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王子様はゴミ屋敷の引きこもり住人  作者: 加阪あおか
第四章:私がいたいと思う居場所
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それぞれの居場所②

「おっおいフォザリア、危ないぞ!どうしたんだ?何を忘れたんだ?」


ルカルナは慌てて馬車を止めさせた。そして訳がわからないという顔をしている三人に向かって叫んだ。


「ルカルナ様、ポンロさんはどうなったんですか?」

「ポンロ?」


「そうですよ、いたでしょ船の中に、小太りで目の下に大きなほくろがある人よ、ローザンさんの息子さんよ」

「おい、いたかそんな奴?」


ルカルナはリアムスにたずねたがリアムスも首を傾げている様子だった。


「そのような名前の人物はいなかった気がいたしますが、そういう風体の奴隷商船の乗組員はいたかも知れませんね。船の上にいた人間は全員確保したと報告を受けていますので、牢屋の中にいるかもしれませんね」


「ええ~!大変!馬車を戻して。お願いルカルナ様、あなたの力でポンロさんを自由にしてあげて、彼は関係ないのよ!私達が逃げられたのは彼のおかげなのよ。私約束したんだから」


「何を約束したんだ?」


「無事にあの船から逃げられたら国に戻って彼の罪を帳消しにしてくれるようにあなたに掛け合ってあげるって」


「ちょっとフォザリア、あいつそんなこと言ってなかったんじゃないか」


「いいえ、私はそう受け取ったわ。そして私は助かった。ただ罪は罪、他に罪を償う選択肢があったら彼にチャンスを与えてあげることはしてあげなきゃ。この国にいたままじゃどうしようもできないわ。私には何も力がないんだもの。お願いしますルカルナ様の力で、証言なら私がしますから、彼は船底で柱に縛られていたわ。フォーラも見たわよね」


「あっああそれならみたけど」


「ほら、彼は奴隷商人の仲間じゃないわ。お願い彼を自由にしてあげて」

「無理だな、ここはトルマーバルトじゃない。そいつを釈放した所でなんのメリットもない」


「あらどうしてですか?あの人自分一人だけなら逃げ出すことができたのにわざとさわぎを起こして私たちが助かるチャンスをくれたのよ。お願いルカルナ様、あっそうだ。私ねあの船底にこの草をたくさん密輸しようとしていたのをみつけたのよね。もしかしたら密輸ルートとか知ってるかもしれないわよ。ポンロさん色々知ってるかも知れないわよ裏社会のこと。私が保障するわ。彼約束は守る人よ恩をあだで返す人じゃないわ」


「あたしはまだ許してないよ、あいつはあんたから平気でお金を奪った男だ、信用できないよ」


フォーラが言ったようにルカルナも信じていないようだった。しかし、フォザリアが懐の中に入れていた巾着袋からだしてきたルーテンダリアンの葉をリアムスにも渡しながら何か考え事をしている様子だった。


「これが大量にあったといいたいのかフォザリア」


「ええ、確かに見たわ。ねえ、彼と取引したらどうかしら?彼の自由と引き換えに彼が知ってる情報を教えてもらうの。きれいごとだけじゃ取り締まりもうまく行かない時もあるんじゃないの?」


「そうだな・・・お前がそこまでいうのなら一度話してみるか、一応うちの国の人間だしな。死刑にするのはいつでもできるからな。あいつがどんな罪を我が国で犯したのかは知らないが罪と同等の利益をもたらす人物かどうか見極めが必要のようだな。彼が今回の件で被害者なら連れて帰ることも可能だが・・・しかしフォザリア、どうしてこれを隠し持っていたんだ。これは少量でも持っていると危険なものだぞ」


ルーテンダリアンの葉を受け取りながら言った。


「ごめんなさい、すっかり忘れてたのよ。私もそれがどんな代物かは知ってるわ。やばそうだったからポケットにいれたのよ」


「はあ・・・全く・・・もうこれ以上帰国を伸ばすことができない。仕方ない、出航は少し送らせて王宮に引き返してそのポンロとかいう男も一緒に連れて帰ることにするか」


その言葉を聞いたフォザリアは嬉しそうに頷いた。


「ありがとうルカルナ様」


その後、王宮に引き返したルカルナはリアムスとフォーラを残し、今回の事件に関係していた奴隷商人や水夫たちが収容されている牢屋に許可を得て向かうことにした。牢屋につくと看守に我が国の罪人を国で裁くので連れて帰っていいか話をつけていた。


