↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら魔王が勇者になりました。  作者: よく分からん生命体
三章 白の死神 第二幕 タルタロスの迷宮
90/126

88話:水底に眠る黒い影

 目を覚ましたら人の寝息が聞こえる。


 久しぶりだなこの感じ。

 最近はシャカと寝ててもシャカが先に起きてたし、それまではずっと人と眠ることもなかった。


 今日もまた嫌な夢を見なかったな。


 改善に向かっているのか……?


「んぅ……。」


 いや、またシャカがそばに居てくれたのか。


 本当に不思議だな、シャカがそばに居るだけでこうも悪夢を見無くなった。


 この子は獏かなにかなのだろうか。


「仲良いねぇあんたら。」


 昨日の、このパーティーのリーダーか。

 見張りをしてくれていたのか。


「おはよう、そう見えるかな。」

「そりゃくっついて寝てたらそうにしか見えねぇだろ。」


 ……ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべて、一体何だって言うんだ。


 深い意味なんてない。前の依頼からずっとシャカは俺の我儘を聞いてくれているだけだ。


「仲はいいけど、君たちの思っているような関係ではないよ。」

「へー、それならどんな関係なのか聞かせてもらおうじゃねぇの?」


 こういう絡み方をされるのは正直ウザイ。


 本当にただシャカが優しいだけなのに。


「そもそも、シャカは男の子だよ?」

「男と添い寝する野郎なんか見たことねぇよ。」


 いや、はい。


 でも実際にいるんです。


「おい、なにアル虐めてんだ。」

「うぉ!?脅かすんじゃねぇよ嬢ちゃん……。」


 あー、起こしちゃった。


 シャカ、ちょっと機嫌が悪くなってるな。後で肉でも分けてあげよう。


「兄ちゃんも、こんな凶暴娘の世話なんて大変だなぁ。」

「むしろこっちが世話をされているよ。

 あと、シャカは別に自分から噛み付いたりはしないよ?」

「んな冗談を!」


 冗談じゃないですよ、ここでシャカの機嫌が悪いのはあんたらが変にイジるからですよ。


「リーダーうるさい。」

「お、起こしちまったか。悪ぃな。」


 連鎖するように起きてきた。


 すごいな、パーティーの一人が起きるとみんな起きるようにしているのか。


 あれ、でも一人だけ起きるのが遅い子がいるな。


「おいナーヴァ、お前も起きろよ。」

「むにゃ、もう少し寝ててもいいじゃんかぁ……。」


 あぁ、昨日の弓使いの子か。

 バンダナが目立つ。いや、これターバンか?


「新入りだからって優しくされると思うんじゃねぇぞ?」

「はぁい。」


 これで全員起きたか。


「それじゃあ、今日は引き続きあの蝙蝠(コウモリ)共の穴の中を探す。

 どうやらあいつらは俺たちをもう襲わないらしいから二人一組に別れて探していこう。」


 確かに手分けして探した方が手っ取り早いか。


「七人で一人余るんでな、一グループは三人になってもらう。

 組み合わせは実力が均等になるように俺が決めさせてもらった。


 俺とキーラと。アルタロムと嬢ちゃんとナーヴァ。タロとジロ。の三組で組んでもらう。」


「なっ、そっちのメンバーと組むのか!?

 元々のパーティーで分けた方が連携とか取りやすいだろ?」


 それに、他のパーティーに迷惑だとは思わないのか?


