幕間 リオの帰り道
リオは宿の部屋へ戻ると、硬貨の袋を机に置いた。
口紐を解き、中を覗く。ギルドで数えた時と枚数は変わらない。それでも、もう一度確かめたくなった。
今日、三人で稼いだ金だった。
弓を壁へ立てかけ、矢を一本ずつ調べる。先端の汚れを落とし、羽根の乱れを指で整える。その作業をしていると、実家の畑を思い出した。
種を蒔いたばかりの場所へ鳥が降りると、弓を持って追い払った。初めは当たらず、少しずつ当たるようになった。頼まれる回数も増えた。
役に立っているのは分かっていた。
ただ、リオ自身には、それ以外に何ができるのか分からなかった。
村を出ると言った時、冒険者は鳥を追う仕事とは違う、と言われた。心配してくれていることは分かったし、実際、その通りだった。
今日も矢は思ったように通らなかった。
大きな獣が現れた時には、弦を引くより先に足が止まった。
だが、ノルもテッサも、最初の失敗で弓をしまえとは言わなかった。
草の倒れ方を見つけたことを、仕事の一つとして数えてくれた。
『じゃあ次も見つけて』
テッサは、何でもないことのように言った。
リオは机の端に置いてあった紙を引き寄せた。家へ出すつもりで買ったものだが、まだ何も書けていなかった。
強くなったとも、稼げるようになったとも言えない。心配をかけないように言葉を選ぶと、書けることがなくなった。
しばらく考え、ペンを取る。
一緒に仕事をする人ができた。
まず、それを書いた。
二人とも自分と同じ新人であること。盾を持つ少女と、いろいろな武器を試している少年であること。今日は果樹園の仕事を終え、林檎を一つずつもらったこと。
そこまで書くと、紙の半分が埋まっていた。
リオは手を止め、壁に立てかけた弓を見る。
明日は、盾で止める場所を先に聞こう。ノルが剣を戻す時には、次の一匹を見ておこう。
できるかどうかは、まだ分からない。
けれど、試す場所はあった。
手紙の最後に、もう一行だけ書き足した。
明日も三人で、仕事に行きます。
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