第13話 レーヴでの初めての飯
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「アンジュ〜きたぞ〜!」
「朝陽様!お待ちしてました〜!」
アンジュが元気よく返事してくれた。
「今日はとりあえず冒険者ギルドに行って、依頼クリアのことと新しい依頼の受注かな!それと、魔石を買い取ってもらいたいかな」
「そうですね!キングウルフも倒したし、魔石の買い取り額も高くなりそうです!」
「じゃあイリュシアに戻るか、飛翔!」
俺はそう言って空を飛ぶ。空から見る景色は絶景だ。
キングウルフとの戦闘ではそこまでゆっくり見ることができなかったから、景色を眺めながら街へと戻る。
「おぉ〜街って上から見るとこんなに広いんだな!」
俺は街の上空まで来た。
「そうですね!日本でいう東京みたいなものでしょうか。ここレーヴも地球と同じように海があって、大陸があって様々な都市があります」
「そうなのか!?じゃあいつか他の大陸にも行ってみたいな!」
「他の大陸では魔物の種類が異なり、強さも異なります。ですが冒険者ギルドは世界共通であり、そこでのランク設定の強さとかもほぼ一緒なので、冒険者ギルドの凄さが分かりますね!」
冒険者ギルド……全世界にあるってのはすごいな。
「イリュシアはこの大陸?で1番でかいのか?」
「はい!そうなりますね。この大陸では1番です!イリュシアを初めて訪れたときに言ったかと思いますが、イリュシアはレーヴでトップ5に入るほど大きな街です。ですが、他の大陸にはもっと大きな街が4つほどあります。」
「そっか〜、他の大陸の街はどうやって行くんだ?」
他の大陸にも行ってみたい!
「他の大陸に行く方法は海上を進む船か、飛行船ですかね、あとは朝陽様の飛翔でもいけると思いますけど、魔力が足りれば。」
「なるほど……まぁまずはこの大陸で強くなんないとな!」
まぁ他の大陸は後回しで、とりあえず俺は強くならなければ!
「そうですね!この大陸には3大ダンジョンと呼ばれるダンジョンが存在しますし、それ以外にもSランクの魔物が出現するダンジョンがいくつも存在してます。それらを攻略してからでも他の大陸は遅くはありません」
とりあえず俺は冒険者ギルドの前に降りてきた。
そして扉を開ける。その先にはなにやら人が多く集まっていた。喜ぶ冒険者や、険しい表情を浮かべる冒険者など様々な人がいた。
「あれ?何かあったのかな?」
俺はそう言って、中央の受け付けへと向かう。
「何かあったんですか?」
受け付けの人に聞いてみた。
すると、
「アサヒさん!この近くに新しいダンジョンができたらしいんです。それが、前アサヒさんが倒れたあの大きな森の最奥の地に……」
ダンジョンができるとこんなに冒険者が集まるのか。
「ダンジョンができるってそんなにすごいことなんですか?」
「それはもうすごいことですよ!!!ダンジョンは魔物や宝、他にも色々な恩恵をもたらしてくれる可能性の宝庫なのです!それらのいい面もありますが、逆に心配な面もあります。もし、ダンジョンが異常に強かったり、ダンジョンブレイクが起こってしまったりしたら、周辺に被害が出る可能性があります」
ダンジョンブレイク?なんだそれと思っているとアンジュが教えてくれた。
「朝陽様ダンジョンブレイクとはダンジョンの魔物たちがダンジョンから外に出てくることです」
なるほど、それは確かに不安にもなる。
「なるほど、だから喜んでる冒険者もいるし、険しい表情の人もいたのか。それでそのダンジョンってどんぐらい強いんだ?」
「ダンジョンにも魔物と同じでランクがあります。ダンジョンランクは基本的にそこで出現する1番強い魔物の一つ上のランクになることが多いです。それを踏まえて、今回のダンジョンはもしかしたらSSランクになる可能性が……」
ということは……
「Sランクがいる可能性があるってことか」
「そういうことになります。ダンジョンが大きいとそれだけ強い魔物が現れやすく、今回のダンジョンは森の最奥の地から始まり、何階層にもなっている可能性があるそうです。」
「なるほど……行ってみよっかな!楽しそうだ!」
