☆第三十九話 村正の呪い
完全に魔族の姿……いや、本来の魔王の姿になったオレは、あろうことか仲間まで斬りつけてしまった。
自分では制御しているつもりだが、魂は確実に村正に蝕まれている。
「頼む……オレを斬ってくれ……じゃないとオレは……」
オレを哀れむような表情で皆が見る。
真の姿に戻れたことは喜ばしいことだ。しかし今のオレと来たら、ただの殺人鬼。いや、それ以下かも知れない。
「お雪……タクマもあぁ言っておる。殺らなきゃ、ワシらが殺られるんじゃ。残念じゃが、タクマのことは諦めるんじゃ……」
「でも……」
「お雪……じいさんの言う通りだ。こんな形で終わるのは嫌だが、オレは……オレはお前達を殺したくない……わかってくれ……うぐっ……」
自分の意思とは関係なしに、村正の剣先はお雪達に向けられた。いよいよ、オレの自我も、完全に失われかけてるって訳だ。
「わかったわ……川姫、タクマをお願い」
「了解。辛い決断だけど……私……やるわ」
「川姫、真琴、輪入道……そして、九尾の狐よ。頼んだぞ。それ――っ! これがタクマのステータスじゃ」
魔族?(タクマ) LV? ランク?
HP150 MP70
攻撃力40
素早さ52
スキル 『???』
「全貌は明らかになっておらんが、今のお主達なら倒せん相手じゃない筈じゃ」
これが今のオレのステータスか。笑っちまうくらい弱い。捨て駒に使っていたガーゴイル並みの戦闘力だ。結局は、見た目だけ本来の姿に戻って、中身は大したパワーアップしていないってことだ。ふっ……ある意味都合がいい。この程度なら、真琴や輪入道達でもオレを倒せる。
「……うぐっ……お前ら耐えてくれよ」
オレは朦朧とした意識の中、うっすらと視界に入った妖怪を、地塗られた村正で斬りつけた。
「斬りつけた妖怪は誰だ? オレは誰を斬ったんだ?」
「んぎぁ、痛いでおじゃる……」
斬りつけたのは、どうやら九尾の狐らしい。九尾の狐に40のダメージを与えた。――HP122/320――
流血しながら、九尾の狐は言う。
「は、話が違うでおじゃる。さてはマロを騙したでおじゃるな?」
へへっ……自我を失っても、敵にダメージを与えるなんてツイてやがるぜ。
「九尾の狐! 本当にタクマさんは村正に洗脳されてるの。お願い信じて……」
「信じがたいでおじゃる。もう、痛いのは真っ平でおじゃる 退散するでおじゃる」
「待って! 何処に行くのよ!」
九尾の狐を掴み掛ける川姫。
「離すでおじゃる」
「川姫……そいつを……」
「逃がしてやれ」なら、"逃がす"へ
「逃がすな」なら、"逃がさない"へ




