↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/99

32.夢の正体

 その夜――。

 久しぶりだけど、自分がまたあの夢を見ていることがわかった。

 

 いつもの女の人と銀色の獣。でも今日の女の人は……悲しそうな顔をしているものの、こちらを見て何か話したいようにも見える。


「もう見ないかと思ってた、この夢……」


 思わずわたしがつぶやくと、


「お前がっ! 変な行動起こすから大変だったんだからな!」


 銀色の獣がつっこんできた。なんだか、シリアスな雰囲気になりきれない話し方だな。


「いやいや、そっちが大変とか知らないし! むしろわたしがこの夢見させられて困ってるくらいなの」


 はあ、と大げさにため息をつく銀色。やけに人間味があるなと感じる。


「まったく、めんどくさい女だな。もうこの仕事にはうんざりだ」


「仕事……? なんだかわからないけど、この夢はあなたが見せてるってことだよね」


「魂の監視」


 今までは傍観しているだけだった女性が話しかけてきた。


「お前、余計な事言うなよ……」


 銀色はふるふると首を振った。


「まあ、監視しなきゃいけないほど危険人物でもなさそうだな。力も大したことなさそうだし」


「あの……」


 その時、なんとなく、理解した。

 ロック鳥が殺されかけたとき、悲しかったのはわたしではなく、この子の感情だ。わたしとこの子は、この夢で繋がっているんじゃないかな?




 次の日、いつもより遅めに目を覚まし、気分転換にお城を散歩していたら、ロイドと出くわした。いつもわたしに魔法を教えるだけでも忙しいロイドと、散歩で会えるのはレアかも。

 ただ、普段ならうれしいかもしれないけど、昨日の今日なので、ちょっと気まずい。


「ロイド……おはよう」


「おはようございます、ユーナ様!」


(あれ、あんまり怒ってないのかな?)


「いえ、先生のお力が借りられる条件が整ったので結果的に良かったというだけです」


(先生……ノアのことか。それより、)

「心の声、読まれてる!!」


「ユーナ様がわかりやすいだけです」


「う……」


「ところで……昨日の疲れが残っているとはいえ、顔色がすぐれませんね。部屋でお休みになられたほうがいいのではありませんか?」


「うん……久しぶりに夢を見ちゃってね」


「夢?」


 ロイドに簡単に夢の話をした。だまって聞いていたロイドが、ぽつりとつぶやく。


「レイラ・グレンフェル」


「えっ?」


「ユーナ様の体の、元の持ち主の名前になります」


「……どういう、こと?」


 ロイドは何か知っているの?


「ここで立ち話する内容でもないですね……今日はまだ時間があります。場所を移しましょうか」




 わたしは魔導士棟のロイドの部屋に来ていた。普通の魔導士の皆さんは、大部屋で何人か一緒の生活をしていると聞いたけど、さすがにロイドくらいになると、広い部屋が用意されていた。

 

 余計なものを置いていない、とてもシンプルな部屋。仕事が忙しくて、あまり部屋に帰っていないのか、生活感があまりない気がする。

 来客用椅子に腰かけ、そわそわして部屋を見渡していると、ロイドがお茶を出してくれた。


「ありがとう」


 一口、いただく。


「美味しい……なんだか初めての味……!」


 深みのある味で、何が入っているのかと考えても全くわからない。カップを回すと、色が不思議に変化する。味わって飲んでいると、体が温まってきた気がした。


「俺の故郷で飲まれていたお茶です。元気になるでしょう」


「うん、たくさん飲んじゃいそうだね。ありがとう!」


「それで」


 ロイドが話し始める。


「その夢の内容を詳しく教えてもらえませんか?」

 

 わたしは今までに見た夢の説明をした。


「いつも、わたしにそっくりな女の人が泣いているんだけど、傍にはいつも銀色の珍しい動物がいるの」


「そう……ですか」


「その夢は少しずつ進んで、最近は動物と話せるようにはなったんだ。……何か、わかる?」


「うーん、今の時点では何とも」


「そうだよね……それで、さっきレイラと言ったのは?」


「ああ、もしかしてその夢がただの夢でないとしたら、ユーナ様の元の体の持ち主、レイラと関係しているのではと思ったんです。レイラについて知っていることはお教えしますよ」


「うん。お願いします!」


「レイラはもともと魔力の高い侯爵家の娘だったのです。魔物と言葉を交わせる力をもっていたのですが、その力は非常に珍しい。それが元で人々に恐れられることとなってしまったのです」


「魔物と言葉を……」


「残念ながら、レイラは若くして亡くなってしまったのですが、その魔力を国のために活用してほしいということで、ご両親が体を提供してくださったというわけです」


 自分の体の元の持ち主……


「こんな話をされても、困りますよね」


 確かに、ショック……だけど、ロイドの話を聞いて、妙に納得している自分もいる。

 この体はレイラのもので、わたしはそこに入っているという感覚は前からあった。もっと、レイラのことを知りたい。もうちょっと気持ちが落ち着いたら、レイラの住んでいた場所を訪ねてみようか……


「その夢に出てくる動物も、なんとなくどこかで聞いたことがある気がするんです。俺も、いろいろ調べてみますね」


「うん、よろしく」


 ロイドが夢の正体を調べてくれると、何か進展するかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。