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王子様はゴミ屋敷の引きこもり住人  作者: 加阪あおか
第二章:新しい仕事依頼
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王宮からの手紙➁

王宮についたルカルナとフォザリアはサルデーニャ王女のいる場所に向かい、部屋をノックすると、すぐに中に通された。


「フォザリア、待っていたのよ」


フォザリアが部屋にはいると、サルデーニャ王女はフォザリアを見ると近づいて抱きしめた。


「姉上、僕達は仕事が忙しいんですよ、暇な姉上の都合で呼び出すとか辞めていただけませんか?」

「何よ、いつからそんなに生意気に私に意見できるようになったのかしら?」


サルデーニャはフォザリアの後ろにいたルカルナを睨みつけながら言った。


「どうとでも、それで要件は何ですか?」


ルカルナは姉の言葉に全くひるむ様子を見せないでツカツカと歩いて部屋に入るとドカッとソファーに腰をかけた。


「全く、せっかちなんだから、フォザリアはあなたの所有物じゃないのよ」

「わかっていますよ。でっ僕も呼び寄せたのは何かあるのですか?」


ルカルナの言葉でサルデーニャ王女はフォザリアを離すと自分もルカルナの向かいのソファーに腰かけると話始めた。


「あなたはお父様が話があるっていうからついでに来るように手紙に書いただけよ、あなたお父様からの呼び出しをずっと無視してるんでしょ。私はあなたには用事はないわ。早く行ってきなさい」


「僕をだましたのですか?僕は父上には用はありませんよ。フォザリアにもどうせろくでもない用事を言いつけるつもりなのでしょう、そうはいきませんよ、フォザリア帰るぞ!」


ルカルナはそういうと、横に座ったばかりのフォザリアの手を掴んで立ち上がろうとした時、扉が勢いよく開いて、ロンダは飛び込んできた。


「フォザリアが来てるって本当!」

「ロンダ、ノックもしないでなんですがお行儀の悪い!」

「ごめんなさい母上、あっ本当にフォザリアだ!」


ロンダは母親にあやまったと思ったらすぐに視界に入ったフォザリアに駆け寄ってきた。


「お久しぶりですロンダ様、お元気そうですね」

「うん、でも退屈で気が変になりそうだよ。ねえ、もう王宮で仕事しないの?」

「申し訳ありません、都で新しい仕事を始めましたので」


「そう・・・残念、僕もね、ルカルナ叔父様みたいにフォザリアと一緒に住みたいって言ってるんだけどね、母上が許してくれないんだ」


「あら当然ですよ、ロンダ様はこれからたくさんお勉強をなさらないといけないんですもの」

「そうだけどさ、退屈なんだもん。ねえ、仕事休みとかないの?休みの時遊びに来てよ」


「そうですね・・・考えておきます。実はロンダ様にお願いがあるのですが、サルデーニャ様のお話が終わったらロンダ様の屋敷の方に顔を出させてもらってもよろしいでしょうか?」


そういうと、フォザリアはロンダの耳元で小声で何かを囁くとロンダは急に眼を輝かせた。

「わかった、探しておくよ」


そういうと素直に部屋を出て行ってしまった。その様子を感心したように眺めていたサルデーニャ王女がフォザリアに向かって言った。


「相変わらずロンダの扱いが上手ね。私の前だと最近生意気なことばかり言って文句ばかりいうのに」


「そういうお年頃なのではないでしょうか?あのサルデーニャ様、この後、ロンダ様のお屋敷に伺ってもよろしいでしょうか?お借りしたい本がありまして」


「本?ああ、あなた字が読めるのよね、いいわよ。あの子、色んな本を集めててたくさんあるから好きな本を持っていくといいわ。あなたが本を借りるという名目でたまに王宮にくることであの子の機嫌がよくなるなら安いものだわ」


「ありがとうございます。ところで、お話というのはどのようなご用件でしょうか?」


「ああそうそう、実はね近隣諸国から10日後に王宮主催の舞踏会があるんだけど、その前にわたくしのお友達を呼んでお茶会を開催しようと思っているの。そこで、最近都で大人気のあなたの店の人気商品でえっと猫の置物でなんだったかしら?」


