第11話 グレートウルフ討伐!と謎の声
俺は街を出て、砂地へと向かう。
「そういえば、門番さんがさ、魔法を詠唱無しで発動してたけどあれはどういう原理なんだ?」
「あれはパッシブスキルの1つの[詠唱破棄]によるものです。パッシブスキルとは自動的に発動するスキルのことで、この[詠唱破棄]があるおかげで魔法の詠唱を全て省いて、魔法名だけで発動できます。」
「へぇ〜!めっちゃ強いパッシブスキルじゃないか!魔法を実質スキルみたいに使えるわけだ!それと戦闘集中ってスキルはパッシブスキルの方か?」
「はい、その通りです!戦闘集中はパッシブスキルですね。[詠唱破棄]はすごい効果を発揮する代わりに覚える方法が難しいです。
それは、3大ダンジョンを全てクリアした後に、覚える方法と、[詠唱破棄]を持つ人が継承したいと思った人だけが覚えることができます。
あとは魔法をこよなく愛し、魔法を使い、魔法の神に認めてもらうことができたら、もしかしたら授けられるかもしれません」
「継承……ってことは元々持っている人はもう使えなくなるってことか?」
「はい……そうなりますね。私が持っていたら朝陽様に継承したのですが。」
「そっか〜じゃあその3大ダンジョンってのをクリアするか、魔法の神様に認めてもらうしかないのか」
「そうなりますね……」
詠唱破棄……なかなか手に入れるのは難しいらしい……
そうこうしているうちに砂地へと着いた。
「ここが砂地か〜なんか少し歩きにくいな?」
「そうですね、草原と違って砂なので、足が取られやすいかもです。」
戦闘前に慣れとかないとな。
「ちょっと砂の上で走るわ」
2分ほど走ってようやく砂に慣れてきた。
「よっし、このまま目的地に向かうぞ!」
目的地まではさっき走ってきたおかげかあまり時間がかからなかった。
そして、目的地に到着したら奥に狼の集団がいた。
「あれか?グレートウルフって」
「そうですね……ですが妙ですね。グレートウルフはあそこまで大規模な群れをつくらないのですが……」
そう、ウルフやグレートウルフらしき少し大きな狼がたくさんいた。
「まぁいっか、アンジュ強化魔法と継続回復お願いしてもいいか?」
「分かりました!
光よ、かの者の身に宿り、力となれ!身体強化!
安らぎの光よ、かの者を癒やし続けよ!継続回復!」
光たちが俺を包み込む。そして、力がみなぎる。
「さぁーて!10分で片付けるぞ!」
俺はそう言うと、グレートウルフたちの群れに突っ込む。
「初めての狼狩りじゃ〜!!!」
俺は古びた剣をアイテムボックスから取り出す。
「くらえ!!!斬撃Ⅱ」
グレートウルフとその他のウルフにヒットする。
ウルフは一撃で倒すことができたが、グレートウルフは流石に倒し切ることはできない。
「おらぁ!まだまだ〜!!!」
ウルフたちの攻撃を避けつつ、剣で応戦。そして、敵が集まって来たところで、
「炎よ、敵を焼き尽くせ!火球!!!」
火球をぶち込む。広範囲に及ぶ炎の攻撃で、ウルフたちは壊滅状態。グレートウルフだけが生き残る。
「あとは手強いやつだけか!」
グレートウルフの噛みつきを避け、反撃。そして、ひっかき攻撃を剣で受ける。だが、グレートウルフの強さは単体じゃなく複数のときだと気づく。
「うぉい!グレートウルフ多すぎやろ!10体ぐらいいるじゃねえか!」
「おかしいです!グレートウルフは群れることが基本はないんです。これはグレートウルフのさらに上、キングウルフが近くにいる可能性が……」
そのとき、太陽の光が消えた。
「はっ!?」
俺はそう言って上を見上げる。
そう太陽が消えたんじゃない。俺の上空になにやら大きな狼がいた。そいつの陰になって光がなくなったんだ。
「おいおいおい!まじかよぉ!」
俺は王冠を被った狼に吹き飛ばされる。
「グハァ!」
俺は血を吐いてしまう。だが継続回復でどんどん回復していく。
「キングウルフです!朝陽様!気をつけてください!ランクはEの上……Dランクです!」
Dランクの敵とは初めて戦う。アンジュの魔法が切れるまで残り7分。
「いい戦いをしたいもんだな!」
俺はそう言うとキングウルフに向かって突進する。
「炎よ、敵を焼き尽くせ!火球×10!」
俺は少し詠唱の後の魔法名のときに×10を入れることで、火球を10個繰り出す。
「よっし!ぶっつけ本番だったが上手くいったぜ!」
だがキングウルフは軽々しく避けてしまった。
「ハッ!これは強すぎるぜ!詠唱の時間がもったいねぇな。詠唱中に動かれて躱されちまう」