反対されるかと思いきやすんなり許可がおりた。ルカルナはフォザリアと共にポンロが入れられている牢屋に向かった。


「ポンロさん迎えに来るのが遅くなってごめんなさい」


フォザリアは牢屋の中の固い石のベッドで横になっていたポンロに向かって話しかけた。


「なんだあんたか、死んだんじゃなかったんだな。相方があんたの名前を叫んでいたからてっきり死んだのかと思っていたんだが、無事で何よりだな」


「ポンロさん、あのね、あの約束覚えてる?」

「はあ?約束?あんたと約束なんかした覚えはねえよ」


「私はしたわ。あなたは私達を助けてくれた。今度は私の番よ。彼ね、トルマーバルト王国のルカルナ王子よ、あなたと取引がしたいんですって」


「王子だと嘘をいうな!」

「この顔のあざは有名だと思うがな」


そういってルカルナは自分に頬のあざをポンロに見せた。


「ああ・・・確かにそんな噂は聞いたことがあるな。じゃあ本物なのか?あんた何者だ?王族と知りあいだとは思っていたが王子に助けにこさせる人間だったのか」


本物の王子だと知ってさすがのポンロも驚いた顔でフォザリアをみた。


「私ってすごいでしょ。ふふふっまあ冗談はさておき、ポンロさんあなたにもチャンスがきたのよ」


「チャンス?地獄へ足を踏み入れそうになっているの間違いなんじゃねえのか?」


「あら地獄じゃないわ。光の中に戻るのよ」


「光か・・・嫌だって言ってもあんたのことだ聞かないんだろうからな。しゃあねえなあ・・・言う通りにしてやるよ。ここにいたってろくな未来もないだろうしな」


ポンロが立ち上がる牢屋の柵の前に立った。


「それで俺に何をさせるってんだ」

「こいつの裏取引の元締めと密輸のルートなどの情報を提供してもらいたい」

「で俺のメリットはあるのか?そんなことをしちまったら俺は裏組織から命を狙われちまうじゃねえか」


「そうだな、自由を与えようじゃないか」

「自由か・・・裏社会からかなり恨まれそうだな」


「じゃあ、僕の元で働くっていうのはどうだ。給料は弾んてやるぞ。僕の代わりに色々都で調べる人間を探していたんだ。僕は自由に行動できないからね」


「そうか・・・悪くない話だな」


「よし取引成立だな。では僕と一緒にトルマーバルトへ戻ってもらおう。念のために国につくまで罪人として振る舞ってもらうぞ」


「しかたねえな」


そういうポンロに頷くと、ルカルナは看守に鍵を開けるように依頼した。そして別の馬車を借りるとポンロも引き連れて、ルカルナはフォーラとリアムスと共に国に帰って行った。船に乗り込む時、フォーラがフォザリアに駆け寄った。


「フォーラ約束だよ。私が戻るまで、都からいなくならないでよね」


「ああ、わかってるよ。約束だ。孤児院の方を何とかしてくれるんだったらあたしがあそこに戻る必要もないからね。元々あたしも都に行きたいと思っていたし」


「よかった。じゃあまたね」


フォザリアはしばしの別れをフォーラとかわした。その後ルカルナに近づくと頭をもう一度さげた。


「ルカルナ様、二人のことよろしくお願いします」


「ああ任せろ、それより何か厄介なことを言われたら必ず知らせるか逃げてくるんだぞ、お前がトルマーバルトに戻らないとまた引きこもるからな」


「それは脅しですか?」

「そうだ」


「わかりました。ではサルジュ様の用事を早急に済ませて必ず私の居場所に戻ります」


そう言うフォザリアにルカルナは彼女を軽く抱きしめ、船に乗り込んだ。

(フォザリア必ず戻ってこい)





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