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転生したら魔王が勇者になりました。  作者: よく分からん生命体
三章 白の死神 第二幕 タルタロスの迷宮
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87話:階段のない階層

本編に入る前に宣伝させてください。


本日投稿しました作品も良ければ読んでやってください。

この作品のスピンオフのようなつもりで書かせていただきました。


鏡写の勇者

https://ncode.syosetu.com/n7862lb/

 金切り音みたいな鳴き声が穴中に響き渡ってて音だけで何匹いるかなんて判断できない。


 視界は暗い上に、ジャイアントバットが多すぎて数が分からないし。


 どうするか。


 冒険者としての基本を思い出せ。


 窮地に立った時、まずは周りを見渡して使えそうな物や場所を探す。


「シャカあれだ!掴まれ!」


 発見し次第最短で回収か移動。


「え、うわぁ!?」


 反対側に一箇所ジャイアントバットが出てきていない穴がある。


 シャカを抱えて反対側に飛び移れるか?


「落ち、落ちてる!」

「落ち着け!」


 ダメだ、圧倒的に助走が足りてない。


 このままじゃ本当に落ちる、なにか……


 影の触手(シャドーテンタクル)


「掴んだ!」


 ”キィキィ!”


 蝙蝠の足に絡められた。


 悪いけど俺たちが穴に飛び移るための支点になってもらうよ!


「うわぁ!!」


 振り子で届くか!?

 

 いや、ダメだ!


「え、わぁぁぁぁ!?」


 届かない、ならせめてシャカだけでも穴の中に投げ入れる。


 だがやばい、この後どうするか急いで考えて……


 ”ガッ……”


 痛っ!うわ、頭打ったかも。


 あれ、視界が暗くなった……?


 体も動かない。


 あ、これはやばいかも。


 ”ドンッ”


―――――


 全身が痛い。特に頭が。


 生きてる……。


 落ちたってことはここは三層の最下か?


 でも、それならなんで天井が?


「起きたか?」

「……シャカ?

 うん、起きた。」


 シャカが助けてくれたのか?


 いや、あの状況なら無理だ。


 できたとしたらどうやって?


「あの後、一体何が起こった?

 なんで俺は生きてるんだ?

 ここはどこだ?」

「順に話してやるからいっぺんに質問してくんな!」


 怒られた。


 いやしかし、あまりに想定外のことが起こりすぎていて何が何だか。


「アルタロムが俺を穴ん中に投げ入れた後、落ちたお前はバットの背中に乗って行っちまったんだよ。

 急いで駆けつけて来たらここでお前が寝てた。」


 そんなこと起こり得るのか?


 まぁ実際穴の中にいるし、あのジャイアントバットたちは人馴れもしてたから起こらない事も無い……のか?


「ん、この頭の包帯は?」

「落ちる時頭打っただろ、血だらけで大変だったんだからな。」


 手当してくれたってことか。


 巻き方はちょっと雑だな。


「俺が戦うって言ってたのに無茶しやがって。

 なんだよ、なんか文句あんのか?」

「いや、文句は無いよ。 ありがとう。」


 なんか少し怒ってるみたいだな、本気の感謝なのに。


「そういえば、静かだね。

 ジャイアントバットたちは?」

「あ?ここ。」


 え、食べてる……。


「美味い?」

「毛がモサモサしてて不味い。」


「食べて大丈夫なの?」

「さぁ。」


「死ぬぞお前。」


 蝙蝠(コウモリ)って物凄く不衛生だよな。


 よく生でそんなものを口に入れられるな。


 しかも不味いって言ってんのになんで食ってんだよ。


「全部倒したのか?」

「襲ってくるのは粗方な。

 殺してるうちに他の巣穴に逃げてっ行っちまったよ。」


 賢明な判断だな。


 というか、やっぱり竪穴に入ったあとシャカはジャイアントバットを倒してくれてたのか。


 何匹かは知らないけど、疲れただろうな。


「それじゃあ、そろそろ行こうぜ。」

「あぁ、そうしよう。」


 どのくらい経ったのかは知らないけど、シャカはそれなりに体は休まったかな。


 いや、俺は全身痛いけど。


「あいつらが居なくなったら降りるのはすげぇ楽になっただろ?」

「まぁね……。」


 ”キュゥ……”


 すごい怯えた鳴き声が聞こえる。


 元々、バット種は臆病なせいで群れを作る性質がある。


 仲間を文字通りバラバラにされた挙句食べられたんだから、自分だって何されるか分からなくて下手に出られないよな。


「……下になにか見えないか?」

「え、見えないけど。なにか見えるのか?」

「なんか、一番下の方から光?かな。」


 光……ということはまさか。


「シャカ、すぐ降りよう!」

「どうした急に?」


 多分下にいるのは冒険者だ。


 滲むように光を放つ石しか光源のないこの迷宮(ダンジョン)で目立つ光ということは明らかに人為的に作られたものだ。


 階段のない場所から光が放たれているってことは底が見えてきたということだ。


 話し声も聞こえてきた。そろそろだ!