俺は大剣でキングウルフの攻撃を防ぎながら言った。
キングウルフは詠唱をしないで、黒い球を繰り出してくる。
「あれなんだ?アンジュ!」
「あれは黒球ですね。あれに当たると、[侵食]という継続ダメージを受けます。気をつけてください!」
「そうは言ってもこの弾幕じゃギリギリ避けるしかないぜ?」
そう、相手は詠唱をしないで黒球を繰り出すので、休む暇がない。
そして、少しの油断が死を呼び込む。
「やべっ!」
黒球が俺を襲う。
そのとき、――
「あ?時間止まった?」
そう、キングウルフとグレートウルフが動かない。そして俺も動くことはできない。そのとき、声がした。
「ほっほっほ!今にも死にそうじゃなアサヒよ。やっと見つけたぞい」
アンジュのように声だけするやつが現れた。
「誰だよあんた、なんで俺の名前知ってるんだよ!というかなんで時間が止まってるんだ?」
「ほっほっほ、ただの魔法の神様じゃよ。それと、時間が止まってる?何を言っておる。超ゆっくりだが進んでおるぞ?まぁそれはさておき、相手の詠唱なしの攻撃に手こずっておるようじゃな」
「魔法の神様!?まじかすげぇ!本当にいるんだな!と言うか聞いてくれよ、相手は詠唱なしで魔法バンバン打ってくるのに、こっちは打てないんだぜ?無理だよなぁこれ。」
「ちとアサヒよ待っておれ」
魔法の神様が言ったその瞬間、俺の五感は全て消えた。
「おい、アンジュよ、いるのであろう?やっと見つけたぞい。連絡をしてないな?」
「おじちゃま……見つけてくれたのですね。連絡できなかったのです、すみません。ですがアサヒは私が育てます。」
「そんなことを言っている場合ではない、それはアンジュ、お前が1番知っているのであろう?」
「まぁ確かに……」
「アンジュ、すでに邪神が動いておる。急がねば手遅れになる可能性があるのじゃ。こやつ、アサヒは人類の希望なのだろう?こんなに早い段階でこれを授けるのはだいぶ賭けじゃが[詠唱破棄]と[魔法構築]をこやつに授ける。」
「もう動いているのですか?記憶が曖昧で……アサヒは人類を救う希望です![詠唱破棄]と[魔法構築]を授けてくれるのはありがたいです。[詠唱破棄]については説明済みです」
「まぁこのおじいちゃんに魔法のことは任せなさい。力を失ってからまだ力が戻っておらんのだろう?」
「はい……こっちにみんなを連れて来るのがやっとでほぼ全ての力と記憶のほとんどを置いて来てしまいました。」
「まぁそんなことだろうと思ったわい。わしも力を温存するためにこの干渉ももうすぐ切る。アンジュ……アサヒを頼んだぞ」
「はい、任せてください」
俺はやっと五感が戻った。
「アサヒよ、お前に[詠唱破棄]と[魔法構築]を授けた。詠唱破棄についてはアンジュから聞いているのであろう?だから[魔法構築]についてだけ、簡単に話す。」
俺は何が何だか分からなかった。だがなんかすごいことになっているのだけは分かった。
「[魔法構築]は簡単に言えば、自分のイメージしたものを魔法として発動できるものだ。もちろん例外はあるし、制限もある。それはまたアンジュからゆっくりと教わってくれ。」
「なるほど……自分のイメージしたものを魔法に……」
俺は少し理解したがまだだいぶ曖昧だ。
「じゃあアサヒよ頑張って強くなるのじゃぞ」
魔法の神様はそう言い残した。
そして時が動き出す――
「うわぁ!急に動き出すんじゃねぇ!」
時間が急に動き出したので俺は驚く。驚いている暇がないほど、黒球が俺を襲う。俺は剣でダークボールを斬って、斬って斬りまくる。
「朝陽様!火球を詠唱なしで使うんです!今なら使えます!」
「よっしゃ!やったるぜ〜!火球!!!」
詠唱を言わなくても火球が出た。
キングウルフの黒球と俺の火球がぶつかり合いお互いに相殺する。
そして、俺は[魔法構築]を試してみることに。
「[魔法構築]、炎の矢×100!!!」
炎の矢、これは炎が矢の形になる魔法をイメージして作った。
初めて魔法構築で作った魔法だったが上手くできた。
炎の矢が地面を覆う。周りにいたグレートウルフたちはそれでやられた。残るはキングウルフのみ。
だがキングウルフは素早く躱していて、炎の矢が擦りもしていなかった。
「あいつ早すぎだろ!」
「キングウルフの特徴はその素早さです。その素早ささえどうにかできれば、まだ勝機が見えるかもです」
「なるほど、それなら!」
俺はいい考えが浮かんだ。
「[魔法構築]、泥化領域」
