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王子様はゴミ屋敷の引きこもり住人  作者: 加阪あおか
第一章:私掃除婦になる!
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新しい発想

正直外とは違い、一階はフォザリアにとっては捨てられるものがほとんどないのだ。


ほとんどが古いシーツやカーテンや王族が着なくなったドレスやスーツなどがしめているため、捨てるものがないのだ。確かに汚れてはいるが使えないわけじゃないし、雨にさらされていない分泥などついていないので、石鹸だけでも十分綺麗になっていた。フォザリアはきれいになった館の周りに何故か放置されていた細い木を利用し、三本をひとまとめにし生ゴミの中に入っていた紐でくくると、それを何本も作ると平らになった地面の上に均等に下の部分を広げ、長い棒状の木があると物干し竿の代わりにしたりと大量に出る布を晴れ間を利用して洗っては天日干しするを繰り返した。


ようやく晴れが続き出したとある日、フォザリアはたまったゴミを焼却炉に運び入れていた。


「ふうーこれでようやく寝床確保できそうだよ。はあ~やれやれ」

「おお、今日も大量だなあ~」


フォザリアに声をかけてきたのは焼却炉担当のヴァル爺さんだった。

この世界では焼却炉は私がいた世界と同じような焼却施設が充実しているようだった。


そう言えば、育った協会でも街中でもそんなに汚いってわけじゃなかったな。ここが異常なだけで、だけど・・・金持ちっていうのは使い捨ての概念が定着してるのかなあと思ってあきれてしまう。


「ヴァルさん、おはようございます」


「お前さんの提案通り、ゴミ出しは朝に出しに来てもらうことにしたよ。その方が効率よくていい感じだよ。おかげで最近は夜中のゴミ泥棒も来なくなったよ。ただ、それぞれの部署から面倒だって苦情がきてたがな」


「当たり前になると何ともないんでしょうけど、その都度調整して改善して行く方がいいんじゃないでしょうか」


「まったくその通りだな。お前さん若いのにたいしたもんだな」


「いいえ、私なんか全然ですよ。じゃあ私はこれで、お疲れ様です」


「あの館は昔は花が周りに植えられていてな綺麗な場所だったんだけどなあ、あんなことが起きなきゃなあ・・・」


ヴァル爺さんはそこまで言って口を濁した。


「あの何かあったんですか?」

「あっいやなんでもないよ」


そう言ってヴァル爺さんはその先は何度聞いても何も答えてくれなかった。しかたなく諦めてフォザリアは空の袋を持って館に戻っていった。


その夜、フォザリアは部屋の中で考え事をしていた。向こうの世界でもゴミ屋敷の住人はテレビで見たことがある。生まれた時からゴミが好きなんて人間はいないはずだ、何かから自分を守る為にゴミを抱え込んでいるんだ。


(一体何があったんだろ、ルカルナ様の身に、まだ19歳で若くて、何不自由ない国一番の恵まれた身分にいる人のはずなのに、私に何か手助けができればいいんだけどな)


フォザリアは乾いてきれいになったドレスの中で淡いピンクのドレスを使って子供用のドレスと、同じく何か飲み物をこぼしてシミが付いて捨てられたであろうクッションのカバーをはぎ、中の綿もきれいに洗い直し、乾いたところで 可愛いクッションカバーを作ることにした。まずフォザリアはハサミを入れる前に、ビゴーラに墨を貰い、捨てられていた紙の裏にそのドレスのデザイン画を書き留めた。不思議なことに前世では絵の才能は皆無だったはずだが特徴を的確にとらえたうまい絵が描けることを発見した。


(あれ、もしかして絵描きになれたりするのかな、もし王子様をゲットできなかったら、絵描きでもいけそうだな。紙は高いけど貴族相手だったら何とかなるかもしれないし、王都だったら商売になるかもしれないしな)


フォザリアはこの仕事が終わってからの新しい仕事を考える余裕がでてきている自分に驚いた。


(あっそれか、この館の中にまだまだ大量に布あるし、リメイクの店を開いてもいいかもしれないな。この国の人って荷物を風呂敷で包むやり方だけみたいでバッグなんて持っていなさそうだし、複雑なものや固い革製品は専門の技術がいりそうだけど、普通の人達がもつ鞄やリュックなんかはあの町でもみんな欲しがってたしな。布を貰っておけばしばらく元手がかからずリメイク屋を始められるかもしれないなあ・・・こんな上等な布捨てるなんてもったいないし)


色々考えると楽しくなってくる。食べる心配がないってこんなに素敵なことなんだ・・・忘れていたな。この世界の底辺で生きる子たちにも経験させてあげたいな。私ができる事がこの世界にもあればいいのに、そんな力と権力が欲しいな。みんな笑って過ごせる世界がくればいいのに・・・


フォザリアはその夜久しぶりに夢をみた。懐かしい前世の夢だった。まだ子どもが小さかった頃、趣味の裁縫でリュックサックやお手製の服を作ってあげるとすごく喜んでくれた。


生まれた時から余裕はなかったから余分な布は手に入れらなかったが、ゴミ収集場から拾ったボロボロの服で巾着袋を作ると、仲間内で作ってくれと頼まれて良く作ってやったことを思いだした。針と糸は貴重だったが、偶然ゴミの中から裁縫道具を見つけた時は嬉しかったのを思い出す。それで時おり巾着袋を縫って一食分稼げた時があったのだ。フォザリアが巾着を作る以前は皆服の中に直接お金を入れていたりしていた為によく落としたり無くしたりしていたらしかったが巾着袋を作ったおかげで、首から紐をかけておけば落とす心配もなく、みんなに感謝されて、今では町の大人たちも使っているようだった。簡単な作りだが何事も最初があるようで、今までそういう発想がなかったのだろう。


冬用のドレスコートがあったはずだからそれを使えばキャップ帽子ができるかもしれない。それに布を使ってお手玉を作ってもいいし、そうだ、少し大きめに作ってボールの代わりに遊んでも面白いかもしれない。中に何かの種を入れればできるし。

そう考えてると楽しくなってきていた。


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