俺は強い魔物と戦ってみたかった。早く[魔法構築]と[詠唱破棄]をもっと使いたかった。
「とりあえずグレートウルフ討伐の依頼完了したぞ!これグレートウルフたち」
俺はそう言ってアイテムボックスからウルフ、グレートウルフを数十体取り出す。
「ええっ!?こんなに討伐したんですか!?すごすぎます!まだ冒険者登録したばっかりだってのに!」
受付嬢はめちゃくちゃ驚いていたが、まだメインディッシュがいる。
「それと、こいつも倒してきたぜ」
俺はそう言ってキングウルフをアイテムボックスから取り出す。ちなみにアイテムボックスにはいろんなやつを収納できるっぽい。
「えっ!!!!????こいつはキングウルフですか!?Dランクの魔物を1人で!?」
受付嬢のその声に周りの冒険者が振り向く。
「まじか!君すごいじゃないか!」
「おぉー坊主なかなかやるな!」
その他にもいろいろと先輩冒険者の方が声をかけてくれた。
「まだ登録して全然経ってないですが、これからも頑張りますね!」
周りが目を丸くする。
「君……まだ登録したばっかりでDランクの魔物を?」
「坊主お前……めちゃくちゃ強いじゃねぇか!!!」
やはり登録したばかりでDランクを倒すのはすごいことらしい。そんなことを考えていたら、
「大変だ!!!早くこの人の治療を!!!」
扉を勢いよく開けて、人を抱えてきた冒険者が大きな声で言う。
「おいアンジュ、あれやばくないか?大怪我……どころじゃないぞ?」
「朝陽様あれは非常にまずい状態ですね……周りに強いヒーラーがいればいいのですが、いなければ命は……」
俺はそんな人を見捨てるわけにはいかない。
今にも死にそうな人の近くに駆け寄る。だが、俺が行くよりも先に帽子を被った人が近くに寄っていた。
「少し見せて……これは……」
その帽子を被っている若い男の人が言う。
「大丈夫、今助けるからね、
命の灯火よ、目覚めよ、そしてその身に宿る生を今一度呼び起こせ![生命活性]」
その言葉と同時に、死にそうだった人がみるみる回復していく。
「これでもう大丈夫なはずだ。だが、1週間は絶対安静だよ」
そう言うと男の人は俺のことをチラッと見て、微笑んでから去っていった。
「アンジュ、本当にもう平気か?」
「これは…………はい、もう平気ですね。あの方が助けたのなら」
あの方?アンジュがあの方という人は一体……
まぁそれは置いといて、とりあえず騒ぎが収まって一安心だ。
俺は依頼を受けるつもりだったが新しいダンジョンが気になるのでそっちに行くことにした。
その前に、魔石と魔物たちの買取だな。俺は中央のカウンターに置いた魔物たちを一旦アイテムボックスへとしまい、買い取りのカウンターへと行く。
「買い取りをお願いしたいです〜」
俺はそう言うと、奥から筋肉ムキムキの男の人が出てきた。前と同じ人だ。
「おう!お前さんか!久しぶりだな!今日はまたスライムの魔石か?」
「いえ、今回はウルフとグレートウルフ、キングウルフの魔石の買い取りと、その3種類の魔物自体の買取をお願いしたくて……」
俺はそう言ってアイテムボックスから魔石と魔物を取り出す。
「うわぁ!これはすげぇな!キングウルフまでいるぜ!お前さんめっちゃ強いんだな!これは今後も買い取りが楽しくなりそうだぜ!ただここで魔物たちの買い取りはできないな、裏の大きな倉庫でもう一回出してくれるか?」
そう言われたので俺はアイテムボックスにしまって、ついて行く。
「広いな〜!」
大きな倉庫は天井がすごく高く、広さもすごい。
「そういえばお前さん名前なんて言うんだっけ?」
「俺はアサヒって名前です!よろしくお願いしま
す!」
「おうよ!俺の名前はガルドだ!よろしく頼む!」
「ガルドさんですね、よろしくお願いします!」
俺はそう言ってアイテムボックスからいろいろ取り出す。
「じゃあ魔石はすぐに買い取れるが、魔物は解体とかもろもろ仕分けとかもしないといけないから明日またここに来てくれ!」
「分かりました!」
俺はとりあえず魔石分の買い取り金額を貰うことになった。
