嘘をつくと…
金曜日
今日は新年会の日だ
あれから朝霧さんとはまともに顔を合わせていない
夕食もあれからはずっと1人だった
タカさんも須崎さんも特に何か言ってこないので
ただ単に忙しいだけかもしれない
よし!仕事終わったー!
久しぶりの感触に杏は浮かれ気味だ
今日迎えにきてくれると言っていたタカさんには
残業するので遅くなると伝えてある
適当な時間になったら迎えは不要だと連絡して
帰りはタクシーで帰る予定だ
新年会に参加したとすぐにバレるだろうけど
行ったもん勝ち!
念には念を入れて会社の裏口から出て
新年会が行われるお店へと向かった
『……〜〜〜乾杯!』
『乾杯!!!!!!!』
『乾杯。白川さん来れたんだね!みんなと一緒に出て来なかったから駄目かと思った。
一緒に飲むの久しぶりだよね』
『あ、はい。なんとか?
本当に久しぶりですこういうの!今日は目一杯楽しみます!』
『ははは!いいねー!よぉし、どっちが先に根を上げるか勝負だな!』
『望むところです!』
あー羽を広げるってこういう事かも!
凄い解放感!
杏は久しぶりの感覚にワクワクした
雰囲気や解放感で杏はいつものペースよりもだいぶ早いペースで飲んでいて、会の半ばを過ぎる頃にはすでにほろ酔い状態になっていた
『え!?じゃあ白川さん今同棲してるの?!』
『いやー同棲というか同居ですよ。今はちょっとお世話になってるだけで、もう少しすればまた一人暮らしです。
でもつくづく私には誰かと暮らすのは向いてないと
わかりました。それだけでも良かったかも』
さすがに組の話などは出来ないが、かいつまんで
森川さんに愚痴を聞いて貰った
今まで相当溜まってたのか、次から次へと
口から出てきたけど
森川さんは優しく聞いてくれて
ついつい言い過ぎてしまったかもしれない
森川さんが御手洗いへ行っている時ふと
時計が目に入った
そろそろ電話した方がいいかな?
電話するのが遅くなって待っていて貰うのは
申し訳ないし
よし。
電話をかけるために席を立ちあがると
ちょうど森川さんが帰ってきた
『あ、ちょっと電話してきます。』
『もしかしてさっき言ってた彼氏?』
『だから彼氏じゃないって言ってるじゃないですか!ただの同居人です!』
森川がからかうように言うのでなんだか気恥ずかしくて杏は真っ赤になって否定した
そのときちょうど電話が鳴った
『あれ?須崎さん?』
迎えはタカさんじゃないの?
『あ、すいませんそれじゃ電話してきます』
『あ、、うん。』
ん?なんか森川さんの様子がおかしいような?
気のせいかな…
『もしもし』
『あ、杏さんお疲れ様です。仕事終わりました?
タカは用事ができたので私が迎えに行きますが、もう少しかかりそうなので会社の中で待っていてもらえますか?』
『あーえっと。あの、今日はお迎え要らないです。
ちゃんとタクシーで帰りますから心配しないで下さい。それじゃ 』 『え!ちょっと杏さん?』ガチャ
切っちゃった…。
なんだか須崎さんと話をする気になれなかった
怖いような、全てを見透かされてしまうような
そんな気がして
すぐにまた電話がかかってきたけど
杏は携帯の電源を切って鞄にしまい込んだ
『あ、白川さん。お帰り。
ねぇちょっと聞いてもいい?』
『はい。なんですか?』
『あのさ、さっき電話きてた須崎って人が
白川さんと一緒に暮らしてる人なの?』
『いえ、須崎さんは違うんです。
えーとなんて言うか…同居人の仕事仲間?
みたいな感じですかね?』
『そうなんだ…
あの、さ、もしかして同居人て朝霧とかいう人ではない…よね?』
『え?…な、なんで!?
森川さん朝霧さんをご存知なんですか?!』
『や、いや…まぁ知ってはいるんだけど…
あー…まじか…』
『森川さん?』
それから森川さんは言葉少なに上の空で
返事をするだけで何かをずっと考え込んでいるようだった
『すいませーん!ラストオーダーでーす!』
『森川さん何にしますか?』
『んー白川さんは?』
『私は…梅酒にします!ここのなかなか美味しくて』
『じゃあ俺も同じのにしようかな。
すいませーん!梅酒2つお願い!』
幹事の人がみんなの注文を取って店員さんに伝えに行った
『ありがとうございます。』
『いえいえ!今日は久々に一緒に飲めて楽しかったよ』
『はい!私もこういうの本当久しぶりで。ちょっと飲み過ぎたかも?』
『はは。まだまだいけそうだけど』
森川さんはもういつもと同じような爽やかスマイルに
戻っていて、さっきのは気のせいか、もしかしたら
森川さんもちょっと飲み過ぎたのかもね
最後に頼んだ梅酒も美味しくて
今日はとても楽しかった……………




