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第十七話 招かれざる客

 重苦しく開いたドアの向こうから、憔悴しきったお雪達が顔を覗かせる。


「やっと開いたわ。タクマ無事だったのね……」


 お雪が冷たい体でオレに抱き付く。ムニュっとする胸の感触を堪能しながらも、それを振りほどいた。何故なら、川姫に伝えなければいけない事実があったからだ。


「お雪、ちょっとごめん。川姫に話がある」


「んん~ん」


 子供のようにダダを捏ねながらも、お雪はオレから離れた。


「川姫……実は……小豆洗いの奴がやられた……」


「そ、そんな……」


「すまない……やれることはやったんだが……」


 嘆く川姫に、オレはオペ室であった悲劇を述べた。それは残酷かも知れない。しかし、前に進む為には話しておかないといけない事実だった。

 やがて涙を拭った川姫は、オレに言う。


「タクマさん、仇を取って……」


「当たり前だ」


 オレは一言、そう返した。それに同調するように、お雪と真琴も頷く。

 小豆洗い……そして、鬼童子に裏切られた二口女の弔い合戦はここに幕を開けた。


「目指すは第二病棟……13号室。お前ら行くぞ!」


 そしてオレ達は、血糊で埋め尽くされたオペ室を後にした。




◇◇◇◇◇◇




 一方、こちらは第二病棟13号室――。


「二口女の奴、余計な仕事ばかり増やしやがって……酒が不味くなるわ……うぃぃ……」


「随分、ご立腹のようだな……鬼童子よ」


「しゅ、酒呑童子様。いらしてたんですか? 人が悪い……」


「何を慌ててる? 何か疚しいことでもあるのか?」


「いやいや、滅相もない。ただ、ゴミ虫が転がり込んで来たんですよ」


「ゴミ虫? まぁ、良い。とっとと片付けるんだな。酒は貰っていくぞ! それと鬼童子よ、くれぐれも"勾玉"を奪われるようなことがないよにな。お前のことだ、心配はしておらんがな。兎に角、ここはお前に任せた。我輩は天狗の里へ赴く」


「勿体ないお言葉。では、お気をつけて」


「うむ」


 酒呑童子はそう言うと、酒樽を二つ両腕に抱え込み立ち去って行った。


「チッ、酒樽を二つも……」


 鬼童子は、酒呑童子を快く思っていなかった。力の差で、子分にはなっていたが、いつか越えたいと思っていたのだ。

 その鍵を握るのが、"三種の神器"。その為に、勾玉を守る役目を買って出たのである。勿論、酒呑童子への忠誠心は微塵もなく、偽りの忠誠だった。


「勾玉……これだけでは鬼骨王様はおろか、酒呑童子も倒せまい。しかし、いつか……鏡と剣を手に入れ……」


 鬼童子の歪んだ野望は増幅していった。




◇◇◇◇◇◇




 オレ達は立ちはだかる妖怪達をなぎ倒し、ようやく第二病棟13号室にやって来た。13号室を見つけるのに、そう時間は掛からなかった。

 他の病室がドアもないのに対して、13号室のドアは趣味の悪い装飾が施されている。もはや病室とは言えない佇まいだ。

 オレはその趣味の悪い装飾を施されたドアを、力任せに蹴りあげた。


「鬼童子! 来てやったぞ!」


「ひっく……うぃぃ。やっと来たか。あんまり遅いんで逃げ出したかと思ったぞ。がはははっ」


 酒臭い……部屋中がアルコールの匂いで充満している。飲んでないこっちまで、酔っぱらってしまいそうだ。


「笑っていられるのも今のうちだ。"勾玉"……あるんだろう? 頂いていくぜ」


「何故、勾玉のことを……ん?」


 鬼童子は何かに気付いたように、オレの背後を見る。


「お前は真琴! 雑魚のクセにまだこんな所にいたのか? ははん、さてはお前がコイツらに喋ったんだな?」


「真琴! 鬼童子を知ってるのか?」


「うん。コイツには散々いじめられたんだ。お兄ちゃん、絶対倒してよ」


「言われなくても倒してやるさ」


「お前がワシを? 雑魚が束になって掛かってきても、所詮雑魚は雑魚。ワシは三種の神器を手に入れ、究極進化するのだ。そして、ワシは黄泉の王となる」


「やれやれ、何を寝惚けたことを……お雪、川姫、真琴! 離れてろ。こういう頭の悪い奴は、痛い目に合わないとわからない。早いとこケリを着けてやるぜ。バトルフォース展開! 行け! 居着きの雷!」


居着きの雷 LV10 ランクD 特性 稲妻に強い


HP71 MP25

攻撃力20

素早さ19


1.2 通常攻撃

3 火炎の息

4 鋼の爪

5 稲妻

6 ミス


「主よ。我がこやつに引導を渡してやる」


「居着きの雷よ、頼んだぞ」


「御意」


 鬼童子は全身に酒を浴び、角を光らせた。言うだけのことだけはある。物凄い妖気がプンプンしてくる。コイツは今までの妖気と訳が違うようだ。


鬼童子(おにどうじ) LV12 ランクC


HP136 MP10

攻撃力25

素早さ10


スキル 『操り』


――鬼童子……酒呑童子の子分。その馬鹿力は、酒呑童子に匹敵するものがある。しかし、一撃必殺に徹するあまり、隙も多い。非常に酒好きで、操ることを得意とする――


 馬鹿力のタフ野郎か。隙は多いようだが、警戒はすべきだ。

 オレは過去の教訓を活かし、3の火炎の息に薬草をセットした。気休めかも知れないが、長期戦は避けないといけない。


「さぁ、開幕だ!」


 オレは一投目のDDを振った。

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