布団は天国
寒っ!!
ぶるっと震えて目を開ける
嘘でしょ?!寝てたの?私。
ゔー
これはやばい。
かなり冷えてる。
よく凍死しなかったな自分
とりあえず何とかしなきゃ
このままだと本気で死ぬ!!
どのくらいここで寝てたのかわからないけれど
空がうっすらと明るいのでたぶん朝早い時間だろう
周りはとても静かで
シーンと静まり返っていた
杏はゆっくりと縁側の下から這い出て
石垣沿いに歩きだしたが
手がかじかんで痛いし足も石の感覚がわからないほど冷えきっていた
体が思うように動かない
意識も朦朧としてきたとき
ザッザッザッザッ
誰かが歩いて近づいてくる
『おや?君は…』
なんか言ってるけどうまく聞き取れないな…
お母さん、おばあちゃん、桃
もう一度会いたかったな…
急にガクンっと倒れこんだ杏を和服の男が支え
そのまま腕の中に抱えると屋敷の中へ入って行った
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あーあったかいな…
フワフワする
ここが天国かー
『おーい!嬢ちゃん目ぇ覚めたんか?
こらこら、寝るんじゃない。起きなさいな』
ん?
うっすらと目を開けると知らないおじいさんがいた
白髪頭で白いひげを生やした白い服を着た…
『神様…?』
『ではないぞ』
違うのか…なら誰だろう
そのままじっと見つめていると
『目が覚めたならもう心配なかろうて。じゃがしばらくは無理はせんこと。いいな。今は大人しく横になっとくんじゃよ。』
そう言っておじいさんは出て行ってしまった
この浮遊感は…熱?
さっきまではフワフワして気持ち良かったのに
熱だと認識するとなんだか体が重くなったように感じた
また寝たらあの気持ち良さを体験できるかな?
もう一度目を瞑り意識を手放そうとした時
スッと静かに襖の開く音がした
音のした方を見ると
また知らない人が入ってきた
知らない人だけどなんだか普通の人には出せない雰囲気を出してる和服の男の人だった
おじさんはそのまま杏の寝ている布団の近くに腰をおろし杏の目を見ると、とても優しげな目をした
男の人はすっと姿勢を正し真剣な顔になると
『白川 杏さん今回はすまなかった。
まさか辰毅や奨太がこんなにも馬鹿な真似をするとは思わなかった。
私は辰毅と奨太の父だ。息子達が迷惑をかけてすまなかった。父親として謝らせてくれ。』
そう言って深々と頭を下げた
急に頭を下げられて
反射的に起き上がったが
クラッとまた布団に倒れこんでしまった
『あー無理をしてはいけない。
君は3日眠ったままだったんだ。それにまだ熱があるようだし、寝ていなさい』
『すみません…』
3日?私3日も寝てたの?!
寝たまま話をするなんてなんだか
申し訳ない気がしたが、流石に今は無理そうなので
お言葉に甘えることにした
『あの、助けていただいたんですよね?
ありがとうございます。』
『いや、うちの愚息達のやった事を考えればこれは当然の事だ。今はゆっくりと体を休めて。
もちろんあの2人は決してここには近づけさせないから心配しなくていいからね。』
愚息…?
そういえばさっき父とか言ってたような…
急に頭下げられたのでびっくりしてちゃんと聞いてなかったー
あれ?父?息子?
ってことはこの人は森川さんのお父さん?
あ、そういえば優しそうな目が森川さんに似てるかも
そうなんだー
ゴッホン
森川父が咳払いをしたことで我に帰る
あ…見過ぎてた。
ちょっと微妙な空気をどうしようかと思っていたら外から声がした
『会長、そろそろお時間です』
『ああ。
すまないが私はこれで失礼する。しばらくはゆっくりして体を治して欲しい。何かあればすべてキヨに言えばいいから。遠慮はいらないよ。
キヨ頼んだぞ』
『はいはい。わかっとりますよ。』
声のした方を見ると
部屋の隅っこの方に着物を着た可愛らしいおばあちゃんがちょこんと座っていた
いつからそこに!?まさか最初から??
全然気がつかなかった…
杏と目が合うとにっこり笑ってくれたので杏も笑って返す。なんだかほっこりした
『それじゃあ、また』
そう言って森川父は出ていった
おばあちゃん。キヨさんの方を見ると優しげに微笑んでいた
『あの、白川 杏です。こんな格好ですみませんが、よろしくお願いします。』
キヨさんは静かに杏の側に寄っておでこに手を当てた
とても気持ちのいい手だった
『杏ちゃんね。いいんだよそんなこと気にしないで。今は体を休める事が大事さね。まだ熱もあるから辛いだろ?お腹は空いてないかい?』
『そういえば、少し空いてるかもしれません』
『それはいい事じゃ。それなら軽いもの何か作ってくるから少し待っちょってね』




