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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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若輩者の腕まくり!・第四幕・オカ研ご一行様、地獄へようこそ。

気が付くと赤い色の溜め池の様な所に浮かんでいた。ねばねばと体じゅうに絡みついてくる。周りを見ると他の皆もぽっかりと浮かんでいる。

「みんなっー!起きてよっー!うわっネバネバしすぎ!」

綾乃が目覚まし時計の様に皆を叩き起こした。

「わっ!なに!此処!何処に浸かってんの!」

目を覚ました沙織が第一声を上げた。

「なんだかドロドロして何とも言えない匂いがするわ」

次に目覚めた由香も第一声を上げた。

「悪魔様はどこなの」

悪魔に夢中の翠には今の状況を把握していない。

「ようこそ地獄へ。いま君達が浸かっているのは“血の池”だよ」

頭の上から悪魔の嫌味な声が響いた。見上げると高い場所から悪魔が見下ろしている。

「“血の池”--!」

沙織と由香が同時に叫んだ。

「それでこんなにネチャネチャするのね」

綾乃は案外冷静だ。翠の目からは沢山のハートマークが風船の様に飛んでいる。

「それで次はどんな競技よ!」

沙織が上の悪魔に向かって大声を出した。

「それでは第二種目は綱登りです。僕が今から君達の所まで綱を下ろすからそれをよじ登ってきてください」

悪魔はそう言って何かを投げ下ろした。

「なによ!綱の割には物凄く細いじゃない!」

沙織がそれを見て文句を言った。

「そうそう此処には綱が無いから蜘蛛の糸で我慢してね。だけど此処の蜘蛛の糸は絹の糸より強いから安心してね」

沙織には笑いながらそう言う悪魔が腹だたしい。

「苛立つわねあいつ!あんなこと言ってたけど絶対うそよ!なのに翠はあんな奴にハートマークなのよ!」

先っきから沙織ばかりが文句を言っている。よっぽど腹が立つのだろう。

「よーいドンッ!」

悪魔はお構いなしに沙織の文句の途中でスタートを切った。するとまた“血の池”の中から白い長い手が這い上がってきた。

「怒っている場合じゃないわよ。また亡者が出て来たわ!急ぎましょう!」

綾乃が沙織をけしかけた。

「また翠はあんなに早いのよ!」

由香が見上げるといつの間にかブルマ姿になった翠がかなりの所までよじ登っていた。

「白い手が私の足を引っ張っているぅ~」

登ろうとする綾乃の足を無数の白い手が掴んでいる。

「そんなの振り払いなさいよ!私なんか体中押さえ付けられてんのよ!」

沙織の体は白い手だらけでがんじがらめになっている。

「気が付くと私達もブルマ姿になっているわね」

由香の目のいくところが違う。

「逆に白い手の腕にしがみ付けばいいのよ!あいつら長く伸びるんだからそれに乗っていけばいいのよ!」

沙織はこんな状況のなか名案が閃いた。

「エレベーターの仕組みね」

綾乃はなるほどの顔になった。三人は先頭を行く白い手に一斉に飛び付いてしがみ付き鯉の滝登りの様に上昇していった。

「もうすぐ頂上よ!付近の所まで来たら飛び出してゴールするのよ!」

沙織が掛け声を上げた。

「それじゃいくわよ!せーの3!2!1!」

三人はカウントをして飛び出す態勢を整えた。

「えっ!」

勢いよくスピードに乗ってのし上がっていた白い手があと一歩の距離で止まってしまった。長く伸びる腕が一歩寸前の此処まででしか届かないのである。

「肝心要のこんな時に!」

由香が気だるく諦めムードに言った。

「みんな-!あともうちょっとなんだから頑張って登ってきなさいよ-!」

先にゴールしている翠が上から顔を覗き込んでいる。

「あっそうか!」

三人は納得して蜘蛛の糸に飛び移りよじ登って行った。ようやく奈落の底から這い上がって来るとそこには一難去ってまた一難。次は“針の山”だった。

「おめでとう。やれば出来るじゃない。次は最後の種目、障害物競争です」

審判姿の悪魔は鉄下駄を履いて立っていた。

