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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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妖精を見た!・第四幕・迫りくる危機

沙織は青白い光の球に誘われるまま森の中を彷徨い歩いていた。

「まだ着かないのぉ~。もう疲れたよぉ~お腹減ったよぉ~」

沙織のお腹がぐうぐう鳴っている。しかし青白い光たちはそんな沙織の言葉にも素知らぬ顔でゆっくり浮遊しながら前進している。

「もうそろそろ着いてもいいんじゃないかなぁ~。かなり歩いているよぉ~」

沙織は独り言の様に言っている様に聞こえる。青白い光たちは全く動じていない。

「もうお腹がペコペコで動けなくなってきたよう~」

沙織が泣き言を言い出した。だが青白い光たちは全く無視である。

「いい加減にしなさいよ!いつまで連れ回す気なの!」

沙織が我慢を超え癇癪を起した。その時・・。

どさっ!!!

突如沙織が歩いていた地面が急に陥没して崩れ落ち沙織は真っ逆さまに転落していった。

「きゃー!」

沙織は深く深くより深く地底まで落ちていった。それからどれだけの時間が経ったのであろう。沙織がゆっくりと目を覚ますとそこは変わった樹や見た事も無い植物が生い茂る原生林の世界だった。

「ここは何処なの?」

意識が朦朧としている沙織の頭では理解するまで時間が掛かった。そこへ先程の青白い光たちがゆっくりふわふわと頭上から降りてきた。

「こうなったのもあんた達の所為だからね!」

沙織は青白い光たちに殴りかかったが掴み処が無くうまい具合にかわされ不発に終わった。

「あの時歩いていてぇ~急に穴に落ちてぇ~ここに辿り着いた?」

沙織は落ち着いて頭の中を順序良く整理していった。

「地底の中にこんな大自然があるって事は此処ってもしかして地底世界“アルザル”じゃないの!」

沙織は急に元気になった。

「本当にあったんだ地球空洞説よ!こんな体験滅多に出来ないんだから見学しに行きましょう!さぁあんた達私を此処まで連れて来たんだから案内しなさい!」

沙織は青白い光たちに指示を出し誘導される後について行った。


「外は危険な霧が充満して危ないわ。この洞窟の道を辿って行きましょう。運が良ければ地上に出れるわ」

そのころ翠たちは蜘蛛の襲撃を免れ升池の指示に従いひんやりと湿った洞窟の道を進んでいた。

「これから俺達どうするんだよ。こんなおチビさんも連れて何処に行きたいんだ」

先頭を行く升池の後ろを歩くマーティンが升池の耳元で小声でボヤいた。

「仕方ないでしょ!それよりもし私がここで駄目になったらあなただけでも生き延びて頂戴。そして私の最愛の息子に伝えてほしい事があるの・・」

升池が自分の身の危険を感じたのかマーティンに小声で遺言を言い出した。

「そんなの面倒くせぇ!自分が帰ってから言いな!」

マーティンはそんな改まったことが嫌いな性格の様だ。

「相性の悪い俺に頼むよりミミーに言ったらどうだ」

マーティンは振り返り最後部にいるミミーを見た。

「あの娘は何だか信用できないわ・・。疑わしい雰囲気を感じるの・・」

升池はミミーに疑いを感じていた。

「何だか前のお二人さん何をこそこそ話しているのかしら」

マーティンの後ろを歩く翠がその後ろを歩く由香に言った。

「大人の話よ」

由香は気だるく冷静に一言呟いた。

「それより沙織は何処行っちゃったんだろう・・心配だわ・・」

由香の後ろを歩く綾乃が心細く言った。

「ほんとあの子ったら世話の掛かる子ね!」

そう言っても翠も心配そうだ。

「大丈夫よ!元気にいるわよ!直ぐに見つかるわ!」

最後に歩くミミーが三人を励ました。

「ところで先っき言っていた“バイオス”って何です?」

翠が聞いてきた。

「極秘事項!お子ちゃまには教えられねぇよ」

マーティンは素っ気なく言い放った。

「いいじゃない教えてあげても」

升池がマーティンを促した。

「仕方ねぇなぁ。極秘事項って言ったけど俺もはっきりと詳しく分かんねぇんだ。簡単に言えば好からぬ惑星が地球に近づいていてそれが悪い事をしようとしているって訳さ」

マーティンは簡単明瞭に説明した。

「それが地球に大接近したとき周りの天体と重なりグランドクロスというのが起こるの。それは不吉な総称とされているわ」

升池が説明を付け足した。

