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屍が蠢くこの世界で俺は生き抜く  作者: セロ
蠢く屍のいる世界
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頼れる傘(実視点)

「いつからこんな事が起こってるの!?」


思わず声に出してしまった。そのニュースは朝のテレビで初めて知った。


世界でパンデミックが起きているというのだ。既に日本は壊滅的状況にあるという。


事実、私が起きた時、7時くらいには辺りから小さく呻き声が聞こえて来ているから、このニュースは本当なんだろう。


そうでなければ私の両親がなんの音沙汰も無く消えることなんてないだろう。


しかし、両親はどこへ行ったのだろうか?手がかりは何もないし……


まあどこかで避難しているのならそれでいいんだけどね。私を置いて行った件については色々と聞きたいけど。


さて、不幸な事に私の家には食料がない。さっき食べたレトルトのご飯が最後だ。


だからコンビニにでも行って何か買って来なければいけない。


幸いにも武器になりそうなものは見つけてある。この傘がそうだ。


安物の傘なのだが、割と丈夫だし大丈夫だろう、多分。


それでは出陣だ、といきたいのだが、あいつらの習性を何も知らないまま行っても秒でお亡くなりになってしまう可能性が高い。


という事で二階に登り窓からあいつら、ゾンビ達の様子を探ってみる。


……うわあ、早速一人やられちゃったよ。一対一なら頭を叩けばやれると思うんだけれど、多人数で来られたら終わりだね。


引き続き観察していこう。他にも何かわかるかもしれない。




有用な情報が手に入った。ゾンビ達は音に敏感だ。


近所の田辺君が大音を立てて歩いているところに多数のゾンビ達が集まっていたからこれは間違いない。


そして視力はあまり無いということもわかっている。つまり音さえ立てなければやり過ごすのは容易なわけだよ。


よし、いける!私は確信した。これならコンビニ1軒くらいいけるいける!


早速私は一階に降り傘を片手に家を出た。もちろん静かに。


早速一人目と対面した。


ゆっくりと動く体から繰り出される噛みつきを避けるのは容易い!


私は頭に一発入れてやった。


するとゾンビは倒れた。やはり頭が弱点のようだ。


……考えたら、私、よく頭を叩き潰すなんて行為ができたな……これもしも相手が生きてたらと考えると……怖くなってくる。


だがもうやってしまったんだ後には引けない。


私は持ち前の前向き精神で立て直し、コンビニへの道を歩んで行った。



暫くして二人目を見つけた。


少し慣れたのか、すんなりと近づき攻撃を入れる。


よし、この傘もいい攻撃力を持っているなと思いながら歩く。


三人目が現れた。いつも通りゆったりとした動きだ。


これなら余裕だ。そう思ったのが命取りだった。


なんと攻撃を外してしまった!しかもアスファルトに叩きつけてしまったため音が高くなる。


たちまち三、四人ほどに囲まれてしまった。


どうやら逃げることは困難のようね。


まず一人目に攻撃!


相手は倒れた!この調子だ……!?


ここで私に痛みが走った。


足元を見ると噛みつかれていた。


なんということだ。私としたことが足元に注意を払っていなかった。


私はすかさず他のゾンビを倒す。だが、今噛まれた事によるものか、意識が少し朦朧としてきた。


「はぁ……はぁっ……」


息が漏れる。これではコンビニに行く前に倒れてしまう。


取り敢えず近くの家の塀によしかかる。


あれ?そういえばこの家って……


「実?実じゃないか!生きてたんだな!」


そうだ、ここは幼馴染の藤堂誠の家だ。助かった。


誠は私が疲れている事を察して家に入れてくれた。本当にいいやつだなあ。


取り敢えずソファに横になる。


……やっぱり意識が朦朧とする。


さっき噛まれたからとしか考えられないなあ……こりゃ。


そうこうしている間に誠がこっちに来て私の以上に気づき、冷やす物を取りに行こうとした。


でも私はもう助からないと思うんだよね……だから……


「ずっと前から……好きだったよ……さようなら……」


……よし、これで私の気持ちは伝えられた。


結構前から言おうと思っていたんだけれど恥ずかしくてね……今になっちゃった。


ああ……とうとう私もあいつらの仲間入りか……


まだ死にたく無いけど……仕方ないか……


さようならこの世界……


さようなら、誠……



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