「招き猫ですか?」


「そうそれ、その招き猫をお土産に用意したいと思っているのよ。100個ほど用意できないかしら?」


「100個ですか?それが現在在庫が切れておりまして、新たに作るとなると今販売している大きさですと一日に5個が限界なんです。焼き入れの時間も入れますと時間的に無理です」


フォザリアがそう返答すると、ルカルナがため息交じりに付け加えた。


「たとえ姉上の頼みだろうと無理なものは無理ですよ。大体10日しか時間がないのに100個もだなんて無理に決まっているでしょう。店の商売もあるのですよ、他をあたってください」


「何よ、私はフォザリアに頼んでいるのよ、あなたにじゃないわ、黙っていなさい」

「だまっていられないからいってるのですよ!だいたい姉上はいつだって」

「待ってくださいルカルナ様」


フォザリアが困った顔をしながらしゃべろうとするルカルナの言葉を遮って言った。


「申し訳ありませんサルデーニャ様。実は招き猫を制作監督しているのはルカルナ様なんです。今はスタッフの子達も少しずつ作れる様にはなってきているのですが、作業効率から考えましても、窯に焼き入れの予約を入れているのが7日後なんです。それまでに今作っているのだけでも10個ぐらいですので、時間的に見ても無理なんです。申し訳ありません。布で作った小さいキーホルダーにつける招き猫的な物でしたら何とかなるかもしれませんが」


「キーホルダーにつけるってどういうこと?」


「ああ、これは試作品として作った物でまだ商品化はしていないんですけれど、色んな鍵をまとめる物につけたり、化粧ポーチにつけたりするもので布で作った色んな動物の形をしたマスコットキーホルダーなんですよ。これは犬をイメージして作ったものなんですけど」


フォザリアはそういうと自分が背負っていた鞄の中に入っていた布で作った店の鍵につけている犬の形をしたマスコットキーホルダーを見せた。


「まあ可愛い、他に何かないの?」


「そうですね、これは化粧ポーチですけど、はぎれ布を使ったパッチワークといって、様々な色・形・大きさの布を組み合わせて幾何学模様を作りだして繋ぎ合わせたものなんですけど、これですと、一つの作品を作るのに半日ぐらいで完成しますし、針子を増やせばできない数ではありません、あのお土産という形では無理なのですが、お茶会ということでしたら、そのお茶会の席でビンゴゲームなどを企画なさって、その景品としていろんな商品をご用意されてはいかがでしょうか?全て違う商品として、一番目から100番目まで豪華さに違いをもたせればビンゴゲームも盛り上がるのではないでしょうか?うちの店の新作も今から重点的に制作して作らせていただきますけれど、今壁に飾る用のパッチワークを制作しているんですけれど、そちらの方も目玉商品として提供します。そうだ、ルカルナ様、招き猫のお気に入りがまだ館に数体あるって言ってましたよねそれも目玉商品の一つになさったら盛り上がると思うんですれど」


「ねえ、面白そうだけどそのビンゴゲームってどんなゲーム?」

興味深々の様子でサルデーニャがフォザリアに聞いてきた。


「ああ・・・それはですね、25マスにそれぞれ異なる番号がかかれたカードを参加者に配るんです。そこに書かれている数字全ての番号を書いた蓋を用意して、それをシャフルして順番に読み上げて行くんです。参加者の方たちは自分の持っているカードによまれた番号があると丸をつけていって、縦・横・斜め、どれでも丸が一列にそろえば勝者となって「ビンゴ」といって早い者順に並べられた景品の中から好きな商品を持ち帰ることができるんです。これなら、うちの店の商品をいくつかと、他のお店や宝石や美術品なんかも用意すれば、当たりはずれはあるにしても盛り上がるのではないでしょうか?」


「あらおもしろそうね。じゃあ、あなたの店で用意してくれるのはいくつぐらいできそう?」


「そうですねパッチワークと置物を含めますと全て新作を作るとして合計50個ぐらいならできるだろうと思います。豪華な部類にあたる商品を10個と普通の物という具合ですが、どれも新作ですので異国の方には物珍しさでうけるのではないでしょうか?」


