第百十三話 次の一手
多くの妖魔が屍を晒す中、川姫はそれを気遣いながらDDを振った。
出た目は2の通常攻撃。
「栄螺鬼、お願い」
「了解した」
栄螺鬼も川姫の優しさを感じとり、極力妖魔達に被害がないようにガシャドクロに近付く。見た目に反して、気が利く奴だ。
栄螺鬼は自慢の鱗を震わせると、そのままガシャドクロに体当たりした。
ガシャドクロは地面に踏ん張ってはいたが、あまりの衝撃にその体を宙に浮かせた。ガシャドクロに148のダメージを与えた。――HP2076/3000――
更に栄螺鬼は、30ポイントHPが回復した。――HP408/498――
「栄螺鬼の奴……やる」
吹き飛ばしたその先は正門から離れ、周りには何もない。加えて城壁からは、孫権の弓兵部隊の射程圏内。
「次は俺様が行くぜ――っ!」
甘寧も栄螺鬼の行為を悟り、奥に追いやるように仕向けた。
「妖魔が調子に乗るな!」
ガシャドクロは熱り立ち、鋭い爪で防御の構えを見せるが、甘寧はそれを掻い潜り青龍刀で手薄になった足元を斬り付けた。
ガシャドクロに101のダメージを与えた。――HP1975/3000――
「テイマー、早くしろ!」
「酒呑童子よ、そう慌てるな。期待してるぞ!」
二人の活躍に感化されたのか、酒呑童子は以前のような荒々しさを見せた。こうなると、いくらオレでも奴を止めることは出来ない。だからこそ、間を置きDDを振ったのだ。
DDは酒呑童子の期待通り、5の灼熱裂波を示した。
「御意!」
酒呑童子の見せ場とも言うべき、灼熱裂波――
思わずその熱風に瞼を閉じると、酒呑童子はガシャドクロの胸ぐらを掴み上げ、至近距離から今まさに、それを放とうとしているところだった。
しかし、ガシャドクロは抵抗もせず、掴み上げた酒呑童子を上から見下ろす。
「私に炎の攻撃を? こんなもの……弾き飛ばしてやるわ――っ!」
誤算だった……酒呑童子の持つスキルの中で最高峰の灼熱裂波だが、ガシャドクロは炎半減の特性を備えている。従って、強力な威力も意味をなさないのだ。
「我輩がその特性を知らないとでも?」
酒呑童子の奴……ガシャドクロが炎の耐性があることに気付いている。ならば、どうして?
その疑問は、酒呑童子の素晴らしい右眼球へと一撃で明らかになった。
朽ち果てたその眼球……唯一、ガシャドクロが骨としない部位――酒呑童子はそこに向かって灼熱裂波を放ったのだ。
ガシャドクロに、180のダメージを与えた。――HP1795/3000――MP20消費38/73――
「ぐはぁぁ……貴様……よくも、私の目を……」
狂ったように暴れだすガシャドクロは、その痛みに耐えきれず左手で眼球を押さえ付けた。
「おるぁぁ!」
間髪入れず、凌統が隙の出来た懐に十字架を描くように方天戟を喰らわした。
ガシャドクロに98のダメージを与えた。――HP1697/3000――
「者共――っ! 刺し違えてもコヤツを倒すぞ!」
「おぉ――っ!」
弓兵部隊に指示を送る孫権――。倒れていった仲間達に奴も必死だ。
その矢は雨のように降り注ぎ、ガシャドクロに250のダメージを与えた。――HP1447/3000――
ガシャドクロは矢の放たれた城壁上部を見上げるが、焦点が合わない。
「小わっぱ共が――っ! 何処だ! 何処に居る――っ!」
ガシャドクロは、自ら垂れ下がり機能しなくなった眼球を毟り取り捻り潰すと、鋭利な骨で猛威をふるった。
視界が悪くなったとはいえ、的確な攻撃――後退しようとした凌統は、その餌食になり150のダメージを受けた。――HP230/380――
「さて……こんな雑魚より、さっきからちょこまかと卑怯な攻撃を仕掛けてくる輩にお仕置きをしてやらんとな!」
再度、城壁を見上げるガシャドクロ――片目になったその目に何が写っているかわからないが、確実に怒りの矛先は弓兵部隊へと向けられていた。
「弓兵部隊、退け――っ!」
それを察知した孫権は、声を高らかに上げる。
「ん? そこか?」
ガシャドクロはニヤリと笑うと、腰に力を入れた。




