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☆第九十六話 二兎追うものは……

◇◇◇◇◇◇



 バックベアードは言う。


「貴様らは“超”が付くほど馬鹿だな……」


 甘寧にカウンターを仕掛け、外したことに腹を立てているのだろう。オレがそう思っていると、攻撃に移ろうとしていた凌統が何かに気付いた。


「タ、タクマ! あれを見ろ!」


「何っ?」


 凌統が見上げた視線の先には、今にも鎖が千切れ落下しそうになっているお雪の姿があった。


「ようやく気付いたか! 馬鹿め!」


 あの高さから落ちたら、例え妖怪であるお雪でも生きてはいられまい。それにお雪は気絶している――自力での脱出はまず無理だ。


「つくづく貴様は卑怯な奴だな。バックベアードよ」


「卑怯? 貴様らは何処まで甘いのだ……。ん? それは?」


 バックベアードは何かに気付き、オレを凝視した。


「それはクラーケンの言っていた“勾玉”だな? よし……ここは一つ取り引きをしようではないか」


「取り引き?」


「そう、取り引きだ。その勾玉を寄越せば、この雪女を解放してやろう。勿論、この石になった孫権達もな。悪い話ではなかろう?」


 バックベアードは口角を上げ、不敵な笑みを浮かべた。


「タクマさん、駄目よ。そんな口車に乗っちゃ……」


 川姫の言いたいこともわかる。勾玉(これ)がないと鬼骨王はまず倒せまい。しかし、お雪をみすみす死なせる訳にもいかない。

 お雪は一度勾玉で蘇生している。つまり、死んだらもう二度と生き返れないのだ。


「タ……クマ……私のことは……いいから……そいつを……そいつを倒して……」


「お雪――っ!」


「ちっ! 目を覚ましたか……さぁ、どうする? 早くしないとコイツは死ぬぞ!」


 お雪は目を覚ましたが、状況は変わらない。


「クソが……どうにでもなれ!」


 オレの出した決断は――。



大人しく勾玉をバックベアードに差し出したなら、“渡す”へ


勾玉を渡さないなら、“渡さない”へ

 


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