第9話 妹との買い物①
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俺は目が覚めた。時間を確認する……
「朝の6時!?いつもよりもめっちゃ早いじゃねぇか!」
俺は飛び起きて階段を降りて1階へと向かう。
「おはよう〜!」
そこにはすでに、お父さんとお母さんがいた。
「おはよう〜!朝陽〜!今日はめっちゃ早いじゃねぇかよ!」
お父さんが朝からハイテンションで俺に声をかける。
「おはよう朝陽、今日は早いわね」
お母さんがいつも通りのテンションで俺に声をかける。
「なんか今日は早く目が覚めたんだ!」
「そうなのか!そういえば、確か今日だったよな?小夜と買い物行くってのは」
「あ……忘れてたァァァァァァ!」
そうだった……今日は妹の小夜と一緒に買い物に行くんだった……(無理やり連れて行かれる)
「ハッハッハッ!頑張れよ朝陽!俺は今日は筋トレのために1日ジムにいるぞ!」
お父さんが煽るように俺に言う。
「お父さん???今日は私の買い物に付き合ってもらいますからね???」
お母さんがお父さんを買い物に連れて行こうとする。
「はい……」
お父さんも俺と一緒で拒否権がない……
そんなくだりをしていたら、妹の小夜が降りてきた。
「あれ〜!?お兄ちゃんがもう起きてる!?早いね!そんなに私との買い物が楽しみだったの!?」
お父さんに言われるまで忘れていたことは黙っておこう……
「あぁ、まぁそうだね……楽しみよ……うん」
どうせ荷物をいっぱい持たせられるのが見えている……
「お兄ちゃんも早く起きてるし、今日は早めに買い物に行こう!」
妹は上機嫌だ。
家族揃って朝食を食べて、買い物に行く準備をする。
「んじゃ着替えてくるわ」
俺はそう言って自分の部屋に戻る。
「私も着替えてくる〜!」
妹も自分の部屋へと戻る。
そして、着替えが終わりまた1階に行ってくつろいでると、
「お兄ちゃん〜!ちょっときて〜!!!」
妹が俺のことを呼ぶ。呼ばれた以上、上に行くしかない……
「今行くから待ってな〜」
俺はゆっくり階段を登っていく。
「お兄ちゃん!今日来ていく服どれがいいと思う?」
そう言って服を5種類ぐらい見せられる。
「あー2番目でいいんじゃないか?」
「え〜!お兄ちゃんこれがいいの〜ないわ〜」
いやいや待て待て、じゃあなんで俺を呼ぶんだよ、女子の服なんてわかるわけないだろうが……
「自分で選べよなぁ、俺呼ばなくて……」
俺は小さな声でぼそっと呟いた。
「ん!?なんか言った!?」
「なんも言ってないよ」
結局妹は自分で4番目の服を選んでいた。黒系統で統一されたコーデだった。
「どーお?かわいいでしょ!」
「あーかわいいかわいい」
妹はおしゃれが好きだ。だからこんなにも服を持っているし、多分今日の買い物も服とかを買いに行くんだろう……重いんだよなぁ。
「じゃあお兄ちゃん!そろそろ行くよ!」
1階へ俺たちは降りて、お父さんとお母さんに、
「行ってきます〜」
と言って家を出る。
駅まで妹と歩いて向かっていると空に虹がかかっていた。
「うわぁ綺麗!お兄ちゃん見て!虹だよ!虹!」
「ほんとだな〜綺麗や、でも昨日って雨降ってたっけ?」
「知らなーい!でもいいじゃん虹が見れて!ラッキーだったね!」
「まぁそうだな……なんでもいいか」
俺はこのとき知る由もなかった。この虹が現実での運命を変えていくことを……だがそれは少し先のお話。
妹と虹の会話をしていたらいつの間にか駅の前まで来ていた。
「あそこのケーキ屋さんで前買ってきてくれたの?」
妹は指を指しながら言った。
「あぁ、あそこで買ったんだ〜……そういえば、あそこで陽菜がアルバイトしてたぞ?」
「えぇ!?陽菜さんが!?陽菜さんにまた会いたいな〜、お兄ちゃん!今度また家に連れてきて!!!去年の冬休み以来会ってないんだからね!」
妹は陽菜のことをすごく尊敬しているし、大好きだ。
確かに妹が尊敬するのも分かる。客観的に見て、陽菜はかわいい。
幼稚園から一緒にいるからあまりそんなことを考えたことはなかったが、中学の頃めっちゃモテていたのを覚えている。
「えぇ〜まぁ機会があれば誘ってみるよ」
