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転生したら魔王が勇者になりました。  作者: よく分からん生命体
二章 勇者学園 第一幕 勇者のタマゴ
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21話:問題児

 俺は今、大ピンチです。

 

 (どうしてこうなった?これからどうしよう。)

 

 落ち着け。まずは一旦どうしてこうなったのか思い出して整理しよう。


 あれは確か今日の朝の話だ。


 最初の実習から数日が経って、魔法学園の授業にみんなが慣れ始めた頃。

 先生が新しい実習先の候補を持ってきていた。


「アルタロム・ダレス。フロガはどうした?」

「分かりません。」

「遅刻か……。」


 フロガはまた遅刻しているようだ、ここにいる全員が呆れるような顔をしている。


「遅くなりましたぁ。」


 あくび混じりの重役出勤……学校だから出勤ではないんだけど。


「フロガ、貴様は大幅に減点しなければならないようだな。」

「え、遅刻ごときでそんな減点されるわけないでしょ!?」


 いや、入学してから毎日遅刻していれば当然そうなるだろ。


「では、話を始める。

 前回の実習の戦闘結果を元に班分けを行った。本日の実習は三人協力してここにある依頼を受けてもらう。」


 先生が手を叩くと机の上に十数枚の紙が出現した。

 ホント便利なブレスレットだ。


「班分けは

 フェル・ダレス ケルス カリス・フォンバーグ

 アルタロム・ダレス イフ ホース

 グリン・ザガン フロガ クリム

 の三班だ。各々、自分の実力に見合った依頼を受けることだ。」


 今回は事前に班員を教えてくれるのか。

 前回のように強制的に転移させられるなんてことは今後はなさそうで一安心だ。


「あの、アルタロムさん……。」

「イフさん? どうしたの?」


 この子は確か入学試験で地魔法を使っていた子だ。 今回は班が一緒か。


「わ、私の事なんて呼び捨てでいいのです……。」 

「え、じゃあ、どうしたの?イフ?」


 小さくておどおどして、なんだか暗い印象の子だな。


「どの依頼を受けるかお話がしたいのです……。」

「わかった。あれ、ホースには声をかけないの?」

「言ったけど話せなかったのです。睨まれて怖かったのです……。」


 うわ、今回もまたなんか一癖ありそうなヤツらと組まされたようだ。

 勇者学園って個性派ばっかりだな……。


「じゃあ食堂で話そうか。何かつまみながら話した方が話しやすいだろう?」

「はいなのです……。」


 食堂に向かうと同じようなことを考えているのであろう人達が集まっていた。


「えっと、じゃあまずお互いに何ができるか共有しておこうか。」

「はいなのです……。」


 この子さっきからずっと「はい」しか言ってないな、自主性が少し薄いみたいだ。

 まぁ話しかけてきたのはこの子だし、必要なら自立して動いてくれるだろう……。


「俺は剣術と魔法の両方使えるよ。少し魔法の方が得意だけどね。イフは?」

「私は、剣術は苦手なのです……。魔法と傀儡の操作ならできるのです……。」


 傀儡の操作か。

 実戦で傀儡の操作をして戦っている人はそう多くない。

 自分の体の動きと傀儡の動きを別にして考える必要があり。

 言うなれば二人分の行動に思考を割かないといけないから難しいのだ。


 イフはそういった面に長けている。


 普段の授業では魔法陣の作成や武器の加工と、とにかく手先が器用だ。


「ねぇイフ?急にこんなことを聞くのは失礼かもしれないけど、もしかして君は小人族(ドワーフ)なのか?」

「ふぇ!?

 あ、いやぁぁぁ!?」


 なんか慌てて椅子ごと後ろに倒れ込んだ。

 怪我は無いし、頭を打った感じはないから大丈夫なのだろうが、痛そう。


「大丈夫?」

「大丈夫なのです!な、なんで私がその、小人族(ドワーフ)だと思ったのです……?」

「だって、器用だし、身長が小さいのに筋力があるから。」

「なんでそこまで見てるのです……。」


 すごい疑わしい目で見てくるよ。

 まぁ、実際そんなに細かい所まで見られていたらそんな顔にもなるか。


「イフみたいに長い黒髪はここじゃ珍しいなって思って。気がついてたら見ていたんだよ。」

「そうなのですね……。実は私も、お揃いだからアルタロムさんのこと見てたのです。」

「お互い黒髪だから目立っちゃうな。」


 変なやつっていう疑いは晴れたようだ。


「そうなのです。私は半分は小人族(ドワーフ)なのです……。もう半分は人間。」


 通りで小人族(ドワーフ)にしては体格が細くて大きいと思った。人間とのハーフか。


「みんなすごいのです。

 フェルちゃんもホースさんもザガンさんも、みんな種族なんて関係ないみたいに堂々としているのです。」

「ザガンは人間じゃないの?」

「あの人は半分妖精さんみたいなのです。」


 妖精族か。だからあんなに精度の高い生命魔法を使えたんだな。


「呼びましたか?」


 フェルが後ろから声をかけ、イフの肩に手を軽く乗せた。

 

「ひゃぁ!」


 フェルちゃん、急に後ろから出てきたら驚かせてしまうでしょ。


「別に呼んでないよ。ちょっと話をしていただけさ。」

「そうですか。それと義兄様(おにいさま)。ホースさんについてお話があるのですが、少しよろしいでしょうか。

 イフさんもお耳に入れて置いた方がよろしいかと。」

「話してくれるか。」


 フェルがわざわざ話に割り込んで言ってくるってことは、やっぱりなんかヤバいやつなんだろうなぁ……。


「前回の実習で私と彼は同じ班だったのですが、彼は戦闘能力は高いのですが。その……協調性がないのです。」


 班員からの話し合いの申し出を断ってどこかに行くヤツに協調性なんかないだろうな。


「周りの魔物のことを意に介さず、一人で先に行ってしまうので我々は想定よりも多くの魔物と戦うことになりました。」

「そっか、お疲れ様……。」


 なるほど、フロガよりも厄介そうだ……。

 魔物の群れに直進して行ったんだとすると、今回の依頼ではそんなことをさせないようにしないとまずいな。イフが着いて行けるか分からない。


「フェル、他の班に迷惑をかけては行けないぞ?」


 今度はカリスが入ってフェルに話しかけた。


「迷惑はかけておりません。」


 (そうか、そういえばフェルは今回カリスと班が一緒なのか。)


「アルタロムは今回どのような依頼を受けるのだ?」

「いやまだ決まっていないんだ。

 早く決めないといけないのにね。」


 その答えに対し、なんだか驚いた顔をカリスはこちらを向けている。

 すごく嫌な予感がする……。


「君たちの班の依頼申請は済んでいるようだが?」

「俺たちはやってない……。」


 俺とイフはずっと一緒にいたし、万が一にも他の班のやつが選んだって申請は通らないはずだ。


 つまり、ホースが勝手に申請を出したということになる。


「君はいつも、大変そうだね。」


 (そんなことを言うなら助けてください)


 フェルちゃんも手を合わせていないでどうにかしておくれよ……。


「はぁ、イフ とりあえずどんな依頼か見に行こう。」

「はいなのです……。」


 依頼の申請は班員の名前が書いてある書類に、共有部屋の机に置かれた依頼書を貼り付けるだけだ。


 俺たちが共有部屋について机の上を見ると、たしかに俺たちの班は依頼申請が出されていた。


「ふざけやがって……。」


 内容は

 アースドレイク の群れの討伐。

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