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第四十八話 邪魅など容易い?

「うごぉ、貴様かワシを閉じ込めたのは!」


 全身剛毛な毛で覆われている邪魅は、ゆっくりと辺りを見渡しながらそう言った。強いのは間違いないが、その動きは鈍い。


「義経よ。薬草だ」


「忝ない」


 オレは二つある薬草のうち、一つを義経に渡した。


「さぁ、真琴。思いっきり暴れてやれ」


「うん!」


ラクシャサ(真琴) LV17 ランクB 特性 遊び上手 ものまね


HP210 MP51

攻撃力48

素早さ54


1 貫通パンチ

2 長い髪

3 通常攻撃(薬草)

4 ミス

5 遊び

6 ものまね


 オレは川姫から貰った薬草を、3の通常攻撃にセットした。

 今まで不明だった義経のステータスも明らかになった。


源義経(みなもとのよしつね) LV20 ランクB 特性 円明流


HP200 MP60

攻撃力50

素早さ60

スキル 『剣術』『弓術』『回復術』


 妖怪と違い、攻守共に兼ね備えたバランスのいいステータスだ。通りで真琴が苦戦するはずだ。


「先手は某のようですな。推して参る!」


 義経は先程の戦闘の疲れを微塵も感じさせず、邪魅へと駆け出した。


「邪魅、覚悟!」


「貴様かワシを閉じ込めたのは!」


 邪魅は、足元で素早い動きをする義経を目で追いながら、おぞましい程の怒号をあげた。


「足元がお留守だ」


 義経は鯉口に手を掛けると、柄を逆手に持ち鞘から膝丸を引き抜き邪魅の脛へと斬りつけた。。キラリと輝く膝丸は、何度見ても美しい。そして、その剣さばきもだ。

 動きの鈍い邪魅は、義経の動きについていけず、膝丸の餌食になった。剛毛な毛の奥に潜む肉片が無惨にも飛び散って行く。邪魅は50のダメージを受けた。――HP810/860――

 義経は軽やかなバックステップで、再び邪魅と間合いを取る。完璧な身のこなしだ。

 敵であると厄介だが、味方になると実に頼もしい。


「さぁ、真琴。オレ達も続くぞ!」


 オレは義経に続くべくDDを振った。出た目は2の長い髪だ。

 真琴もまた邪魅の足元に素早く回り込み、青い髪を靡かせた。その姿は幻想的で、紫色の霧の中で一際輝いて見える。


「木偶の坊、此方だよ」


 青い髪が一つに束ね上がると、大剣の如く邪魅の脛を切り裂き65のダメージを与えた。――HP745/860――

 義経が斬りつけた場所と、寸分の狂いもない。飛び散った肉片は、食に適さない程臭い。


「うごぉ、いてぇ、いてぇぞ!」


 邪魅は痛みを堪えきれず、足踏みをしながら巨大な腕を振り回した。その腕が地獄岩へと当たり、頑強な岩の欠片が真琴と義経に降り注いだ。真琴と義経は35のダメージを受けた。――HP175/210――HP165/200――

 もはや、生きていること自体が凶器。そう思った瞬間だった。


「くそ……オレにも力があったら……なんて無力」


「お兄ちゃん、そんなことないよ。テイマーと妖怪の意思は繋がってるんだから。お兄ちゃんが居るからこそ、ボク達妖怪は力を出せるんだ」


「真琴殿の言う通りです」


 二人共、嬉しいことを言ってくれる。一生このまま、テイマーとして生きて行くのも悪くないな。何てな。


「二人共、ありがとう。さぁ、反撃だ。義経頼んだぞ」


 義経は深紅の甲冑に刺さった岩の破片を除去すると、背中に背負った弓を左手に持ち、右手で弦を引き絞った。

 初めて見せる弓術。剣術だけでなく、弓術をもこなす器用さだ。

 痛みに耐える邪魅は未だ暴れ続けてる。狙いを定めるのは困難を極める。


「見えた!」


 義経はそう言い放つと、邪魅の顔面目掛けて矢を放った。 矢は弧を描き、邪魅の赤い目に飛び、見事左目に突き刺さり、65のダメージを与えた。――HP680/860――

 邪魅は左目に突き刺さった矢を引き抜き、のたうち回った。どす黒い血が邪魅の頬を伝う。


「すげぇ、剣術だけでなく弓術もすげぇ」


 義経はというと、当然のことのように涼しい顔をしてやがる。


「真琴、邪魅の奴……体力はあるけど鈍いぞ。義経の弓術に負けんなよ」


「ボクの方が強いってこと、証明するよ」


 いい流れだ。義経という好敵手(ライバル)のお陰で、真琴も乗ってやがる。

 オレはこの流れを勢いづけるべく、DDを振った。出た目は5の遊びだ。

 真琴は青い長い髪を一本に束ね、血塗られたお手玉を手にした。


「ボクもその目を狙うかな」


 真琴は一度お手玉を宙に投げ、キャッチしたと同時に次々と邪魅の傷付いた左目に投げ放った。合計45のダメージ。――HP635/860――

 そして、その目から沸き出た煙のようなものを吸収した。――HP210/210――

 これで全回復って訳だ。しかし、ここまで一方的に攻撃を喰らって、邪魅も大人しくはしていないだろう。


「うがうが――っ! いい加減にしろ!」


 邪魅はそう言い放ったが、腕組をして攻撃を仕掛けて来なかった。無言の圧力。いや、強者の余裕とも言うべきか。

 優勢だったオレ達だったが、その異様な光景におののいた。

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