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☆第五十話 一進一退

 邪魅が怒号をあげる度、草木は震えた。巨大な足を一歩。そしてまた一歩前へと躍り出た。

 負傷した左目を瞑り、右目だけで真琴と義経の動きを探っている。見えているのかいないのか、焦点が合わず明後日の方向を見てやがる。


「雑魚共が……何処へ行った?」


「見えていないのか?」


――刹那。


 力を溜め込んで攻撃してくると思っていたが、邪魅はいきり立ちその腕を闇雲に振り回した。下半身は鈍いが、その腕は避ける隙も与えない。


「そこか……見付けたぞ!」


 不意をつかれた真琴と義経は、ガッチリとその手に掴まれてしまった。


「くっ……油断した」


「離せ――っ! この!」


「離せと言われて離す奴が何処にいる? 死ね――っ!」


 邪魅はその手の中で暴れる二人にお構いなく、目一杯振り上げるとそのまま地面に叩き付けた。真琴、義経共に35のダメージを受けた。――HP65/210――HP60/200――


「大丈夫か! 真琴――っ! 義経――っ!」


「だ、大丈夫なわけないでしょ」


 言われてみればそうだ。あんな勢いで地面に叩き付けられたら、人間なら即死だ。ただ、真琴は妖怪だし、義経は妖魔だ。心配するまでもないな。現に真琴も義経も、泥を払いのけ立ち上がってやがる。


「まだ生きていたか……。鬱陶しい奴等め」


「鬱陶しいのは、そなただ。行くぞ! 我が正義の刃を受けてみよ!」


 "何で回復しないんだよ"とオレが思った時は、既に邪魅へと駆け出した後だった。義経はよっぽど今の一撃が悔しかったらしい。

 義経は一気に邪魅との間を詰め、柄を握り締めた。


「出るか? 伝家の宝刀……」


 ギリギリまで刀を抜かない溜め。鞘は義経の動きに合わせ時を止める。

 "動"であるが、"静"でもある。それが抜刀術だ。


「見切った!」


 義経は膝丸を露にすると、邪魅の懐を深く切り裂き70のダメージを与えた。――HP289/860――

 蓄積されたダメージの所為か、邪魅は一瞬よろめいた。確実に追い詰めてはいるものの、HPはまだ残されている。

 ふと、妖刀村正が脳裏に浮かぶ。魂を喰われてから、手にしていない名刀だ。 この勝負、いざとなったら、使わなくてはいけないかもな。一度だけなら大丈夫だろうけど、あの時のことが完全にトラウマになっていた。


 取り敢えずは、真琴と義経を信じるしかない。

 オレは意を決してDDを振った。出た目はまたもや3。通常攻撃。そして、薬草でもある。

 どうするべきか……。



回復するなら、"薬草を使う"へ



攻撃するなら、"攻撃する"へ

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