「ナーヴァは射撃の命中精度は高いし、襲われても遠距離からすぐに迎撃できる奴がいた方がいいって考えたんだよ。」


 いやいや、何を言っているんだこいつは。


 何が「実力を均等に」だ。明らかにお荷物をこっちに押付けてるだけじゃないか。


「ま、そういうことでさっさと行くぞー!」


 人の意見も聞かずに勝手に進んでいきやがって……。


 昨日は助け合いとか思ってたけど、こいつら自分勝手なだけだった。


 しくじったなぁ、下手にこの子を置いていく訳にもいかなくなったし、このままだと都合の良いままに使われるだけになりそうだ。


「あのぉ。」

「あ、ごめん。えっと、ナーヴァくん?」

「ナーヴァでいいよ。」


「わかった。それで、どうしたの?」

「あぁ、まずはどこの巣穴から見ていく?」


 探索する意欲は結構ありそうだな。


 弓使い……。


 基本は後方に下がらせておいて、背後から攻撃が来た時に迎撃するようにしてもらおうか。


 魔力を使わずに遠距離攻撃ができるとかなり楽になるからな。


「巣穴を見るとして、こうも数があるとしらみ潰しに探していくしかないよね。」

「うん、だから俺たちはあそことあそこ、あとあの巣穴も探した。

 まぁ、大体食料庫かトイレだったけどね。」

「全部覚えているのか?」

「もちろん!」


 記憶力がいいなこの子。


 ここにいるのは昨日で三日と言っていたが、三日の出来事をここまで正確に覚えているとは。


「それじゃぁ、行っていない所を教えてくれ。

 シャカはそれを聞いて好きなとこ選んで。」

「あいよ。」


 しらみ潰しなら俺が決めるより先頭のシャカが思った場所に進んだ方がお互い楽に進めるよな。


「え、君が先頭なの?」

「文句あるか?」

「ちっこいし、武器もないのに危なくない?」

「ちっこい言うな!」


 この子はド直球にストレートを投げてくるなぁ。


 でも、遠回しに煽られるよりは全然マシだな。


「一つ目はここでいいか?」

「うん。ここでいいよ。」


 多分次の階層に向かう階段があるのは螺旋階段の半分より下だ。


 半分くらいまで登ってきて順に降りながら見ていこう。


 というか、せっかく地図買ったんだから三階層の階段の位置も書いてくれよ。


 三階層は螺旋階段ですよ。しか書いてねぇって舐めてんのか!


「それじゃ、俺が中に入るから。」

「了解。気をつけてな。」


 一気に突っ込んで行ったなぁ。


「ほんとに一人で行かせていいの?」

「見てればわかるさ。」


 ”キィキィ!”


「あの、なんか中からすごい悲鳴みたいな鳴き声が聞こえるんだけど。」

「多分蝙蝠(コウモリ)の断末魔だよ。」


 こいつらみんなシャカのこと舐めていたが、これがシャカです。


 上でジャイアントバットの群れを一人で一掃してたらしいし、多分純粋な実力だと俺も完勝できるか怪しい。


「あの子すごい強いんだね。」

「初対面の人の顔面にビールぶっかけたやつだから、怒らせない方がいいよ。」

「肝に銘じておくよ……。」


 さて、シャカならそろそろ終わってもいい頃かな。


「おいナーヴァ!そっちに行ったぞ!!」


 この声はリーダーって呼ばれてたやつの……?


 一体何が来ると言うんだ。


「痛っ……!?」

「え、ちょっ、ナーヴァ!?」


 なんだ、何に傷つけられたか見えなかったぞ。


 というかまずい、このままの体勢だとナーヴァが落ちる。


 助け出そうにも手を掴むのは間に合わない。

 詠唱をしていたら魔法を使っても間に合わない。


 かくなる上は……!


「うわぁぁぁ!なんで一緒に落ちてんのぉぉぉぉ!!」

「いいから掴まってろ!」


 なんで二日も連続で人を抱えて落ちなきゃいけないんだか。


 ”キィキィ!”


 さっき襲ってきたのはこのハンターバッドか。

 通りで羽音が聞こえないわけだ。


 てか、なんで襲われた……あ、俺とこいつ蝙蝠(コウモリ)食べてないや。


 それで俺たちは蝙蝠に襲っても大丈夫って見られていたと。


 となると横穴はダメだな。


 バットは種族が違っても同じ群れに属することなんてざらにある。


 多分ここにいるバットたちはみんな同じ群れのやつだと考えると、こいつにナーヴァが襲われた時点で他のやつからも攻撃を受ける。


 となると……


 ん?


 なんか、最下の端の方に違和感がある?


 ……あぁ、そういう事ね。


 解除(マジックキャンセル)


 ビンゴ、やっぱりなんか隠れてた。


 あれは湖だな。


「ナーヴァ、目つぶってろ。」

「え、あ、うん!!」


 影の大蜘蛛(シャドースパイダー)


 壁に影を突き立てて、少しでも勢いを殺せ。


 他のやつに見られたくはないから目立たないように飛び込め!


「息吸いこめ!」

「え!?」


 ”バシャーンッ”


 無事着水できたか、水中はすごい綺麗なんだな。


 あとは外に浮かんでいけばいい……って、なんだこれ。足になんか絡まってる。


 仕方ない、まずはこの子だけでも先に浮かび上がらせるか。


 まずはこのこの目を開けないと、肩を叩けば目を開けるかな。


 よし開いた。


「っ!?」


 なんだ、目を開いたと思えばいきなり驚いて。

 そりゃいきなり水中にいたら驚くだろうけど、着水した感覚はあっただろう。


 それより早く浮かび上がれ。


 ジェスチャーで伝わるかなこれ。


 ”ゴォォォォ”


 ……あれ、これ一体なんの音かな。

 物凄く嫌な予感がするんだけど。


 何をするんでもまず君は上がってくれ。


 影の烏賊達(シャドースクイッズ)


 影で作った戦闘力のないただのイカだけど、人を送ったりするだけならちゃんと全うしてくれるだろ。


 影の触手(シャドーテンタクル)


 さて、迎撃しないといけなさそうな嫌な予感をさせてるお方はどちら様かな?


 音からしてあまり離れていない、岩陰に隠れて来ているのか?

 もしそうだとすれば賢いな。


 ”ドォォォン”


 岩を砕いた音!そこか……って、待ってお引き取り願いたい。


 さすがにシーサーペントは聞いてねぇんだけど!?

最後まで読んでいただきありがとうございます。


よろしければブックマークと評価をしていただけると幸いです。


あと、励みになるので感想もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。