第六十九話 無双する者達
「さぁ、力を貸すぜ! まずは、小手調べってね」
甘寧 LV25 ランクA 特性 一騎当千
HP335 MP16
攻撃力91
素早さ70
スキル『一騎当千』
甘寧は青龍刀の刃先をペロリと舐めると、羽飾りを揺らしながらヤマタノオロチの首を斬りつけた。まるで骨をも砕く勢いだ。甘寧の攻撃は、見事に決まりヤマタノオロチに91ものダメージを与えた。――HP173/710――
「何だ、貴様ら! 我の邪魔をしおって! 纏めてその腸、抉りだしてくれようぞ!」
「おっと、ヤマタノオロチさん? 余所見はいけないなぁ……こっちにもこの凌統がいるんだぜっ!」
凌統 LV25 ランクA 特性 鼓舞
HP310 MP161
攻撃力80
素早さ65
スキル『鼓舞』
凌統は長い方天戟を腰に据え駆け出すと、甘寧が斬り付けたヤマタノオロチの首元に向け鮮やかに振るった。その姿は美しく、甘寧の攻撃がパワータイプであるとしたら、凌統はテクニックタイプと言った所だ。凌統の方天戟の月牙は、ヤマタノオロチの八つの頭のうち、五つを切り落とした。ヤマタノオロチに80のダメージを与えた。――HP93/710――
「ウガァァァ……」
ヤマタノオロチは、耳をつんざくような唸りをあげた。あれ程オレ達が苦戦を強いられたヤマタノオロチが、まるで赤子のように捻られていく。
床に晒されたヤマタノオロチの五つの頭は、蠢きながらこちらを見て不気味に、
「口惜しい……口惜しい……」
と、怨嗟にも似た叫びを繰り返した。
「こんな筈は……こんな筈は!」
激越したヤマタノオロチは、攻撃を仕掛けた二人を睨み付けると、腹の底から怒号をあげ三つの頭の牙で次々と甘寧達の体を噛み砕いた。甘寧と凌統は、それぞれ95のダメージを受けた。――HP240/335――HP215/310――
「くっ、やるじゃねぇか……」
「大丈夫か? 甘寧!」
「あぁ、大したことない。さぁタクマ。後は、アンタの出番だ」
「タクマ、止めは任せたぜ!」
「甘寧……凌統……。よし、水天翁、行くぞ!」
オレはこの戦いに終止符を打つべく、DDを振った。出た目は6の濁流。
水天翁は、祠中の僅かな湿気をかき集め、その手に強力な渦を作り上げるとヤマタノオロチへと濁流を放った。
ヤマタノオロチは、全身濁流に飲み込まれ一瞬姿が見えなくなった。ヤマタノオロチに、75のダメージを与えた。――HP18/710――
「タクマ、やったのか?」
「甘寧よ、残念だが奴はまだ生きてる。最後はオレが自ら引導を渡してやるぜ! 一本だたら、村正だ!」
「主よ、そう来ると思って準備はしてある。受け取るがよい」
「おう、すまない」
水天翁の放った濁流が引くと同時に、オレは跳躍し残った三つの頭を切り落とした。ヤマタノオロチに60のダメージを与えた。――HP0/710――
ヤマタノオロチは、断末魔をあげるとやがて呼吸を止めた。そして、その尻尾から草薙の剣が切り離された。
「タクマさん、草薙の剣よ」
「川姫! まだヤマタノオロチに近付くんじゃねぇ! 実体があるうちは何があるかわからない。迂闊に近付くのは危険だ!」
「そうね。ごめんなさい」
川姫に注意を促すと、ヤマタノオロチは煙のように漂った後、何故か卑弥呼の体内に消え失せた。
「こ、これはどういうことだ?」
オレがそう言葉を発すると、やがて卑弥呼は目を覚まし述べた。
「皆のもの……黙っていてすみまぬ。ヤマタノオロチは、わらわの悪しき心の化身。この国を守る為に切り離した、わらわの愚行なのじゃ。どうか……どうか、許して欲しい」
「そうだったのか。でもな、卑弥呼。謝るのはオレ達じゃない。この国を築き上げて来た民じゃないのか?」
「俺様もタクマの意見に賛成だ」
「そなたは?」
「俺様は、甘寧。呉より参った荒くれ者だ」
「自分で荒くれ者とか言うな。俺は凌統。宜しくな」
「呉? では、孫権殿の?」
その言葉に反応した甘寧は、前に身を乗り出した。
「孫権を知ってるのか?」
「確か、この邪馬台国の先にある魔合肥新城に呉の孫権なる妖魔が舞い降りたと、民が申しておった」
「それは本当か? 俺様達は、タチの悪い妖怪の所為で孫権達とはぐれちまったんだ」
「甘寧、そこに孫策と孫尚香もいるかもな」
「だといいけどな」
「じゃが、魔合肥に渡るには玄武池を越えねばならんのじゃ」
「心配御無用だ。既に船は凌統が準備してくれてる。なんつっても、俺様は元海賊だからな」
「ほう、それは心強いな。さて、タクマ殿。お目当ての草薙の剣を手にするがよい」
「あぁ……」
オレは卑弥呼に促され、床に転げ落ちた草薙の剣を手にした。しかし、それは輝きは消え失せ、刃毀れした心許ない物だった。
その刃毀れした草薙の剣を見て、一本だたらは言った。
「主よ、これでは使い物にならん。再び鍛え上げる必要がある……」
確かに一本だたらの言う通りだ。素人目にも、使い物にならないことぐらいわかる。
「タクマ殿、わらわの国にある鍛冶屋で鍛え上げれば良い」
「その言葉に甘えるとしよう。一本だたら、出来るか?」
「容易い。だが、ここまで刃毀れしていると、時間は掛かる」
「そうか……」
「ならば、それまで邪馬台国で休息を取れば良い」
「あぁ、そうさせてもらう」
オレ達は卑弥呼の好意に甘え、邪馬台国で休息を取ることにした。
義経と弁慶は一命を取りとめたものの、傷が癒えるまでは数日掛かるとのことだ。看護にはお雪と川姫が当たっている。
そして次の日、甘寧と凌統は魔合肥に向け旅立って行った。
そんな中、義経がオレに尋ねた。
「二人を追わなくてよいのですか?」
「だって、お前達の傷が……」
「心配はいりません」
「そうか……悪いな。直ぐに戻って来るから、それまで怪我を治しておけよ」
「わかりました。ご武運を……」
密かに嫌な予感を感じていたオレは、甘寧達が気になっていた。それに、借りは返さないと気がすまない質だ。
オレはお雪や義経達を邪馬台国に残し、半日遅れで甘寧達を追った。




