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SPIRITS TIMES ARMS  作者: 西順


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裏工作

 さて、あのままあのレストランで昼食。と言う流れになっても良かったのだが、俺たちは今、某ホテルに来ている。インシグニア嬢から誘われたからだ。ホテルに!? と思われるかも知れないが、来たのはオブリウスに案内されたあのホテル。そのレストランの個室だ。


「いらっしゃいましたね」


 待っていたのは麗しき『黄金姫』アウレア嬢にマドカ嬢を始めとした、インシグニア嬢のファン派閥のご令嬢方だった。


「ここに私が呼ばれたと言う事は、そちらも動きがあった。と言う事ですか?」


「まあ、まずは席に着きましょう」


 ここにいるのは俺とインシグニア嬢に侍女二人、それにグーシーだけ。他の面々は別室だ。ホテルのレストランの個室だし、人数的に入り切らないとしての措置だ。


「あ、じゃあ、これ。先程まで別のレストランに行っていたのですが、そこのお茶請けのクッキーです」


 個室だし、良いだろう。と先程のレストランのクッキーを土産として差し出すと、ご令嬢方が包みを見ただけで少し沸き立つ。ふむ。それだけ有名なレストランだったらしい。


 レストランの給仕に頼んで、皆に分けて貰う。その間に俺たちは席に着き、料理が運ばれてくる。


「どうなりました?」


 サラダに手を伸ばしながら、アウレア嬢に尋ねる。これに眉を下げるアウレア嬢。何その表情。


「音楽倶楽部の方々は、皆さんヴァストドラゴン寮に変寮されるそうです」


「そうなんですか!?」


 昨日の今日。イッシャーナ嬢含め、何人かは変寮されるかも知れないと思っていたが、クルザール君まで変寮を決めるとは思わなかった。


「勿論。ここにいる皆も。それに、ここにいない者たちも概ね変寮するようです」


 何と! 根強いインシグニア嬢の人気を再確認する。貴族であれ、商家であれ、(しがらみ)はあるだろうに変寮希望とは。


「まあ、ギガントシブリングス家の者も含まれますけど」


 ああ。スパイ(そういう)って事ね。


「まあ、これだけ派手に動いていますからね。いや、派手でなかったとしても、あっちが元から関わってくる事はある程度既定路線なので、気にしないで下さい。オブリウスにも、入れたい人材がいるなら、変寮を受け付ける。と言っておいて下さい。あいつ貴族のくせに、変に正道に拘るところがあるので」


 これにまた眉を下げるアウレア嬢。


「分かりました。そのように申しておきます」


「ま、こっちは前から潜り込ませていますから。お互い様って事で」


 これにはご令嬢方全員何とも言えない顔になる。いや、そう言うものでしょ?


 こちらは食事をしているが、ご令嬢方はクッキーのみだ。


「もしかして、もう昼食食べ終わってます?」


 これに頷くアウレア嬢たち。エスペーシのところへ行ったのは、ここにアウレア嬢たちが集まっている事を知らなかったので、それなりに待たせてしまったようだ。


「前に、インシグニア嬢が来るまで食事を待っていたら、インシグニア嬢に、逆に迷惑を掛けてしまった事がありまして」


 ああ。インシグニア嬢は、基本的に普段は自分を前に出さないから、変に待たせてしまうと、そっちを気にしそうではある。納得だ。ちらりと横を見るなり、普通にローストビーフを嬉しそうに食しているので、先にアウレア嬢たちが食事をした事は気にしていなさそうだ。


「分かりました。今後も、このような場が設けられた時に、こちらが遅れた場合、先に食べ始めていて貰って構いませんので」


 これにホッと心底安心したように頷くアウレア嬢たち。あれえ?


「私、そんなに怖いですか?」


「闘技場での噂は既にここまで轟いていますので」


 ああ、そうっすか。


「まあ、でも記録は午後には塗り替えられますよ」


 俺の言葉の意味が分からないのか、首を傾げるアウレア嬢に、マドカ嬢が声を掛ける。


「闘技場は午後もありますから」


 これに顔を引き攣らせるアウレア嬢。あ、これ、俺が午後も闘技場で闘う。と勘違いされているな。


「いえ、私ではなく、弟のエスペーシが、私の記録を塗り替えるでしょうから」


「弟さん……。確か、グリフォンデン寮でしたね」


「ええ。兄弟の中で、父上から最も期待されているのが弟です。王太子殿下の近衛にまでなったジェンタール兄上よりも、その潜在能力、いえ、もう既にその実力は抜いているかも知れません」


「そんなに、凄いのですか?」


 これに驚き、口に手を当てるアウレア嬢。


「ええ。その為に先程発破を掛けてきたので」


「わざわざ、敵に塩を送った。と?」


 これにアウレア嬢は首を傾げる。


「双子の弟ですので」


 俺も甘い。ジュウベエ君が俺を甘いと評したのも分かるな。


「確かに、合戦(ケルターレ)を想定すれば、母上と同じ階数まで到達した記録を所持していれば、今期入学の新入学生たちをうちの寮に引き入れる材料にはなったでしょうけれど、でも」


 そこで俺はインシグニア嬢にちらりと視線を向ける。


「うちの強みはそこではないでしょう?」


「確かに」


 これに笑うアウレア嬢たち。


「まあ、でも、戦闘合戦で勝つのは厳しくなりますから、別の合戦に付いては、こちらが勝つつもりで、厳しくいかせて貰いますよ?」


 これに頷くアウレア嬢たちだった。勝つのは厳しくなるけど、戦闘合戦を捨てるつもりもないけどね。何なら欲張りに全部の合戦勝つつもりだけど、それは流石に非現実的なので、ここでは口にすまい。


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