玉入れ対決
フォザリアはドレスのリメイクが終わり子供用の服を一着とクッションカバーそれに可愛いポーチをセットに作った。前世では全てミシンで縫っていた為に手で縫う作業はかなり時間を要したが、何とか形になっていたのでほっとした。
最後に余った切れ端はお手玉用に継ぎはぎをして、草が生えていた辺りに落ちていた何かの草花の大きめの種を拾い集めてきてお手玉をつくった。
たいくつしのぎにはなるかな、それか大道芸人でもなるかななどと独り言を言いながら完成したお手玉で手遊びをしていると、館のドアがノックされた。
「はい」
フォザリアが顔を出すとそこにはロンダとピオレが立っていた。
「ねえ、リメイクできた?」
「はい今全て完成したところですよ」
「見せてもらってもいい、母上がね、すごく楽しみにしてるんだ。だから僕に様子を見てこいってうるさくてさ」
「あら、それはすみません。いろいろ作っていたものですから」
「ドレスだけじゃないの?」
「はい、今持ってきますね」
「すごい、これがあのドレスで作ったの?全然別の物になってる。これ何?」
ロンダが反応したのはお手玉だった。
「これはお手玉っていうんですよ。こうやってするんです」
両手を使ってお手玉を空中で放り投げ三つを交互に上に投げる遊びをしてみせた。
「わあ、何それフォザリア、貸してそれ!」
フォザリアがロンダにお手玉を渡すと夢中で遊び初めた。しかし思うようにできないようだった。すると後ろでみていたピオレがロンダから借り受けると、一度で簡単にこなしてしまった。しかも、予備に作ってあったお手玉のうち二つも追加し、空中に見事な円を描き始めたのだ。
「あ~どうして、ねえどうしてお前ができるの?ねえどうやるのか教えてよ~」
ピオレの手さばきがすごすぎたのをみたロンダが悔しそうにピオレに食い下がった。しかし何度やってもうまく行かず癇癪を起し始めた。
「もう!これ僕が嫌いなんだよ。僕のゆうこと聞いてくれないもん」
口を大きく膨らませてプンプン怒りだ始めたロンダにフォザリアはしゃがみ込んで提案をした。
「そうだ、じゃあ玉入れ競走をしましょうか」
ロザリアが提案すると、ロンダは目を輝かせながらまた聞いてきた。
「何それ何それ、僕にできる?」
「はいできますよ。ちょっと待ってくださいね」
フォザリアはそういと、ゴミの中にあった大小のザルを二つ持ってくると表に大量に積み上げている空の木箱をロンダの身長より一つ分高く積み上げ、その上に大きめのザルを置き、ピオレ用には二階ぐらいの高さまで積み上げた木箱のてっぺんによじ登り小さめのザルをその上にのせた。
そして降りてきて二人に説明した。
「いいですか五回勝負ですよ。ロンダ様はこっち、ピオレ様はこちらにそれぞれ一つずつあのザルの中にそのお手玉を投げ入れて下さい。多くいれた方が勝ちですよ」
「わかったあのザルに入れればいいんだよね。ピオレ勝負だよ」
「あのフォザリアさん、わたくしの方がかなり不利なのではありませんか?あの高さであの小さいザルでは入りませんよ」
「あらロンダ様とピオレ様は身長差がありますし、大人と子どもとでは差をつけないと、それにあれぐらいだったら私なら楽勝よ」
そういうとお手玉を一つ高い方に投げ入れ見事ザルの方に入れて見せた。
「おや入りますね。ではわたくしも挑戦してみなくてはなりませんね。ロンダ様勝負ですよ」
ピオレがロンダの方に向かっていうとロンダもやる気満々の様子だった。
「僕負けないよ」
二人は真剣に玉入れをしている様子を三階からのぞき見をしているルカルナの姿があった。
「あっルカルナ様もやりませんか?」
フォザリアが声をかけると、すぐに姿が消えてしまった。
「ああ・・・私嫌われているのかな」
フォザリアがつぶやくと、ロンダが言った。
「ルカルナ叔父様、可愛い女性は苦手なんだよ。よくしらないけど、昔酷い振られ方したみたいだよ」
「酷いって?王子様を振る人なんているのですか?」
「さあ・・・僕もよく知らないんだ」
「そうなんですか?でも私は可愛い部類にははいらないから、避けられる覚えはないと思うんだけどな。やっぱりゴミを回収して要塞を壊している私は敵認定なんでしょうかね」
フォザリアがブツブツ言っているのをロンダはおもしろそうにピオレに囁いた。
「ねえピオレ、フォザリアって自分がかわいいって自覚全くないみたいだね。叔父様のあの様子だって絶対フォザリアの事が気になってるよね」
「そうですね、フォザリアさんも来た頃より頬がふっくらしてきていますしね」
「叔父様も早く立ち直ってくれないかな・・・一つ屋根の下にこんなに可愛くて面白い子がいるっていうのにさ、相変わらず引きこもって何も言わないしさっ」
「そうですね」
ピオレはそれ以上は何も言わなかった。そして二人は真剣勝負を開始し、ロンダの圧勝で終わった。
「やった~!僕の勝ちだよ」
「ああ、負けてしまいましたね。さすがロンダ様ですね」
「へへえ、すごいでしょ僕」
ご機嫌のロンダをピオレは上手に持ち上げている。フォザリアは感心して二人の様子を眺めていた。ご機嫌で隣の屋敷に戻って行こうとするロンダを見送りながら、フォザリアはピオレに言った。
「さすがですねピオレ様、見事な負けっぷりでしたね」
「おやなんのことかわかりませんね」
ピオレはそれ以上言わずに頭を軽く下げてロンダの後を追って行った。
「あの人がいる限り、ロンダ様は立派な王族になるわね。問題は」
そう言いながらフォザリアは三階の窓を見上げながらため息をついた。
(私がここにきてからもう何日にもなるのに顔を見たのは数えるほどだ。このままじゃ駄目だ・・・もう王子様との結婚なんかどうでも良くなってきた。ただ、このまま引きこもればそう遠くない未来でこの上の王子は人生をとり返せなくなる。このまま引きこもっていいはずがないわ。私に何かできればいいんだけど・・・何ができるかしら、何かきっかけがあれば・・・そうあそこから昼間に出させる何かきっかけを作ればいいんだ。何かいい手はないかしら・・・)




