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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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クリスマスはあなたの傍で、・第一幕・クラスメイト失踪事件

十二月。俗に師走と言われる一年の最後の月。他の月に比べ皆がもっとも関心を持つ特別な月。そして初っ端入った途端から忙しく感じるのは世の常だろう。いつものアジト・・、部室でも同じように思っている四人組がいた。

「なぜいつも毎年、毎年12月は慌ただしく感じるの!」

クリスマスケーキはチョコレートのデコレーションが好きな鷹塚翠がそわそわしている。

「冬休みにクリスマスに除夜の鐘、そしてお正月だもの!待ち遠しいこと山積みで、そりゃ慌ただしいさっ!」

クリスマスケーキは定番の苺のショートケーキが好きな早乙女沙織がうきうきしている。

「お楽しみ事が目白押しだものね!」

クリスマスケーキは案外モンブランが好きな栗須川綾乃がわくわくしている。

「ひと月の間にイベント事が山ほど多いのよ・・」

クリスマスケーキは意外と通なざくろが好きな飾磨由香は机にもたれ込み静かに落ち着き払っている。

「この時期になると、いつもの様に盆と正月が一緒に来ているみたいだわ」

翠は冬休みが待ち遠しくてたまらない。

「お正月はもう直に来るわよ。その前にクリスマスよ!」

綾乃のわくわくは止まらない。

「私達がこんなに盛り上がっているのに、この頃の由香が元気ないわね」

頭の中はクリスマス気分の沙織が様子を伺った。

「それが最近、輔清の姿が見れてないみたいなのよ」

綾乃が沙織の耳に手を当て急にコソコソ小声で喋った。

「輔清?あぁ由香が可愛がっている野良猫の輔清ね」

沙織もまた声を潜めて頷いた。

「それで輪を掛けて麗しき愛しの小佐井先輩も修学旅行で温泉に行っていて、いないでしょ。元気ないのも無理はないわ」

翠は由香に背を向け壁になって塞いで、聞こえない様に二人に喋りかけてきた。

「そりゃ、ダブルパンチでダメージがくるわ」

もはや沙織の喋り声はモスキートーンだ。

「小佐井先輩は仕方がないにせよ、野良猫は人知れずこっそりと自分の死に場所を見つけているから。もしかしたら・・」

綾乃の声は既に超音波並みだ。

「うわぁぁー---!」

微かな話がそれでも耳に入ったのか、とつぜん由香が大声で泣き出した。

「もう泣かしちゃったじゃない」

翠が足早に由香を慰めに行った。

「あのぉ、すみません」

そこへ玄関のドアが開き女生徒が顔を覗かせた。

「ビックリした!!珍しいお客様よ!」

綾乃がドアの隙間から真横で覗かせている顔に驚き目を丸くした。

「皆さんの隣のクラスの陽子と言います。皆さんに少し御相談事がありまして・・」

陽子という名の女生徒はそう言いながら恐る恐る入ってきた。

「どうぞどうぞ、散らかった狭苦しい部屋ですがお掛けになってくだされ」

そう言いながら沙織は埃だらけの椅子の上に放置された“猿の手”を放り投げ、陽子に勧めた。

「ありがとうございます・・。相談事というのは摩訶不思議な事に精通した皆さんにお願い事がございまして・・」

陽子は沙織の用意した椅子に腰かけながら遠慮がちに話しかけてきた。

「何やら深刻そうな話ね」

由香を宥めている翠が話題に入ってきた。

「そりゃオカルト事には人並み以上に詳しいけど、どんな事でございで?」

陽子がご丁寧な話口調するが故、慣れない沙織は変な言葉遣いになってきた。

「実は皆さんに突然姿を消した友人を探してもらいたいのです」

陽子は深刻な顔つきに変わり訴えかけてきた。

「なんだか事件性を感じるわ」

人数分のホットレモンティを作りながら綾乃が振り向いた。

「それで事件の内容は!」

沙織が楽しそうに聞いてきた。

「つい今し方の出来事なんですが、前の時限の体育の授業が終わり教室で体操服から制服に着替えている隙に姿が見えなくなってしまったんです」

陽子はその時の様子を思い出しながら切実に語ってきた。こういった体育の時間などの着替えは男子生徒は別の場所で着替えるのがお決まりのパターンである。

「お手洗いに行ったとか、どっかでサボってんじゃないのぉ~」

綾乃がホットレモンティを配りながら言ってきた。

「それが三人とも何処にも行けるはずがないんです」

陽子は跳ね上がった大きな声になって言った。

「えっ!一人じゃないのぉ~。いきなり三人もぉ~!」

沙織も驚き、声がひっくり返った。

「そうです。松子、竹子、梅子の三人です」

陽子が名前を上げた。

「おめでたい名前の人達ね」

由香を解放している翠が話の隙間に入ってきた。

「なぜ何処にも行ける事が出来ないの?」

綾乃が不思議そうに聞いてきた。

「だって・・、」

陽子が恥ずかしそうに答えた。

「三人とも・・、体操服も制服も脱ぎっぱなしで・・、いなくなったんです・・」

陽子が頬を赤らめた。

「えっ!ええっ--!」

落ち込んで塞ぎ込んでいる由香以外の三人に大袈裟なドヨメキが起きた。

「それじゃ何も身にまとわなくて、すっぽんっぽんなの!」

沙織がニヤニヤしながら聞いてきた。

「はい。他に身に付けるものは無いですし、つまり・・すっぽんっぽん・・」

陽子も少しニヤニヤしながら答えた。

「それじゃ早速現場を見に行きましょう」

由香の解放で席を離れていた翠が陽子の傍にやってきた。

「私達に折り入って頼んできているのよ。力を貸そうじゃないの!」

翠が沙織と綾乃の肩を組み促した。

「この謎を紐解いて三人を見つけるのね」

綾乃は図書室でミステリー小説の本もよく読んでいる。

「今まで色んな修羅場を掻い潜ってきたんだもの。今回もお茶の子さいさいよ!」

沙織はいつもの様に自信満々である。

「皆さんよろしくお願いします」

陽子が頭を下げた。

「由香はどうする・・?」

机に顔をうずめ項垂れている由香を見て綾乃が聞いてきた。

「今のところ、そっとしておきましょう」

落ち込んでいる由香を一人残して三人と陽子は、そっと部屋を出て行った。

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