「本で読んだことはあるんですが、それは何が起こるんですか?」

文学少女の綾乃さえ分からない。

「それは私も分からないわ。異常気象か、天変地異か、はたまた人類滅亡か・・。だけど私達に任せといて!必ず守って見せるから!」

升池は前向きに答えた。

「前に言っただろ俺達は正義の味方だって!」

マーティンは自信満々に言った。

「心強い!」

翠と由香、綾乃は声を合わせて力強く言った。

「見て!光が差し込んでいるわ!地上よ」

ミミーが最後尾から叫んだ。指を差すそこには一筋の光の筋が差し込んでいた。

「ようやくこれで暗闇とはおさらばね。だけど問題はあの霧ね。またあれに捕まったら元も子もないわ。みんな慎重に行きましょう」

升池が皆に号令を掛けた。

「霧の魔人さん大人しくしてくれればいいんだけど・・」

綾乃が心もとなく言った。


沙織は青白い光たちに連れられキョロキョロ観察しながら歩いていた。

「地底にも太陽が出ているわ!マンモスもいる!絶滅した恐竜たちがわんさかいる!この最後の楽園でみんな生き延びたのねぇ」

沙織の胸は感動ではち切れんばかりだ。

「えっ!あの空に浮かんでいるのUFO?」

沙織は紅く染まった空を見上げると何やら場違いな物が浮かんでいる。そこに行き成り途轍もない突風が吹き荒れ尻餅を突いた。

「巨大鳥発見!なんて大きいの!」

地面に仰向けになった沙織の目に映ったのは滑走路から飛び立つ旅客機並みの大きさの巨大な鳥だった。

「カメラ、カメラ・・」

沙織がカメラを探している間に巨大鳥は猛スピードで飛んで行った。

「おしかったわ!もう少しで決定的瞬間が撮れたのに!」

沙織は非常に悔しそうだ。残念がっているとそこに上から強烈な視線を感じる。見上げるとそこにはティラノサウルスが沙織を見下ろしていた。

「Tレックス・・?」

ティラノサウルスと目が合ってしまった沙織は顔が青ざめ食べられてしまう事に頭が一杯になり、そればかりが脳裏を過ぎった。見渡すと青白い光たちは既にいなく逃げ出している。

「私独りぼっちじゃない・・」

沙織の表情は曇り心は寂しくなり空虚な思いで孤独になった実感を感じた。しかしそんな事も束の間の話。いまの現実の状況で険しい表情に変わり猛ダッシュでティラノサウルスから一目散に逃げだした。


そのころ学校では戦闘態勢が取られ武装した風紀委員会が侵略者を迎え撃っていた。

「砲撃開始!」

モニターを見る藪下の号令のもと屋上に備え付けられた大砲が火を放った。しかし蜘蛛の大群たちはその砲弾がどこから飛んで来るのが分かるのか、うまく交わして向かって来た。

「ぜんぜん当たっていないじゃないの!それよりいつの間にあんなもの屋上に置いたのよ!」

横にいた西園寺も一緒に様子を見ていた。

「備えあれば患いなし!万が一このような事態に踏まえて屋上に配備していたのでござる。他にも運動場に地雷も仕掛けておるぞ!」

藪下が自信有り気に言った。

「なに偉そうに言ってんのよ!そんな物騒な物いつの間に買ったのよ!生徒会は聞いていないわよ!」

西園寺はお金の事が気になっている。

「買ったのでは無い。理科研究部と共同で提案して作って貰ったのじゃ」

藪下は外の様子が映し出されたモニターを見ながら言った。

「こんなに大そうな物が作れるの!?それに経費を出した覚えはないわよ!」

西園寺はまだお金に拘っている。

「拙者そこまでの事は分からぬ。理科研究部に学校防衛対策として頼んだだけの事じゃ」

藪下は後の事は知らぬ存ぜぬである。その間大砲から放たれる砲弾は一つも当たる事無く蜘蛛たちは校舎を埋め尽くしていった。

「地雷が効かないでござるな・・」

藪下は監視カメラが蜘蛛に覆い被さり真っ黒になるモニターを尻目に呟いた。

「どうすんのよ!あの気味の悪い虫の次は巨大蜘蛛よ!」

西園寺は気色の悪さに体が震えた。

蜘蛛の群れは学校の壁を這い上がり校舎全体を覆い被さり、先に集って窓を塞いでいる虫たちを捕食しながら巣を張っていった。

「うわぁー!正しく地獄絵図だわ」

西園寺が窓に目をやると先にへばり付いている大きな虫が後から来た大きな蜘蛛にむしゃむしゃと食べられている様が目に映る。何とも言えない悪寒が走る光景である。

「もう年貢の納め時じゃ・・」

藪下も諦めムードに入っていった。

次第に学校は蜘蛛の糸が張り巡らされ最後には覆い隠され、建物自体蜘蛛の巣となってしまった。

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