表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/155

第十四話 病田の霊VS一つ目兄弟

 二口女は再び魔方陣に祈りを捧げた。すると目の前に、二体の妖怪が姿を現した。一体は巨大な目を持った小坊主。もう一体は、額にも目がある小坊主。人間の年齢で言うと、小学生……高学年といった所だ。


「二口女! まさかその二体が相手って訳じゃないだろうな?」


「ご名答~。この『一つ目小僧』と『三つ目小僧』が二回戦の相手よ」


「何だと? 二体相手なんて、卑怯じゃねぇか!」


「あら、ごめんなさい。でもね、この子達は兄弟で、二人で一つなの」


「主、一体だろうと二体だろうと問題ない」


「そうか。お前がそう言うなら、任せる」


「話は決まったようね。一つ目、三つ目! 思い切り暴れて来なさい」


「は~い。やっちゃいます」


 まだ声変わりもしない甲高い声で、一つ目が元気に返事をする。こちらも負けてはいられない。オレはバトルフォースを展開した。


病田の霊 LV10 ランクD 特性 AI二回行動


HP60 MP20

攻撃力10

素早さ22


1.2 祟り

3.4.5 通常攻撃

6 怨念


 病田の霊は、手の目との戦闘時よりレベルが上がっている。味方になると心強い。

 対する一つ目小僧と三つ目小僧だが……。妖怪百科事典が開く……。


一つ目小僧(ひとつめこぞう) LV10 ランクD 特性 合体技


HP48 MP15

攻撃力8

素早さ16

スキル 合体技



三つ目小僧(みつめこぞう) LV10 ランクD 特性 合体技


HP51 MP10

攻撃力5

素早さ25

スキル 合体技


――一つ目小僧……眼力があり、見た目より力がある。非常にイタズラ好きで、驚かすのが得意。弟の三つ目小僧のことを大事に思う一面もある――


――三つ目小僧……一つ目小僧の弟で、兄の一つ目小僧を尊敬している。兄の一つ目小僧とは対照的で、真面目な一面を持つ――


 合体技? また新たな技を使ってきやがるのか? しかし、病田の霊はAI二回行動。総合的にはこっちが上だ。


「病田の霊! 行けるな? 叩きのめしてやれ。但し、合体技には注意しろ」


「御意」


「叩きのめせだと? 三つ目! お前の方が素早さは上だ。やっちまえ!」


「はいよ。兄者!」


 三つ目は一つ目にそう言うと、下駄を鳴らしながら先制攻撃を仕掛けて来た。さすがに言うだけのことはある。まだ体勢の整ってない病田の霊のあばら骨に、下駄の底で蹴りあげた。病田の霊は5のダメージを受けた。――HP55/60――


「痛くも痒くもないわ。主、ご采配を」


「わかった。行くぞ」


 DDが示した目は、3。病田の霊は、あばら骨をへし折り、三つ目小僧に投げつけ10のダメージを与えた。――HP41/51――

 更に病田の霊は、三つ目小僧に攻撃を重ねる。投げつけたあばら骨を拾い上げ殴打し10のダメージを与えた。――HP31/51――

 ここまでは順調だ。病田の霊……味方になると心強い。AI二回行動が効いている。


「なかなかやるね。ケダモノのクセに。今度はボクの番だよ」


 一つ目小僧は手術台に踏み台にし、三つ目小僧と同様に底面で蹴りつけて来た。病田の霊のあばら骨が数本折れ、臓器が飛び散る。病田の霊は8のダメージを喰らった。――HP47/60――


 よろめく病田の霊に、今度は三つ目小僧が襲い掛かる。晒された内臓に、これでもかと蹴りつける。


「かはっ……」


 真紅の血が、オペ室の床に滴り落ちる。病田の霊は5のダメージを受けた。――HP42/60――


「病田の霊! 大丈夫か?」


「心配ご無用。元々、朽ち果てた体ゆえ……。さぁ、ご采配を」


 見た所、あばら骨は折れ、臓物が晒された状態。通常なら瀕死に陥るが、病田の霊は不気味に笑う。

 オレは早くケリを着けたいと願い、DDを振った。出た目は5。またも通常攻撃だ。スキル発動を願いたい場面だったが、贅沢は言えない。病田の霊はそれに従うしかないのだ。


「御意」


 病田の霊は血糊を舐めながら、三つ目小僧の鳩尾(みぞおち)目掛けパンチを繰り出し10のダメージを与えた。――HP21/51――

 更に攻撃を続ける病田の霊の前に、一つ目小僧が立ち塞がる。


「どけ――っ!」


 病田の霊は、立ち塞がる一つ目小僧だけでなく、三つ目小僧までもなぎ倒した。これはラッキーな展開。二体共に10のダメージを与えたのだ。――HP38/48――HP11/51――


「一つ目、大丈夫か?」


「痛いよ、兄者……」


「クソ……こうなったら"アレ"をやるしかないな」


「うん、兄者」


「何をモタモタしてる。早くかかって来い!」


 病田の霊は、一つ目兄弟を挑発した。絶対的自信……それが悲劇を招いた。


「そう言っていられるのも、今のうちだ。行くぞ、三つ目! 修羅の目だ!」


「うん」


 一つ目小僧と三つ目小僧は、それぞれの目を青く光らせ、その目から青白い塊を作り出した。やがてそれは熱を帯び始め、オペ室の1/4を埋め尽くす程の巨大な塊になった。


「兄者! 準備はいいよ」


「よし。病田の霊! 待たせたな! これがボク達の合体技……"修羅の目"だ。死ね――っ!」


「こんなチンケな技、受け止めてやる!」


「病田の霊! 逃げるんだ。この技は半端じゃない!」


「ぐぉほぁ……」


 まともに受けた病田の霊は、40のダメージを受けた。――HP7/60――

 辛うじて病田の霊は耐えたが、無惨にも右腕が引きちぎられた。ヘドロのような濃厚な血を撒き散らしながら、床に転がる腕。それは正に地獄絵図だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