泥化領域、これはある一定の範囲内の地面を泥化させる魔法をイメージして作った。
足元の砂が一瞬で泥へと変わる。キングウルフは泥に足が取られて、動きが鈍くなる。そう、鈍くなる程度なのだ。本当なら動けなくなってもいいはずなんだがな……
「おっとこれじゃあ俺も泥に足を取られちまう」
うーんと、空を飛ぶイメージ。
「[魔法構築]、飛翔」
俺の体が空中へと浮く。
「見晴らしがいいぜ〜!さーて!次は大規模な攻撃魔法を作ろうかな!」
俺はイメージした。全てを焼き尽くす、地獄の炎。
「[魔法構築]、地獄の業火!」
だが魔法は発動しない。
「はぁ〜!?イメージした魔法は使えるんじゃなかったのか!?」
そう俺が言うとアンジュが答えた。
「さっき例外と制限もあるって魔法の神様が言っていたじゃないですか。
多分今の朝陽様だと魔法構築で作って保管できる魔法の数が3つまでなんだと思います。
それと、自分の実力よりも大きく離れたイメージを魔法として作ることができません。
あとは絶対に、イメージしても作れない魔法もありますが、今はそれを説明してる時間がないようです。
とりあえず炎の矢で対応するか、それを消して、新たな魔法を構築するかのどちらかが良いかと」
アンジュにそう言われたので、俺は炎の矢を破棄するイメージをした後に、新たに魔法の構築を始める。
紅く燃え上がる炎をイメージした。
「[魔法構築]、紅蓮火炎!」
紅き炎がキングウルフを飲み込み、激しく燃える。
「このレベルの魔法は使えるのか!地獄の業火よりかはだいぶ抑えめで考えたからな!」
「いい具合に調整できたのではないでしょうか?今から追い込みましょう![気]を発動させて、剣で止めです!」
アンジュがそう言った。俺もそろそろ追い込みをかけようと思っていたところだ。
「[気]発動!!!」
30秒のステータス強化。効果は3倍。一気に畳み掛ける。
「行くぜ〜!」
俺はそう言って飛翔でキングウルフの元まで勢いよく飛んでいく。
「斬撃Ⅱ!!!」
キングウルフを切り裂く。キングウルフはすでに紅蓮火炎でだいぶ弱っていた。
「追撃じゃ〜!!!」
俺は追撃を重なる。剣で斬って斬って斬りまくる!
そして、頭に浮かんだ言葉を口にしていた。
「連撃!!!」
追撃として普通に剣で斬るよりも早く攻撃を与えることができる。これがスキルの効果だ。
「これで終わりダァ!!!!!」
「斬撃Ⅲ!!!」
止めの3撃。斬撃Ⅱが強化された、斬撃Ⅲを繰り出すことができた。
やっとキングウルフとの戦闘を終えることができた。
「やっと終わった〜!!!」
ついにキングウルフを倒すことに成功した。
俺はある程度成長したおかげか、強化魔法や[気]の反動をくらってもギリ動くことができた。
「魔石回収するか〜」
「そうですね、お金のために魔石を回収しましょ!」
俺は魔石を回収しながらアンジュに聞いた。
「アンジュ、魔法構築について教えてほしい」
「分かりました。魔法構築はイメージしたものを魔法として使うことができるように魔法を作ることです。
魔法を作る際、自分の実力よりも大きく離れたものは作ることができません。先ほどの地獄の業火のようにです。」
「なるほど……じゃあ俺が強くなればその分、作れる魔法が増えるってことであってるか?」
「はいその通りです!ただ、[絶対]に、イメージして魔法を作り、使うことのできないものがあります。それはある特定のやつを死なせることや大規模な時間、空間、次元などその他にもありますが基本はこんなもんでしょう。これらをイメージして、魔法を作り、使うことは絶対にできません」
「絶対?それはなんでだ?」
「この世に定められたルールだからです。」
「へぇ〜ルールねぇ……」
まぁそんなものだろう……作れないやつがあるとはいえ、めちゃくちゃ強いスキルに変わりはない。
強くなればその分いろんなイメージを魔法として使えるようになる。そしたら戦闘の幅が広がるぜ!
「それと、朝陽様は成長途中なので、今は魔法構築の限界数が3つですね。これはレベルや魔力などなど、実力が上がっていくことでどんどん増えていくはずです。」
「なるほど、ありがとう!」
俺は魔法構築の話をしながら魔石を拾い集めたり、ウルフやグレートウルフ、キングウルフをアイテムボックスに収納した。
そして、夢の時間は終わる。
「アンジュまた明日!」
「はい!朝陽様また明日夢で会いましょう!」
――――――――――――――
俺は現実世界で目が覚めた。




