日常?
それから
私の家は知られているので1人で暮らすのは危ない
という事で朝霧さんの家に引っ越す事になった
仕事に行く際は必ず送迎してもらう事
1人での外出は禁止となった
早々に引っ越しは日曜日に行われた
と言っても朝霧さんの部下の人が私の家から
必要なものを全部持って来てくれたので
自分では何もしていないけど
引っ越しの手続きなどは全て須崎さんがやってくれたようで、私はまた朝霧さんの家に缶詰めだ
なんでこんな事に…
朝霧さんが来た時にちゃんと断ればこんな事には
ならなかったのか
あの時窓を開けなければ…
考えてもやってしまったものはしょうがないけど…
朝霧さんが嫌いなわけではない
けど距離感が掴めない
付き合っているわけではないのに
キスしてくるし
好きだとか言われた事はないので
きっとからかっているか
気まぐれなんだろう…
そんな微妙な距離感が杏は嫌だった
月曜日
タカさんが会社まで送ってくれた
会社の中ではいつもと変わらない日常で
不思議な感じがした
『白川さん?大丈夫?
なんか疲れた顔してるけど、体調悪いとか?』
『森川さん。
あー…ちょっと週末バタバタしちゃって。でも大丈夫です!』
『そう?あんまり無理しちゃ駄目だよ?
あ、明日早く上がれそうなんだ
どう?一杯?』
実はここ1ヶ月くらいで
森川さんとなんだかんだお酒の趣味が合う事がわかり一緒に飲みに行くようになっていた
『あーすみません。ちょっと今ゴタゴタしてて、しばらくは無理そうなんです。』
『そうなの?残念。
白川さんとはお酒も合うし話も面白いから一緒に飲むの楽しみなのに。
まぁまた行けるようになったら行こう。 じゃ!』
いつ行けるようになるんだろ?
人の噂も75日っていうけど…
しばらくは無理なんだろうな
朝霧さんとは何もない!
て言えたらいいのに…
誰に言うのかもわからないけど…
金曜日
今日でやっと1週間か
ずっと人がいる生活ってこんなに疲れるんだな
私結婚とか無理かも
そんな事を考えながら杏は迎えの車を待っていた
送迎はほとんどタカさんで
たまに須崎さんがしてくれた
送迎用の車はフルスモークだったり
黒塗りとかではなく普通の車で安心した
あんな車で来られたら悪目立ちしちゃうもんね
…
…なんで?!
その悪目立ちする黒塗りの車が近くに停まる
いや、、、関係ない車かもしれない
…
そんな杏の願いもむなしく黒塗りの車から出てきたのは須崎だった
はぁ
杏は1つ息を吐くとその車に近づいた
『お疲れ様です杏さん』
『須崎さんありがとうございます』
ペコっと頭を下げてすぐに車に乗り込んだ
この車に乗るところを見られるのはあまり良くないと思い出来るだけ早く乗りこもうとした
!!
車の中には朝霧さんがいた
だからこの車なんだ…
杏が座るのを待って朝霧が切り出した
『よう。なんか食いに行こうぜ』
『はぁ』
朝霧さんと一緒にいる所をまた見られたら
ますます噂が広がるかもしれない
そしたらいつまでたっても
自分の日常を取り戻すことはできない
だから外で朝霧さんといる所を見られるのは
嫌だと思った
『あの、私今日は帰りたいです。朝霧さんは
行ってきてもらって大丈夫ですよ?』
『じゃあ家で食うか』
『あ!私の事は気にしないで朝霧さん達は食べてきてください』
『…いや、いい。須崎』
『承知しました』
その日はそのまま家に帰りいつものように
ご飯を食べた
朝霧さんはそのまま仕事に行ったのか
日曜の夜遅くまで帰って来なかった
朝霧さんの家に来てから2ヶ月が経とうとしていた
あれからも何度か外食に誘われたが
杏は全て断った
家での食事はいつも
朝は2人とも食べず
昼はそれぞれ
夜や休日は須崎さんとタカさんが
2人ともいない時には杏が作っていた
と言っても杏が作る日は大抵朝霧がいない日で
とても簡単な物を作って食べていた
昨日はタカさんが作ってくれたので
その時気になって聞いてみた
『タカさん。私いつまでここにいなくては行けないのでしょう?まだ噂広がってるんですか?いつになったら家に帰れますか?』
『は?お前何言ってんの??』
タカさんが心底うんざりした顔で言った
『あ、、すみません!なんでもないです!気にしないで下さい』
そうだよね…もし、もう噂が無くなってたらすぐに教えてくれるよね。というかそうなったらすぐにでも出て行け!とか言われるのかも。
家を探そうにも寄り道はさせてもらえないし
今はできない。
そうなったら一旦ホテルにでも泊まって探すしかないかなー。
年末年始もどこにも行かずに家に篭って過ごした
朝霧さんは忙しいようで家にいる時間はとても短く、それが逆に杏には良かった
だが
自分の行きたい場所にも行けず休日は篭りっきり
杏のストレスは溜まる一方で
どうにかここから抜け出したい!
と考えるようになっていた




