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セカンドカミング 絵描きのリハビリ   作者: 麻生あきら


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何故そうなったのか

「そこまで絵を描くのが好きなら、何故プロを目指さなかったのか」


 そう思う方はいらっしゃるでしょう。

 ⋯⋯そう思いますよねえ。


 


 私には致命的な弱点、というより、欠点があります。


『こだわりが強すぎる』


 これに尽きます。


 10年同人活動をして、個人誌はたったの2冊。

 B5のモノクロイラスト1枚に、1週間かかるのはザラでした。


 しかも原寸表示を当然としていました。

 修正も、ほぼ許しませんでした。

 生原稿そのものが作品でした。

 何故そんな面倒な事になったのか。


 全部デザイン業界で制作に回ったのが原因です。


 


 初めに就職したのは、小さなデザイン事務所。

 社長(デザイナー、イラストレーター、雑貨店と不動産のオーナー)、デザイナー、事務員、そして私。

 全員が洋楽バカで基礎から叩き込まれました。


 事務員の女性は元モデルの美人。彼がメジャーのミュージシャン。

 業界のお話を沢山聞かせていただきました。


 


 新人なのでたいした仕事も出来ないので、版下を作るのがメインの仕事。

 今ならデジタルですが、当時はアナログ。


 ・版下台紙(工作用紙のような厚紙。表面がツルツル)

 ・ロットリング

 ・三角定規

 ・ステッドラー 芯ホルダー(青のマルス カーボン入り)

 ・ステンレス直定規

 ・カッター

 ・ペーパーセメント

 ・コンパス

 ・ピンセット


 このあたりが仕事道具。


 版下台紙に三角定規を当てて、ロットリングで線を引く。

 印画紙に焼き付けられた写植の裏にペーパーセメントを塗って、切って台紙に貼る。

 ザックリいうとこんな仕事。


 ミリ単位の世界。

 1ミリ間隔の線を引くのなんて当たり前。

 綺麗に引けなければ、紙を削るか、別の紙にやり直して切り貼り。

 写植が指定通りでも入れたいスペースに入らなければ、一文字ずつ切って詰める。


 今は楽でいいよなあ(笑)。


 その頃描いたもの。この背景の線は全部自力。

 スキャンして潰れてますけど。

 挿絵(By みてみん)


 

 フリー素材は全部、紙の本。

 コピーして添付か、直接台紙に貼る。

 写植以外の文字も素材集からコピーして、自分で組む。

 拡大コピーするとエッジが汚いので、印画紙に焼き付けたものに修正を加える。


 今は楽でいいよなあ(再び)。


 

 段々仕事を覚えて、ピアノリサイタルのチケットとチラシ、落語会のプログラムなどもやらせてもらいました。

 が、いつまで経っても給料がたいして上がらないので辞めました。


 


 次に就職したのは官公庁の印刷物を作る印刷会社。

 食うに困らなさそうで。


 で、そこで知ってしまうのです。

 製版すると、版下の不出来でフィルムに影が出来てしまう事を。


 前の会社ではフィルムまで見る事はありませんでした。

 しかしここでは、製版屋さんが持ってきて、廊下にある青焼き機で見本を作ります。

 クライアントから修正が入ると、そのフィルムに自分たちでフィルムを削って薄いフィルムを貼る。


 おおお、こいつはめんどくせえ。

 現場を見るって大事だなあ。

 ……今ならデータいじればいいだけなんだろうけど。


 そんな訳で、漫画原稿に美しさを求めるようになってしまったのです。


 この流れで出来上がった最たる例がこれ。

 挿絵(By みてみん)

 8ページ漫画の表紙。

(キャラの下に名前が入ってたんですが、2名今の名前と違うので消しました)

 素材集から文字をコピー。

 自前のワープロで文字を打って、左右の幅をコピー機で変形して合わせて切り貼り。

 影が出ないようにホワイトで加工。

 一度に出来ないので、表紙だけで何日もかかるという。


 

 あ、いかん。

 リハビリ絵がない。 

 挿絵(By みてみん)

 リハビリ開始してすぐの水彩。

『ガラス細工』のクリス。 


 

 次回は絵のこだわり部分です。

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― 新着の感想 ―
アナログは大変ですよねぇ。 修正まで完璧にできて一人前みたいな。
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