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王子様はゴミ屋敷の引きこもり住人  作者: 加阪あおか
第四章:私がいたいと思う居場所
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脱出

リンゴを食べた後、フォザリアはまた再び横になり寝息をたて始めた。そして時間が過ぎ夜明け前のまだ暗い時間帯にようやくサザンクラース国の港に船がついたのか甲板をどかどかと忙しく歩き回る足音が聞こえてきた。


フォザリアはその頃には目が覚め、ナイフを懐に隠し、隅にあった縄でもう一度手を緩くすぐほどけるように縛り直した。


やがて甲板の荷物が港に運びだされているような音が響いてきた。その時だ、外から男たちの大きな怒鳴り声のような声が聞こえてきた。


「おい!ポンロの奴が逃げ出しやがったぞ!」

「お前らあいつを捕まえろ!」

「今あいつを逃がすわけには行かねえんだ!」

「おいお前は下のガキどもを見てこい!ランプも持っていけ」

「へい!」

「逃がすんじゃねぞ!」


その声を聞いたフォザリアはとっさにフォーラに合図した。


「フォーラ!これでおりてきた奴を気絶させよう」


フォザリアは太い棒を手に持つとそれをフォーラに渡すしながらニヤリとした。


「了解!」


フォーラはその棒を受け取りながら構えた。


「まったくポンロさん逃げるならばれないように逃げればいいのに。こうなったらチャンスは今しかないみたいね」


フォザリアも別の棒を捜しだし、ポケットからナイフを取り出すとおびえて震えている少女たちに近づき跪きナイフで縄を完全に切ると少女たちに向かって言った。


「みんな、上に上がったら隙をみて海に飛び込むかしてなんとか港に逃げ込みなさいね。もしそれがだめでもいつか必ずチャンスがくるからこれを隠し持ってチャンスを待つのよ。フォーラ、あなたは泳げるわよね。私達は甲板に上がったら、一気に海に飛び込むわよ」


そういうと、フォザリアは首にぶら下げていた紐を引き出し、懐からどっしりと重みのある巾着袋を取り出し中から昨日サルジュからの依頼品の品と引き換えにもらった制作料金分の中から金貨を少女たちに三枚ずつ持たせた。


「フォザリアそれ」


フォーラが驚いていうと、フォザリアは立ち上がり振り向きざまに少女たちに笑顔で早口で言った。


「あげるんじゃないからね、いつかトルマーバルトに戻ってこれることがあったら、都にあるフォザリアの雑貨店に返しに来てね。必ず生き延びるのよ。生きてさえいえば必ずチャンスは来るから」


「まったくフォザリアは相変わらずだね!私はいらないからね。泳ぎは得意だよ」


フォーラはそういうとはしごの後ろ側に隠れ、棒を両手でもち構えた。フォザリアもフォーラの横に移動し、同じく棒を構えた。その時、甲板に通じている扉が勢いよく開き、ランプを手に持った男が一人下におりてきた。


二人は息を切らしながら棒を構えた。もうすぐ下に着こうとした時、フォーラが力の限りその棒で男の膝の部分を棒でつついた。その拍子に片手でランプを持っていた男はそのランプを放してしまい、下に落ちたランプは勢いよく燃えだした。

「いってえなあ、このクソガキども・・・」


男が痛む膝をかばいながら床におりた瞬間フォザリアが後ろから男の頭に思いっきり棒を振り下ろした。そして、少女たちに向かって叫んだ。


「さあ!早く上に上がるのよ!」


そう言うと燃え盛る炎の中、少女たちははしごをのぼり出した。勢いよく煙が船底から上がり、甲板にいた男たちが一斉にざわつきだした。


「おい、早く火を消せ!こっちからも出火してるぞ!」


甲板の上でも何かパニックになっている様子だった。炎が一気に立ち上り煙が外に向かって登り始めたにも関わらず誰も下におりてくる様子はなかった。

混乱の中少女たちも甲板から船の外に逃げだすのに成功したようだった。


「フォザリア、あたしたちも早く逃げるよ!」


先にはしごをのぼりかけたフォーラがまだ下にいるフォザリアに叫んだ。


「先に逃げて!」


「何言ってるんだよ、ちょっとフォザリア、何をしようってんだよ」


フォーラは振り向いて叫んだ。なんとフォザリアは気絶している男を背中に背負おうとしていたのだ。


「そんなやつほっとけばいいだろ!早くしないと煙と炎で死んじまうよ」


フォーラが必死に手を差し出そうとするが、フォザリアはその手を取ろとせず、気絶している男を背中に背負うのを止めよとしなかった。


「フォーラは早く逃げな!」


フォザリアがそう叫んだ。


「全くあんたってやつはどうしようもない馬鹿だね」


そう呟くとフォーラはのぼりかけていたはしごをおりると、気絶している男を背中に乗せようとしているフォザリアから男を引っぺがすと側に落ちていた長く太い縄に男の腰の辺りに縄を巻き付けると、その縄の先を掴むとはしごをのぼり出した。そして空いたままになっている甲板に通じている扉によじ登るといった。


「あんたも早く登って来な、けむりが充満すると危険だよ吸い込むと死んじまうからね」


両足を踏ん張ると、男をゆっくり引き上げながら言った。フォザリアも一気にはしごをのぼり、二人で男を引き上げるべく煙を吸い込まないようにしながら必死に縄を引き上げた。そして男を引き上げ終わった瞬間大きな爆発音が鳴り響き、二人は船の端の方に吹き飛んだ。フォザリアはその瞬間頭を思いっきり甲板に打ち付け意識を失ってしまった。遠くの方でフォザリアを呼ぶ声が聞こえた気がした。





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