「あんたが丈夫な履物をして私達はなぜに運動靴なのよ!」

また沙織が苛立っている。

「悪魔様だからいいのよ。さぁ頑張りましょう」

翠は悪魔側に就いた。

「翠!しっかりしなさい!目を覚ますのよ!」

綾乃が翠の体を揺さぶっている。

「よーいドンッ!」

悪魔は同情の余地無しだ。今度は無数の体中穴だらけになった亡者達がゆっくり這いずって来た。

「早く行くわよ!」

今度は翠が皆に掛け声を上げた。

「こんなの早く行けないわよっ!」

沙織は鋭く尖った鋭利な針の山をゆっくり優しく触った。

「痛った-!」

すると横から先に由香が気だるい大声を上げた。その拍子に綾乃も喚いた。それにビックリして翠が悲鳴を上げた。至る所で大騒ぎだ。沙織だけは無事に体が動けず固まって傷一つなくいる。その間亡者たちは距離を縮めてきた。

「みんなっ-!おまたせっ-!お弁当よっ-!」

四人を呼ぶ聞き覚えのある声の方を見ると山の頂上で光明寺先生が手を振っている。

「悪魔君から連絡があって先生も応援にやってきたの!やっぱり運動会っていえばお弁当でしょ!腕を振るった先生の手作り弁当が待っているわよぉ-!」

光明寺先生は四人分、いや・・それ以上あるお弁当を広げて見せた。それを見るなり乙女ぶっていた四人は地獄の亡者達を振り切り全速力の猛ダッシュで駆け上がって行った。

「お腹が空いていた事をすっかり忘れていたわ」

「私なんか先っきからグーグー鳴りっぱなしよ」

「お腹と背中が引っ付きそうだわ」

「ごめんなさい。やっぱり悪魔様よりお弁当よね」

皆が口々に思いの丈を言った。

「さぁどうぞ針の山ほど召し上がれ。やっぱり山の頂上で食べるご馳走は格別でしょ!でしょ!」

光明寺先生はご座を引いて自分の作った弁当を強引に推した。

「これ本当に先生が作ったの!?最高に美味しいわ!!」

四人はゴールテープを引きちぎり一目散に光明寺先生のお弁当へ向けて我先にへと一直線に脇見も振らず駆け寄り食らい付いた。

「ゴーールッ!やっぱりやれば出来るじゃない。生身の人間では最高記録更新だよ。これで今回は君たちの参加で楽しくて愉快な運動会になって閻魔大王様もご満悦だよ。じゃ僕はこれにて・・じゃぁねぇ~、バイバぁーい!」

悪魔は審判役の務めを果たし元の姿に戻り、寒い別れの言葉で消えていった。

「結局、“幸福の薬”の話題からかけ離れたけどあれは何だったの?」

綾乃がおにぎりを両手に持って頬張りながら聞いてきた。

「嘘つきが基本の悪魔が私達を地獄に連れて来る為の仕掛けた罠だったんじゃないの!?」

卵焼きを箸で摘まんだ由香が気だるく冷めた口調で言った。

「しかし久しぶりに汗を掻いて分かったわ。幸福とは努力して協力して勝利を勝ち得た時に湧き上がる幸せよ!」

ほっぺたにご飯粒をいっぱい付けた沙織が誇らしげに言った。

「哲学ねぇ~」

お弁当をお腹一杯に食べて翠の思考回路も治ってきた。

「先生もそんなあなた達を見て幸せよぉ~。あはははは・・」

晴れ上がった地獄の空の下、光明寺先生と四人の楽しい笑い声が上がっていた。


忘れていたが・・。地獄でお弁当を広げ喉かな時間を満喫するころ。四人が一緒に汗を掻き頑張って最高記録を更新した様に、現実世界では異常なる天変地異が世界中で猛威を振るい、史上最悪の記録を更新して世の終わりの時を迎えようとしている事など今の彼女たちには知る由もなかった・・。



※今回のウィキペディアで検索してみよう!※

●パンドラの匣

●合わせ鏡

●悪魔

●バベルの塔

●エッフェル塔

●魑魅魍魎

●奈落の底

●閻魔大王

●第七話・若輩者の腕まくり!(全四幕)



●出演者


オカルト研究会メンバー

早乙女沙織、鷹塚翠、飾磨由香、栗須川綾乃


●ゲスト出演者


オカルト研究会顧問・光明寺春江先生

生徒会会長・西園寺公佳

悪魔様

地獄の亡者たち



※この物語はオカルト研究会の四人組のドタバタコメディのフィクションであり実在の個人名、団体名、建物名、本のタイトルなど一切関係はございません。

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