「うわ、危なっ!?」


 矢!?


 顔面を掠めたぞ!?


「なんだ、人じゃねぇか。」

「人だよ!いきなり撃たなくてもいいじゃないか!」


 なんて、こんな場所で言うのは甘いかなぁ。


「悪いな、ここは魔物が多くてみんな警戒してんだ。」

「あぁ、上で見てきた。」


 五人組のパーティー。

 前衛は盾持ちが一人、盾持ち剣士が一人、槍が一人の三人。

 後衛は弓使いの魔法使いの二人。


 まぁ、普通のパーティーという感じだな。


「お前ら、二人か?」

「そうだよ。」


 なんかザワザワし始めたぞ……?


「二人でこんな所まで来たのかよ。

 俺たち五人でもすげぇ苦労したのに、何日潜ったんだ?」

「え、今日潜ったんだけど……」


「今日!?」


 うるさいから全員で言ってこないでくれ……!


 まぁ、自分でも異様な速さではあると思うよ。


 ほとんどシャカのおかげなんだけどな。


「あんたら相当強ぇんだな。

 よく見りゃそっちの子は怪我すらしちゃいねぇ、兄ちゃん頑張ったんだなぁ。」

「お?こんな見た目だからって舐めてんじゃねぇぞ?

 俺がなんもしてねぇみたいな言い方しやがって。」

「だって、嬢ちゃんに何ができるんだよ?」


 笑い飛ばしてるけどシャカの言ってることは正しい。


 というか、むしろずっと足を引っ張っているのは俺なんだよな。


「……。」

「シャカ、抑えて。」


 シャカが皆殺しにしそうな顔してて気が気じゃないや。


「急に訪ねて悪いが聞かせて欲しい。

 ここが最下でいいんだよな、階段は見つかっていないのか?」

「いや、それがよ。ここが一番下ってのは間違いねぇんだけどよ?階段が見つかんねぇんだよ。」

「見つからない?」


 螺旋階段の途中にはそんなのがあるような雰囲気はなかったな。


 次の階層に続く階段がない階層なんてあるわけないし、どこかに隠されているのか?


「それで、俺たちはジャイアントバットの巣穴が怪しいと思って三日も探し回ってんだ。」

「三日も?食料はあるのか?」

「今はあいつらの肉を食ってるよ。」


 待って?普通にみんな蝙蝠食ってるんだけど。


 え、普通なのこれ?


「僕は食べるのに抵抗あるけどね。」


 良かった!別に俺が変なわけじゃなかったや!


 しかし、階段が見つからないとなると厄介だな。


「ここにはジャイアントバットたちは来ないんだね。」

「そういえば、最初の時は来てたのに昨日から来てないな。」

「……それならここで一緒に休ませて貰えないか?

 代わりに食料を少し分けるのと、明日一緒に階段を探すのを手伝うよ。」

「いいのか!?むしろこっちこそよろしく頼むよ!」


 さすがに休憩を挟んだとはいえど丸一日近く動き続けていたから疲れた。


 シャカも休ませなければいけないしな。


 というか、俺は早くポーションを飲んで回復したい。


「それじゃ、見張りは俺たちがするからもう寝ちまえよ!」

「いいの?」

「飯を分けてもらうんだし当然だよ!

 あ、キーラ!この兄ちゃんに治癒(ヒール)をかけてやれ!」

「うん、それじゃあお兄さん頭を見せて。」


 助け合いというのは迷宮(ダンジョン)に潜る冒険者にとって、いや、人にとってとても大切なことなんだよな。


 こうやって経験すると実感するものだな。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


もしよろしければブックマークか評価、もしくはその両方をよろしくお願いします。


あと、正直でいいので感想を書いてくださると励みになりますので書いてやってください。

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