「絶対だよ!!!あぁ〜陽菜さんに会える!楽しみだなぁ」
この約束は忘れたら俺の命が飛ぶだろう……俺はスマホのメモ帳にすぐにメモを取る。絶対……絶対忘れないように……
そして俺と妹は電車に乗って、大きなショッピングモールが近くにある駅まできた。
「久しぶりだなぁここにくるのも……」
ここにきた思い出には、まず妹の小夜の買い物に付き合わされたのが9割……あとは陽菜の買い物に付き合わされたのと、拓也と友達たちと遊びに来た思い出が1割だ。
「さぁ〜て!今日もいっぱい買うぞ〜!」
妹はいつもここにくると大量に服やおしゃれ用品を買う。どこにそんな金があるんだと思うが、小学校1年の頃から投資を続けており、多分、うちで1番の金持ちだろう……親よりもだ。
俺はそんな妹の付き添い……たまに機嫌が良ければお昼を奢ってもらったり、俺の買い物の支払いをしてくれることもある。
俺以外に、この世のどこかで妹に奢ってもらう兄がいるのだろうかと考えたことがある。多分いないだろう。
「妹よ今日はどこから見て回るのかな?」
この見て回る順番は大事だ。
軽めのものから買いに行ってくれると大ハズレだ……逆に服を最初に買いに行くと大大大大大ハズレだ。もちろん当たりなどはない。
なに?それは大袈裟だって?いやいや、まず妹の買い物を見てから文句を言ってもらおうか……服を買いに行って、帰ってきたと思ったら、俺の両腕が全て埋まるほどの大量の服を買ってくる……どこかの金持ちの婦人でもそんなに一気に買わんだろうが、妹は違う……
「ん〜今日はアクセサリーから見てみようかな〜」
「よっしゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺は思わず叫んでしまった。周りの人が俺のことを見る。
「えぇ……お兄ちゃん、今すごくやばいやつだよ……大丈夫?」
周りにすごくやばいやつだと思われても関係ない。最初っから服を大量に持たされて、服に落ち潰されるよりかは何百倍もマシだ。
「あぁ、すまんすまん、喜びのあまり心の声のほんの一部が漏れてしまった。」
「そんなに私がアクセサリーつけた姿見たかったんだね!」
妹はなにやら誤解してるようだがその方が都合がいいので、俺はそれに乗ることにした。
「あぁそうだ!妹がアクセサリーをつけた姿が見たくてな!つい叫んじまったよ」
知らない人から見たらただのシスコンのように思われるだろう……そう知らない人から見たら……だ。
俺と妹はアクセサリーショップに向かう。そこには高級な指輪やブレスレット、ネックレス、イアリングなどなどが並んでいた。
「これなんかどーお?」
俺は大きなダイヤが付いた指輪を見せられた。
「いいんじゃないか?めっちゃ似合っているぞ!」
ちなみに、この大きなダイヤが付いた指輪の値段は軽く100万円を超える……
「んーじゃあこっちは?」
そう言って見せられたのは黒曜石の指輪だ。こっちは50万円弱だが、俺はこっちの方が妹に似合っていると思った。
「俺はこっちの黒曜石の指輪の方が、さっきのダイヤモンドの指輪よりも似合っていていいと思うぞ!」
「お兄ちゃん……見る目があるね!服以外なら見る目あるじゃない!」
妹が言うならそうらしい。服と似合っていて黒曜石が輝いているようだった。
「じゃあこれと〜あとはブレスレットも欲しいなぁ、それにネックレスとイヤリングも〜」
妹はその後もアクセサリーに夢中になってくれた。俺はさっきの反省を踏まえて、声を出さないでガッツポーズだけ取った。すると……
「朝陽……?何やってるの!?」
そこにいたのは陽菜ともう1人女の子がいた。
「あれ?陽菜じゃん!昨日ぶりか?それと……隣にいるのはどちら様?」
隣には陽菜の友達らしき人がいる。
「そうだね!昨日ぶりだね!あ、紹介するね!こちらは高校で出会った友達の[白石美月]ちゃん!今日は一緒に買い物にきたんだ〜!」
「よろしくお願いします」
白石美月さんは丁寧に挨拶をしてくれた。陽菜はかわいい系だが白石さんは美しい系だった。
「こちらこそよろしくお願いします。俺は朝陽って言います!陽菜とは幼稚園から中学校まで一緒でした。陽菜は多分うるさくてこの先迷惑をかけると思いますが、真面目で優しいので仲良くしてやってください。」