「そうよね、パッチワークって最近貴族の間でもはやり出してきたって聞くし、じゃあ50個はお願いね。他の商品はわたくしが捜してみるわ。あっルカルナが作ってある招き猫の中で一番大きいサイズは当日備品として設置するから運び入れておいてね。パッチワークの壁かけは自慢したいから、景品としてじゃなく、額を用意させるから、別に持ってきてくれるかしら?もちろん代金は支払わせていただくわよ。前金で200ルーテン金貨で十分かしら?」


「そっそんなにいただけるんですか?」

「あら当然じゃない、その代わり全て新作にしてちょうだいね」


サルデーニャ王女はそういうと侍女に金貨を用意させるとフォザリアの目の前に置いた。


「ちょっと待ってください。僕の招き猫はだめですよ。あれは最高傑作なんですから」


「いいじゃない、あんなほこりっぽい屋敷に放置しておくよりわたくしの部屋に飾った方が絶対いいわよ。フォザリア、あなたの店の招き猫、可愛いって噂は聞いてるのよ。まさかルカルナが作っていたとはね、意外な才能ね。新作楽しみにしているわ」


「あの招き猫に関してはポーズは大体決まってますので、顔の表情が変わる程度ですけれどよろしいでしょうか?」


「そうね、じゃあ服を着せてちょうだい」


「そうですね、了解いたしました。お引き受けいたします。ビンゴカードをひく箱や皆様にお配りする紙もこちらでご用意いたしますので、サルデーニャ様は参加者様の人数から50個を差し引いた数の別の景品をご用意くださいませ。あまり高価になりますと、わたくしどもが用意した商品がはずれの物になってしまいますので宝石など高価なものはお控えいただけるとありがたいのですが」


「そうね、高価なものは一つか二つぐらいにして、召使たちに何がいいかリサーチして集めさせるわ。ああ~やっぱりあなたを呼んで正解だったわ。面白いお茶会になりそうだわ」


満足そうにしてるサルデーニャ王女とは正反対にブス~ッと膨れて黙り込んでしまったルカルナにフォザリアが囁いた。


「宝石と比べると明らかに劣りますけど、私はルカルナ様考案の招き猫は最高級品だと思いますわ。ほら招き猫の首輪を刺繍入りの布地に変えるとか、鈴の部分を本物の鈴に変えて、衣装も最高級の服に発注するとかしたら高級な置物になるんじゃないかしら。そうだわ、招き猫の手に宝石入りの指輪を付けたら、金持ち猫に変身したりして」


「あらそれいいアイデアね、そうだわ、わたくしのいらない宝石を選んでおくわ、招き猫に指輪をはめられるようにしておいてね」


「あらそれなら、それが一番人気の人気商品に早変わりしますね。私も参加したくなってきましたわ」


それを聞いたサルデーニャ王女はニヤリとして言った。


「あらよかったらスタッフとして臨時で仕事に来る?ビンゴゲームを盛り上げるのを手伝ってくれるとたすかるんだけど」


「面白そうですけれど、来られる方たちは皆様身分の高い方々ばかりですよね、私のような者が同じ空間にスタッフとしてでもいると失礼になるかもしれませんし」


「あら、関係ないわ。練習だと思えばいいのよ、今後、人前に出る機会はたくさんあるかもしれないでしょ、それにあなたの店を売り込むチャンスよ。ねえルカルナ、あなたもそう思うでしょ」


「はあ?どうして僕にそんなことを聞くんですか姉上」

「あらだって」


そこまでいってサルデーニャ王女は立ち上がり、ルカルナに近づくと彼の耳元で何かを囁いた。すると急にルカルナが咳き込みだした。それを見て甲高い笑い声を響かせてサルデーニャ王女は面白そうに元の場所に戻りまた腰をおろした。


その後、詳細な打ち合わせを終え、臨時収入を得るとお茶会にもスタッフとして参加する気満々のフォザリアを静止しようと試みたルカルナだったが無理だとあきらめ、しぶしぶ作品の提供を承諾したのだった。






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