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王子様はゴミ屋敷の引きこもり住人  作者: 加阪あおか
第一章:私掃除婦になる!
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もったいないです

雨が七日も続いてしまい、中々焼却炉が使えず、ゴミが出せずにいる間。フォザリアは一階に少し空いたスペースを利用して、中身の仕分けを始めた。この階は生ゴミがなく布や服や使用済みの紙類などがほとんどだったのだ。


「ロンダ様がおっしゃっていた通りだわ。この大量のドレスはきっとサルデーニャ様の物だったドレスだ、こんな最高級の生地をふんだんに使っているのに捨てるなんてもったいない。この一着できっと多くの子どもが何日も食べられるはずだわ。捨てるなんてもったいない」


フォザリアの後ろに積み上げらた大量のドレスに視線を移しながら呟いた。


「これをどうするかよね、燃やすのは簡単だけど、まだ利用できるものを捨てるのは私のポリシーに反するのよね」


フォザリアはそうやって昨日から延々とドレスとにらめっこを続けていた。この部屋の大半はドレスや着古され捨てられたはずの使用人の服などがほとんどだった。中には汚れてどうしようもないものも大量にあったが、きちんと洗えばまだ十分使える物もあった。汚れが落ちそうにないものは寝床の敷布団の中身として詰め込んだり、雑巾にするつもりである。敷布団は草をつめるよりも断然いいはずだ。だが、雨の為洗っても干す場所がないため何もできずにいた。


「はあ・・・早く晴れてくれないかなあ」


腕を組んでその服の山を眺めていると、外のドアを叩く音が聞こえた。


「誰かしら」


そう思いながらフォザリアはドアを開けるとそこにいたのはビゴーラと知らない女性の二人だった。


「作業中すまないね。実は今日はあんたに頼みがあってきたんだけどね」


「ビゴーラさん、おはようございます。今日はお休みの日ではありませんでしたか?」


「ああ、休みなんだけどね、実はずっと雨が降り続いていてゴミ処理の仕事がストップしているだろ、あんた縫うの上手そうだったのを思い出してね、針子をやったことがあるんじゃないかと思ってね」


「はい、やったことありますよ、簡単な服ぐらいなら縫えますけど」

「そうかい、実は手伝ってもらいたんだけどね」


そういってビゴーラが説明をし始めた。


「実は、王妃様用の明後日までに仕上げないといけないドレス制作が急に入ったんだけどね、針子が二人ばかり、熱で倒れちまったようでね。針子を探しているんだよ。王妃様のドレスは宝石をちりばめた細工で細かくてテマのかかるものみたいでね、時間が無くて困ってんだよ。私は縫うのは下手だしね。都で針子を探してるんだけど、急で中々見つからないって聞いてね、あんたを思い出したんだよ。自分の布団も器用に縫うって言っていたしね。どうだろう、サルデーニャ様の許可はとってるんだけどね」


「サルデーニャ様がいいのでしたら私はいいですよ。私に出来ることなら」

「ありがとうございます」


一緒に来ていた女性が頭をさげた。


「よし、決まればついてきておくれ、まずはその体をきれいにしないとね、ドレスが汚れちまうからね」


フォザリアの汚れた使用人服を見ながら言った。そして、フォザリアは二人に後をついてまず使用人塔に連れていかれると、部屋には水の入った桶が置かれていて、新しい使用人服が一式置かれていた。


「まずは体をきれいにしたら、それに着替えておくれ、髪も一つにまとめて、その三角巾を頭にかぶるんだよ」


そういうと部屋に一人にされた。フォザリアは言われるまま体をきれいに拭き、新しい服に着替えた。そして、針子たちがいる部屋に案内された。


「フォザリアです、よろしくお願いします」


一同は作業を中断させフォザリアを見るとまたすぐに作業に戻った。


「すまないね、まずこの布にこの宝石を一度縫い付けてみてくれないかい?」


フォザリアは差し出された布と針を使って一粒の宝石が止められている金具に器用に糸を差し込むと慣れた手つきで縫い付け、そして周りの針子たちがしているその周辺にしている刺繍も器用にマネながらきれいな仕上がりの刺繍に仕上げていた。