「ウルフの魔石が1つで50ルクス、グレートウルフの魔石が1つで500ルクス、キングウルフの魔石が1つで10,000ルクスが相場だな。」
キングウルフになるとめちゃくちゃ跳ね上がるらしい。
「ウルフが30体、グレートウルフが10体、キングウルフ1体だから、16,500ルクスだな」
「16,500ルクス!?めっちゃ多い!やったぜ!」
俺は金貨16枚と銀貨5枚を貰う。所持金がこれで20,865ルクスになった。
「じゃあまた明日来ます!」
「おうよ!」
俺は大きな倉庫をあとにした。
そして、俺はこっちの世界で初めて飯を食べてみることにした。
「アンジュおすすめの飯はあるか?」
「はい、冒険者ギルドの近くに魔物の肉を調理する店があります。そこにいってみましょう!」
「魔物の肉!?食えるのか!楽しみだな!」
俺はアンジュの案内の元、店へとやって来た。扉を開けると、
「いらっしゃいませ〜!1名様のご来店で〜す!」
俺は先に案内され座った。テーブルに置いてあったメニューを見てみる。
「ふむふむ、ウルフ肉のステーキとか、オーク肉のステーキ、アイアンブルのステーキ……どれがいいのかわからん!とりあえずアイアンブルのステーキを頼んでみるか!」
俺は店員さんを呼ぶベルを鳴らした。
「アイアンブルのステーキを1つお願いします!」
「かしこまりました!アイアンブルのステーキが1つですね!」
そう言って、店員さんは厨房前のところにいって、アイアンブルのステーキと叫んでいた。
数分後、熱そうな鉄板の上に乗ったアイアンブルのステーキが出された。
「めっちゃうまそう!!!いただきます!」
肉は牛肉に近く、めちゃくちゃ美味しかった。数分でぺろっと完食してしまった。こっちの世界には米があるのだろうか?
「ごちそうさま!さて、新しいダンジョンに行くか」
俺はそう言って立ち上がり、150ルクスを支払い、店を出る。所持金20,715ルクス。
「また今度食いにこようっと!飛翔!」
俺は空に飛び上がり、大きな森へと向かう。
大きな森と呼ばれる森はイリュシアよりも大きく、中心にダンジョンらしきものが見える。
「あれか!」
「朝陽様、しっかり気を付けてくださいね?Sランク級の魔物が出る可能性がありますから」
「分かってるって、やばかったらすぐに逃げるさ。それより今俺って[魔法構築]で作った魔法は何個保有できる?」
「キングウルフたちを倒してレベルが大きく上がっているので、今だと6つまででしょうか」
「6つか、ひとまずあと3つは作れるわけか」
現在保有している魔法は、飛翔、紅蓮火炎、泥化領域の3つだ。
「魔力切れに気をつけてくださいね、作るのには魔力を消費しませんが、作った魔法を使用するときは魔力を消費しますので、それも強さによって変わります。」
「ふーんなるほど……じゃあさ、これで解決か。」
イメージは魔力の循環、そしてリサイクルだ
「[魔法構築]|魔力循環」
これを常時展開しておけば魔力切れの心配はないだろう。
「朝陽様!?これ天才ですか!?飛翔で消費している魔力がほとんど全て戻っていっていますよ!?」
うまくいったようだ。まぁ欠点は枠を1つ埋めてしまうのと、なんか頭が痛いのと、魔力の上限を上げたわけではないので、俺が持つ魔力以上の魔法は発動できないことだ。
「頭が少し痛いけど、これは魔力循環の反動かもな〜慣れるまで時間がかかりそうだ」
「その頭の痛みは継続回復でなんとかなるのでは?私がかけると10分しか持ちませんが、今の朝陽様なら消費した魔力を再利用できているのでほぼ永久的に使えるはずです!」
「確かに![魔法構築]継続回復!」
イメージは継続して回復する感じで上手くいった。
「すげぇ!頭の痛みがない!これなら通常通り戦えるぜ!」
「上手くいってよかったです!」
アンジュがほっと一息つく。
これで魔法構築の保有魔法数の6つの内5つの枠が埋まった。あと1つ……
「あと1つはとりあえず開けとくか」
「ですね!何かあった時にすぐ使えるようにしておきましょう!」
俺はダンジョンの前に着地する。周りの冒険者が俺のことを見ている、気がする。
「さーて!いっちょやりますか!」
俺はそう言ってダンジョンへと入って行く。




