何かいるのは分かるのですが、はっきりとは見えていませんでした。
なのでとりあえず気になったら調べていました。
もちろんアラト君も一緒です。
そのせいでアラト君が大変な目に会いました。
そんな時。
サクラさんは親身になって相談に乗ってくれました。
そこからです。
1ヶ月に一度くらいサクラさんとこうして会うようになったのは。
色々な事を教わりました。
ピントの合わせ方。
近付いてはいけないもの。
逃げた方がいいもの。
触れてはいけないもの。
だから今の私はあります。
まだまだわからないことは多いですが。
「……そういえば。」
サクラさんが言いました。
「これ。」
「これは?」
「……破魔矢。」
「ありがとうございます。アラトくんに御利益グッズとして渡します。」
「……ん。」
「……水辺、行った?」
少しだけ考えています。
「……もしかしたら。」
私は話します。
神社の人魚のミイラのこと。
サクラさんはカフェオレを一口飲みました。
「……。」
静かです。
何かを見ています。
「サクラさん?」
「……それはあまり近づかない方がいい。」
「……はい。」
もう一口。
それから。
「他になにかあった?」
「……実は?」
音楽室の件を話しました。
「……うん。」
「あれからアラト君、何か思い出したように赤くなります。私も何故か体温が上がる気がするんです。」
「……。」
サクラさんは黙ります。
「サクラさん?」
「……専門外。」
「え。」
「変なのは憑いてないから。」
「……そうなんですか?」
よく分かりません。
「そういう話なら、きっとセイコの方が詳しい。」
セイコさん。
アラト君のお姉さんのお友達。
優しくてきれいな人です。
「今度会った時聞いてみます。」
「うん、そうして。」
その後は、二人でケーキを食べてお話しました。
いつもよりケーキが甘く感じました。




