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53.作戦会議

 グレンフェル家の一件も落ち着いた、ある日。お城の一室では、大きなテーブルを囲んで、たくさんの偉い人たちが集まっている。緊急で始まった作戦会議の場に、わたしも参加させてもらっていた。まあ、たまたまロイドといる時に会議があるという話を聞き、ついでに出席させてもらったのだけど。


 会議にはレイヴァル様はじめ、大臣さんなど国の役職につく人、そして、ラグレス様など騎士の人達も数人集まっている。ロイドと、珍しくノアの姿も。二人は魔導士として参加しているのだろう。


 議題は、現在魔物によって被害をもたらされている地域が増えてきたことの報告。そして、特にサンルードという街は、数日前から魔物の襲撃が続き、早急な援護を求めてきているらしい。


 魔物被害を訴えてきたサンルードという街は、東の国との交易上、大事な土地ということだった。大量の魔物が出たということで、今回は魔物討伐に向いている『幻獣騎士団』が向かうことになっている。普通の騎士団とは戦い方も違うみたい。どんな戦い方をするのか、すごく気になる。


「それでは、少しでも早く救援に向かえるように今日中に出発することとします。馬では2・3日かかってしまいますが、飛行できる幻獣であれば、数時間で着くでしょう。飛べないものでも、半日ほどで到着できます。……聖女様は、私の王虎で一緒にお連れすることでいいでしょうか?」


 ラグレスさんが皆に作戦を伝える。


 実は、今回の救援に、わたしも参加させてもらう方向で話が進んでいる。これまでにオーク村で魔物を従えてきた実績が認められ、希望するとあっさりと連れて行ってもらうことに決まった。


(やったーっ!)

「……わたしも乗せてもらえるんですか?」


「王虎はレイラにとても懐いていましたし、聖女様を乗せても問題なく飛んでくれるでしょう。ただ、シオウ殿は幻獣に乗せることができませんし、今回は待機してもらってよろしいでしょうか? 聖女様は私が責任を持ってお守りしますので」


(シオウはいつもわたしの我がままにつき合わせちゃってるから、たまには休んでもらっていいよね)


 ……と思ったのだけど、シオウからは反対意見が出された。


「幻獣騎士団の皆様が赴くのであれば、そもそも聖女様まで行かれる必要はないのではありませんか?」


「大丈夫! わたし、前よりは役立てるようになったと思うよ?」


「役立つ、役立たないではありません。危険だと言っているのです」


「やはり……シオウもそう思いますか。ユーナさま、今一度考え直してはどうでしょう?」

 

 今までは黙って聞いていたけど、レイヴァル様まで参戦してきたっ!!


「……レイラ様の落ち着きを半分でもいいので身に付けてほしいのですが」

 

 シオウの一言が突き刺さる。くっ……このまま二人が反対意見を押し通すと、サンルードへ付いて行けなくなるかもしれない。


「それは、わたしは確かに突っ走ってしまうこともあるけど……全く考えなしに行動しているわけじゃないです。この世界に召喚されたのだって、こういう役を引き受けることが本来の目的だと思うんですけど」


「それは……」


 そこで、ロイドが口を開いた。


「じゃあ、今回俺も一緒に行くってのはどうですか? 幻獣には乗れないけど、自分一人くらいなら、ユーナ様にも手伝ってもらえば移動魔法で簡単に往復できるし」


 ロイドが一緒に来てくれるなんて、予想外の提案。


「え? 本当にロイドも一緒に行ってくれるの?」


「最近いろいろな土地に魔物が多く出ているというのは気になってはいたんです。現状を一目見ておく必要はあるかなと思っていたんですよ。俺は騎士団の動きに合わせる必要もないし、いざという時にはユーナ様一人くらい、どうとでもお守りできますよ」


「ロイド、お前が行く必要はないだろ?」


 今度はノア。会議に参加しているだけでも珍しいのに、意見までしてくるなんて!! なんだか今回の会議は、いろいろな驚きがありすぎて、心が追い付かない。


「同じ働きなら俺でもできる。お前は忙しい身なんだし、王都に残るべきじゃないのか?」


「いえ、今回は俺に行かせてください。実は前々から、実戦でのユーナ様の活躍を一目見たいと思っていたんですよ。『同じ働き』というなら、先生が王都で俺の代わりに仕事していてくださっても、全然構わないですしね」


「それは嫌だ」


 そこで、ロイドは大きくため息をついた。


「じゃあ、仕方ないですね。()()()()()、ユーナ様をお守りしたいという強い希望をお持ちみたいですので、譲ります。サンルードに出現した魔物の調査と、聖女様の魔力について、そして魔王復活の可能性を踏まえた今後の対策について、しっかりと報告していただくことにもなるんですが、よろしくお願いしますね!」


「……それも嫌」


 これは、ロイドが完全勝利か。……なんだか、ロイドがノアを言い負かす場面、デジャヴな気が。ノアはそれ以上口を開かなかったので、一応この話の決着はついたようだ。

 その後、細かい作戦も話し合われ、会議がまとまった。


「話は決まったようですね。援護要請をしてきた使者が、サンルードを発ったのが3日前ということは、街はすでに一刻を争う事態になっていると思われます。準備ができ次第、直ちに出発することにします!」

 

 ラグレスさんの一声で会議は解散し、わたしは準備に取り掛かった。 

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