第六十八話 英雄集結す!
「どうだ、痛いか? 人間ごときが妖魔になるからこうなるのだ!」
ヤマタノオロチは更に義経を踏みつけ、その骨を砕いた。
「おぉ、あばら骨も折れたようだな……何と、脆いものか」
「止めろ…………止めろ――っ! 水天翁! 止めるんだ! バトルフォース展開!」
水天翁 LV23 ランクA 特性 水に強い
HP305 MP58
攻撃力70
素早さ53
1 クリティカル
2.3 通常攻撃
4 ミス
5 プラチナの爪
6 濁流
水天坊から水天翁に進化を遂げかなりパワーアップしたが、まだヤマタノオロチに敵うレベルではない。
「水天翁、義経を救えるのはお前しかいない……」
「勿体ないお言葉……この水天翁、主に全ての運命を委ねる」
「いい返事だ。行くぞ!」
転がしたDDは、5のプラチナの爪を示した。早速、新しい技だ。
水天翁は、義経を踏みつけているヤマタノオロチに駆け出し、その光輝く爪で肉厚のある太股を引き裂いた。ヤマタノオロチに89のダメージを与えた。――HP424/710――
しかし、ヤマタノオロチはニヤリと不気味な笑みを浮かべるだけ、でその足を退けようとしない。何とも非道な奴だ。
「義経、死ぬなよ!」
「かは……そ、某に構わず……こやつを……」
「まだ、生きてるのか? しぶとい奴め。ならば、これならどうだ?」
ヤマタノオロチは、草薙の剣が仕込まれた尻尾で義経を叩き付けた。
「どはっ…………」
義経は血ヘドを吐きながら、気を失った。
「義経――っ!」
「やっと大人しくなったか……さて、次はお前だ。覚悟はいいな?」
ヤマタノオロチは柔軟に体を反転させ、水天翁の右脇腹に噛み付いた。水天翁は、90のダメージを受けた。――HP215/305――
「例え負け戦だとしても、オレは最後まで戦い抜くんだよ! 何故なら、オレは魔王だからな!」
「お前が魔王? 遂に可笑しくなったか? どう見てもお前はただの人間……魔王なら、こんな場所にいるはずない」
「確かに今のオレは人間だ。だかな、魔族としてのプライドは捨てれないんだよ! 行け! 水天翁!」
「御意!」
オレの振ったDDは、2の通常攻撃を示した。
水天翁は、ヤマタノオロチの強固な鱗を避け、比較的防御力のない腹部へと体当たりした。ヤマタノオロチに70のダメージを与えた。――HP354/710――
「ちょこまかと……これでも喰らえ!」
ヤマタノオロチは、義経を死の縁に追いやった尻尾で水天翁の喉元をかっさばいた。水天翁は90のダメージを受けた。――HP125/305――
こうなってしまっては、勝ち目はない。安いプライドは捨てた方が良かったのかも知れないと、それまでの勢いが消え失せた。正に、意気消沈と言った所だ。
思わず脳裏に“死”の文字が浮かぶ。それを振り払うかのように、オレはDDを振った。出た目は1のクリティカル。最期を飾るに相応しい。
水天翁は、傷付いた体をヤマタノオロチに向け、唇をキュッと噛み締めると危険を省みず、頭部目掛けてその爪を降り下ろした。ヤマタノオロチに、90ものダメージを与えた。――HP264/710――
「グォォォ――っ! 我をここまで追い込むとは……お前が魔王だと言うのも強ち嘘ではないようだな。しかし、それが真実ならば排除せねばなるまい」
ヤマタノオロチはこれまでと表情を変え、何故か、憎しみの目から寂しげな目になった。
「ヤマタノオロチ……悪いが降参だ。オレ達には、お前を倒す技量がない」
「ほう、諦めるというのか? それも良かろう。ならば、責めて苦しまぬように殺してやろう……」
水天翁はまだ諦めてなかったが、オレは静かに目を閉じた。すると、遠くから、聞き覚えのある声が聞こえた。空耳かと一瞬思えたが、その声の主が目の前に現れ真実だと悟った。
「待って――っ! 諦めるなんて、タクマらしくないわ!」
「お雪! どうしてここに! あれほど待っていろと言っただろ?」
「タクマさん一人に、辛い思いはさせられないわ」
「川姫まで……」
「俺様達もいるぜ。アンタがタクマだな? 俺様は、鈴の甘寧。こっちは凌統だ」
「宜しくな。俺が凌統だ」
「タクマ、取り敢えず詳しい話は後だ。まずは、そいつをぶっ飛ばそうぜ!」
「皆……皆、ありがとう。よし、気合いを入れ直すぞ。覚悟しやがれ、ヤマタノオロチ!」
挫け掛けたオレに、救いの手を差し伸べてくれた心強い仲間達。オレは一人じゃない……熱く込み上げる思いを胸に抱いた。