「うるさいは余計だよ!真面目で優しいだけ言ってくれればいいんだから……もう!」
陽菜は少し照れながらキレている。
「で、朝陽が買い物って珍しいね?」
「あぁ、妹の買い物に付き合ってるんだ……うん」
「小学校、中学校の頃と変わらないね〜!小夜ちゃんに連れまわされてるんだね〜」
「まぁそうだな……だけど今日は服からじゃなくて最高だよ!ずっと大量の服を持っていないで済むからな!」
「そっか!だからガッツポーズしてたんだね〜」
陽菜は納得したように頷いている。
そして、
「あれ〜?陽菜さん!!!お久しぶりです!!!めっちゃ会いたかったんです!」
妹がアクセサリーをいろいろ買って店から出てきた。
指には黒曜石の指輪、腕には黒曜石のブレスレット、首には黒曜石のネックレス、耳には黒曜石のイヤリングがついていた。
「久しぶり小夜ちゃん!元気だった〜!?あれ、めっちゃアクセサリー付けてるじゃん!いいね!服の黒と黒曜石の黒が似合ってるよ!」
「本当ですか!?陽菜さんに褒められた〜!嬉しい!お兄ちゃん!なんで一緒にいるの?」
「あぁ、なんか友達と買い物に来たらしい」
俺は白石さんに妹のことを紹介する。
「こちら俺の妹の小夜っていいます」
「どうも小夜です!中学2年です!よろしくお願いします!」
「どうも白石美月です、よろしくお願いします」
白石さんは歳下の小夜にも丁寧に挨拶をしていた。
「わぁ〜!すごい綺麗ですね白石さん!」
「そう?ありがとうね」
白石さんは陽菜と違いクール系?だと思う。
「ねぇお兄ちゃん!」
妹が俺のことを小さな声で呼ぶ。
「どうした?」
「ほら家に誘ってよ!今がチャンスだよ!」
「いや、ここまできたら小夜が誘いなよ、多分俺が誘うよりも遥かに成功率高い気がするぞ?」
「いーやーだー、私が誘うなんておこがましいよ!お兄ちゃんは一応、陽菜の幼馴染なんだから」
「一応って……はいはい、分かったよ」
俺はそう言うと陽菜に声かける。
「なぁ陽菜、今度暇な時に家に来てくれないか?」
「えぇ!?家に!?」
陽菜は驚いていた。が俺にはなぜ驚くのかわからない。
「だめか?」
「まぁ……いいけど……久しぶりだね家に行くのって」
「あぁそうか、冬休みに勉強しに来たくらいか」
「うん」
「んじゃまたな〜」
そう言って俺は妹の近くに行った。
「さて妹よ買い物の続きと行こうか」
「うん!陽菜さん、白石さんまたね〜!」
そう言って俺と妹は陽菜と白石さん達と別れた。
「さて、お兄ちゃん!ご飯食べよっか!奢ってあげるよ」
「お!待ってました!何食べる〜?」
俺はラーメンを食べたいと思っているが、お金を払うのは妹なので妹が食べたいお昼を食べに行く。
「んん〜じゃあ久しぶりにラーメン食べようかな!」
「ほんとか!?俺もラーメン食べたかった!!!」
「よっし!じゃあ行くよお兄ちゃん!」
俺と妹はショッピングモールにある美味しいラーメン屋さんのところまできた。そして店に入る。
「私は豚骨ラーメン食べよっかな!お兄ちゃんはどうする?」
「俺は醤油ラーメン一択だぜ!!!」
そうして、お互いにラーメンを頼んで、席に着く。ラーメンの出来上がりを待っていると。
「そういえばお兄ちゃん最近変わったよね?」
「ん?そうか?」
「こう、なんていうかさ、たくましくなったっていうか、なんというか……」
多分、夢でレベルアップしたのが現実世界にも影響しているのだろう。スキルもこっちで使えたことがあるし。
「まぁそうかもな〜」
そうして、ラーメンが来た。
「うまそう!!!いただきます!」
「うわぁ!美味しそう!いただきます〜!」
俺と妹は手を合わせながらそう言った。
ラーメンはめちゃくちゃ美味かった。魚介系の出汁と醤油が絶妙にマッチしていて今まで食べてきたラーメンでトップ5には入りそうだった。
「ごちそうさまでした!」
俺は手を合わせてそう言った。
「ごちそうさまでした!ラーメンってこんなに美味しいんだねお兄ちゃん!」
「うまいところは最高だからな〜今回のラーメンはうまいところだったぜ!」
そう言って俺と妹は店を出た。
次回へ続く




