日常はいつまで
月曜日
杏は何事もなく出社した
『おはようございます』
『あぁ!白川さんおはよう!体調もういいの?
インフルエンザだって?大変だったね。』
森川さん!
久しぶりに見ました。爽やかスマイル!
なんだか先週はだいぶ濃い人達に囲まれていたからか
いつもよりも爽やかに見えます!!
『ご迷惑おかけしました。もう大丈夫です!
先週の分もしっかり働きます!』
『いやいや迷惑なんて!あんまり無理しないようにね』
そう言って爽やか全開で出ていった
なんかみんなが羨ましがっていたのが
わかった気がした
そんないつもの日常に戻って
1ヶ月が過ぎた
家に戻ってからすぐにお母さん達と連絡が取れて
3日後には一度実家に顔を出した。
2人ともとても楽しそうに旅の思い出を話していた
まだまだ話し足りないという感じだったが
次の日も仕事だからと
逃げるように切り上げて帰った程だ
桃とも一度電話でだけど話をした
一応話はついたけど
桃はしばらくは1人での行動はしない方がいいと
言われてるみたいで
会うのはまた今度となった
ずっと誰かといるの疲れない?と聞くと
ほとんどが学さんと2人なので
とっても楽しいし幸せだと返ってきた
桃が幸せそうで何よりです
その時に朝霧さんとは連絡してないのかと
聞かれた
なんで私が朝霧さんと連絡していると思うのか
していないと言うと
そうなんだ…でも近いうちに連絡来るんじゃない?
と言われた
またな。とは言われたけれど
あれから何もない。そもそも連絡先も知らないし。
やっぱりあの言葉もただの気まぐれだったのだろう
そんないつもの日常を送るようになってから
2ヶ月が経とうとしていた
いつもの帰り道
なんだか周りから浮いている
明らかに周りにいる人とオーラが違う男の人が
ガードレールに寄りかかっていた
その横には見た事のある
フルスモークの車
朝霧さんだ。
少し立ち止まって様子を伺ってみる
たまたまここにいるだけかもしれないし
私に用があるとは限らない
そう思い込んで
杏はなるべく反対側の端によりながら
足早に通り過ぎようとした
『白川 杏
久しぶりだな。』
『…あの、フルネームで呼ぶのやめてくれませんか?』
『はは。わりぃ。』
『ちょっと付き合えよ』
『え、ちょ、ま、待ってください!
ちょっと!聞いてます?』
朝霧は杏の腰を抱くように車へと促し
そのまま押し込むように車に乗せて
シートベルトをご丁寧に付けた
しかし杏は朝霧が運転席へと回り
車へ入る隙を狙って
シートベルトを外しドアを開けようとした…が
腕を掴まれた
間に合わなかった…
『これって誘拐ですか?私はもう関係ないはずですよね』
朝霧が何も言わずに杏に覆い被さる
へ?わ!何!?
…
カチャ
『シートベルト。危ねぇからちゃんとしとけ。』
な!
『腹減ってるか?』
そう言うと朝霧は車を走らせ始めた
『朝霧さん?あの、わたしは家に帰りたいので
家までお願いします。』
なんとか思考が回復したので
自分の要求を伝えてみるが
朝霧には聞こえないらしい
『ちょっと!?どこに連れて行くつもりですか?』
『腹減ってないならこのまま俺ん家だな?』
な!?
『へ、減ってます!お腹凄く減ってます!
何か食べたいです!』
このまま部屋になんて連れていかれたら
今日中に家に帰ってこられない気がする!
なんで今日金曜日!!
ククッ
朝霧さんが笑ってる…
目が合うといつも眼力が凄くてちょっと怖いけど
笑ってる顔はとても優しそうに見えた
『何か食いてぇもんあるか?
無けりゃ勝手に連れてくけど。』
そう言われて杏は考える
食べたい物…
実は結構お腹が空いていたので
ガッツリ食べたいからご飯系で…
そういえば須崎さんもタカさんも料理上手だったなぁ
あ…
『タカさんのオムライス…』
『ああ?』
ひ!?
何!!なんか怖いああ?だったよ!?
『いえ、前にタカさんが作ってくれたオムライス美味しかったなぁって思っただけです!』
…
『タカのオムライスが食いてぇのか?』
『まぁ…また機会があれば食べたいなぁとは思いますけど、今日じゃなくても!大丈夫です!』
チッ
わかりやすい舌打ち!!
朝霧は路肩に車を停め
『いいか、待ってろよ。』
念を押して車を離れた
出ようと思ってもこっちガードレールぴったりだし
そもそもここがどこかだかよく分かんないし
杏は出ようという気もおきずに
朝霧を待った
途中窓を少し開けて見てみると
誰かと話をしているようだった
ここからでは電話の内容までは分からないが
その様子をぼーっと見ていると
目が合った。
ちょっとだけびっくりしたような顔をして
閉めろとジェスチャーで伝えてきた
なんかその様子がちょっと可笑しくて
杏はちょっと笑いながら窓を閉めた
朝霧さんて普段無表情なのにたまに見える表情が
なんかいい。もっといろんな顔が見て見たいなぁ。
それからすぐに朝霧さんは帰ってきてすぐに車を発進させた
それから特に会話する事もなかったが
この前と同じ心地いい音楽を聴きながら
杏はなぜかとても気分が良かった
『着いたぞ。』
そう言われて車を降りて周りを見渡し
って!!
『ここ!朝霧さん家じゃないですか!?』
『ああ』
『ああじゃなくて!なんで!?』
『お前がタカのオムライスが食いてぇって言ったんだろが。』
そ、そうだけど…今日じゃなくていいって
言ったのに…
てっきり行くとしてもタカさんがバイトしてたっていうレストランに行くもんだと勝手に思い込んでいた
『ええと、あのまた今度って事で…』
『もう作らせてるから今帰ったら無駄になるな』
え…
子供の頃から食べ物を粗末にしたらいけない!!
と教わってきた
せっかく作ってもらったものを食べずに無駄にするなんて…できない!!
『わかりました。ご馳走になります。』
食べたらすぐに家に帰ろう!
そう誓って杏は朝霧の部屋へと向かった。