「すごいわ即戦力よ、さあ、時間がないのよ、あなたはここを仕上げてちょうだい。その下書き通りに刺繍してちょうだい」


「はい」


そう返事をすると、周りでもくもくとドレスに直に刺繍を施している針子たちがいた。みなすごい速さで完璧に刺繍をしていた。フォザリアも言われた場所に座ると刺しゅう糸に針を通すと刺繍しだした。半日刺繍をし、ようやくドレスが完成した。


「あんたすごいね」


「いえ、生きる為に小さい頃から色んな仕事してきましたので、針仕事は得意なんです」

「そうかい、若いのに苦労してるんだね」


ドレスが仕上がり、片づけを始めた針子たちと話をしながら片づけをしていると、そこにサルデーニャが入ってきた。


「御苦労さま、お母様がみんなに無理させちゃったみたいね。お疲れさま、隣の部屋にケーキ用意させたから、食べてちょうだい」


「キャーサルデーニャ様、ありがとうございます」


針子たちは嬉しそうにサルデーニャ様に頭をさげると、隣の部屋に入って行った。しかし、フォザリアは隣の部屋には入らずサルデーニャ様に近づいて言った。フォザリアは頭をさげるとサルデーニャに話しかけた。


「あのサルデーニャ様、掃除婦のフォザリアです。お願いがあります」


「あら、あなたも作業に駆り出されていたのね?どう掃除は順調かしら?外回りはすっかりきれいになっているみたいだけど」


「はい、一階の玄関のゴミの分別は終わりそうですが、この雨で焼却炉が使えないので、中々はかどっていません」


「あらそうね、この雨じゃ仕方ないわね。あなたも食べてらっしゃいよ」

「いえ、こちらの作業が終わりましたらまた館に戻りますから、ですが、あの」


「ああ、お願いね、何かしら、まあ、あれだけすごかったゴミがあなたが作業してくれてから増える様子もないし、別の褒美も何か欲しいのがあれば言いなさい」


サルデーニャの申し出に言おうか迷っていたフォザリアは勇気をだして言ってみた。


「あの・・・でしたら、実は館の中の一階の一部屋に詰め込まれていたゴミはサルデーニャ様が昔一度着られてその後焼却処分するはずだったドレスばかりみたいなんです」


「なんですって!それは本当なの?」

「まあ、きちんと燃やしなさいって命じてあったのに」


「あの・・・それでですね、その衣装はすごくいい生地を使っていますし、装飾されている物も豪華なので、リメイクさせてもらえませんか?」


「リメイクって何をするの?わたくし、一度舞踏会できたドレスは王女として、同じ物は身に着けたくないし、他の人に着られるのもいい気がしないわ」


「あの・・・ですからリメイクとは、そのドレスをいったん全て糸をほどいて布地にしてしまってから、別のな何かに作り変えることです。とてもいい生地をふんだんに使われている物ばかりですから小さい子どもの服なら二着ぐらい余裕で作れると思うんです。それにこった刺繍の部分を中心にして切り抜いて大量に使われているレースを縁に縫い合わせてハンカチでもいいし巾着袋にしてもたくさん作れると思うんです。それを恵まれない孤児たちにあげたり、都で売ってその売上金で施設に寄付などすればすごく喜ばれると思うんです」


「ふ~ん、なんか想像できないけれど、一度作ってみせてみなさい」

「はい、ありがとうございます」


フォザリアは嬉しそうに満面の笑顔をサルデーニャに向けると、すぐに部屋を飛び出して行った。前世の華緒だった時は裁縫が得意中の大得意だった。まさか全て手縫いでは仕上げたことはないが、できない事はないだろうと思っていた。ゴミの集める中でものさし代わりの細い木なら既に見つけてある。


そしてここは王宮。貴重な紙もいらないと捨てられていた紙類も捨てずに避けて保存してある、あれを使って、墨で型紙を作れば色んなものが作れるはずだ。

久しぶりにウキウキしている自分がいた。


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