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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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妖精を見た!・第二幕・戦場のヴィーナスたち

晴れ上がった秋の穏やかな天候のなか生徒会会長・西園寺公佳は学校の屋上を陣取り横になれるリクライニングチェアを広げ寝そべって優雅な休み時間を過ごしていた。

「なんて気持ちいいのぉ~。今日はあの四人の顔も見ずに済むから余計に気持ちがいいわぁ~」

リクライニングチェアで仰向けになり青い空のなか、ゆっくりと流れる雲を眺めながらぽかぽかとした陽気にうつらうつらと何度も瞼が閉じ、うたた寝をしようと贅沢な時間を過ごそうとしていたとき、遠くの方から何とも言えないモーター音が響いてきた。気持ちよく寝ようとしていたところに耳障りな雑音が頭にきて飛び上がった。

「何なの!この神経を逆撫でするような音はなに!」

西園寺は頭を搔きむしり音のする方向を見た。それは遠く離れた山から黒い雨雲が立ち込める様に徐々にゆっくりとこちらに向かってやって来る。

「会長!大変です!得体のしれない物が学校に向かって飛んで来ています!」

一人の生徒会員が猛烈に急いで屋上の扉をバン!と大きな音がするほど全開に開け勢いよく走って来た。

「あの不気味な音を立てて此方に向かって来る黒い固まりです!」

その生徒会員は西園寺に双眼鏡を渡した。

「なにぃー!あれわゎー!」

西園寺は身の毛をよだたせながら気味悪がる様な悲鳴を上げた。

「ねっ、気味が悪くて気色が悪いでしょ」

その生徒会員は後ろから西園寺の悲鳴に冷静に返した。双眼鏡から覗いた身の毛もよだつ光景は何万という羽の生えた大きな得体の知れない虫が大群でこちらに向かって飛んでくる様子だった。

「背筋にゾクッと悪寒が走るわ・・。早く放送部に学校全部の窓という窓を閉める様に伝えてサイレンもうるさいほど鳴らして学校全員に知らせるのよ!」

西園寺はそう言うと慌ててリクライニングチェアを倒して生徒会員と一緒に屋上から逃げて行った。

「あいつらぁ~山で何をやらかしているのよ・・!」

西園寺は走りながらオカルト研究会の四人の顔を思い浮かべた。


その頃そんな四人達は特殊部隊の者達と合流して少し落ち着いた小川の辺に腰を下ろしていた。

「あなた達運が悪いわねぇこんな時にハイキングなんて・・」

升池は侘しそうな顔で四人を一人一人に慰めながら言った。

「ハイキング・・じゃないんですけど・・。」

翠が何とも言えない顔で答えた。

「此処は今どうなっちゃっているんですかぁ」

綾乃が周りを囲んでいる特殊部隊の面子に聞いてきた。

「細かい事は言えないけど物凄く大変な事になっているのよ」

銃を構え見張っている特殊部隊の一人、ミミー・マクグーハンが言ってきた。

「もう此処は化け物の住処だ。早く君達も逃げるんだね」

もう一人、特殊部隊のフィリック・ランバートが言った。

「私達はこれからが勝負なんです!何がなんでも妖精と巨大鳥に会いに行くんです!」

沙織が我慢の緒が切れた。

「無茶な事を言うじゃない!もう此処は危険地帯なんだ!」

草の陰にいたもう一人の特殊部隊、マーティン・ビシェップが大きな声を出した。

「ところで外人さんなのに達者で流暢な言葉ね」

由香は冷静にやり取りを聞いていた。

「正義の味方の私達でさえ手が負えないのよ。残ったのは私を合わせてこの四人だけなのよ。本部と連絡も着かないし別の対策を考えないといけないわ・・」

升池が頭を抱え苦痛な顔になった。

「正義の味方の方ですか・・?」

翠が唖然と敬語で言った。

「そうだよ君達の知らない所で世界の危機を救っているんだよ」

フィリックが自慢げに言ってきた。

「あの有名な世界が騒然となった人類滅亡の話も私達が救ったのよ」

ミミーも自信満々に言ってきた。

「俗に世に言う地球滅亡の噂話のほとんどは真実で我々が世界の人々に知られる事なく救って解決しているのさ。大事が起こる前に事前に事態を終息されるのが我々の仕事いわば地球防衛軍さ!」

マーティンが冷めた口調で言ってきた。

「みんな自慢げに簡単そうに言っているけど事態を抑える事はそんなに容易い物じゃないのよ。そしてそれがまた新たな危機として迫っているのよ」

升池がまた頭を抱えた。

「それが今の現状ですか・・」

沙織が異常な山の様子を見ながら言った。

「これはまだ序の口よ。これの大元は地球に異常接近して来ている小惑星“妖星ようせいバイオス”の影響なのよ」

升池が疲れた顔で言った。

「ようせい・・。妖星ようせい・・。要請ようせい・・。妖精ようせい・・。これも駄洒落ですか・・」

由香が目を細め気だるく言った。

「バイオス・・ってどこかで聞いた名前ねぇ」

綾乃の頭を悩ました。

「みんな逃げて!またあの不気味な霧が立ち込めて来たわ!」

見張っていたミミーが声を張り上げた。その声に反応して咄嗟に四人は立ち上がり一目散に散らばり逃げだした。


そのころ気味の悪い羽の生えた大きな虫の大群が学校の校舎を追い尽くしていた。

「こんな窓からの光景を見ると体中が痒くなってくるわ」

西園寺が廊下の窓からウジャウジャと大量に窓に張り付く虫の腹を眺めながら体を掻いている。

「会長ー!虫の大群が校内に入り込んでいますー!」

走って来た生徒会員があたふたしながら言った。

「なんで入り込んでいるのよ!」

西園寺が目を見開いて言った。

「窓は全校舎閉めているんですが玄関が全開です!」

生徒会員が冷静になって言った。その言葉に西園寺が屈服した。

「それじゃ全クラス鍵を閉めて教室に閉じこもっている様に言うのよ!」

「私達はどうしましょう・・」

「すぐに逃げるのよ」

そう言って西園寺と生徒会員は生徒会室に向かって猛ダッシュで走り出した。

「この学校の緊急事態を腰抜けの生徒会には任せては措けぬわ!この学校は風紀委員会防衛隊が守って見せようぞ!」

風紀委員会委員長で時代劇好きの藪下真紀がキラリと光る十手を握り締め逃げる西園寺の目の前に蔓延った。

「腰抜けとは何よ!」

聞き捨てならない藪下の言葉に西園寺が反応して女同士の戦いが始まった。

「今でも尻尾を巻いて逃げているではないか」

見たままの藪下の反論に西園寺は何も言えない。

「とてもじゃないけど今はどうしようも無いじゃない!作戦会議に急いでいただけよ」

西園寺は何とも言い難い渋い言い訳をした。

「これだから何もしないその日暮らしの者達は困るのじゃ!この場の事態を鎮圧して私たち風紀委員の日ごろの努力の成果を今こそ見せようぞ!」

「おぉ---っ!」

そう言った藪下の背後から数名の武装した風紀委員の女生徒メンバーが現れた。

「うひゃー!後ろから虫が飛んで来たわよー!此処は悔しいけれど風紀委員さんに任せて一旦撤退するわよ!」

西園寺は生徒会員と一緒にもう一度猛ダッシュで走りだした。

「打ち方始めぃ!!」

持った十手を振りかざし藪下の号令と共に風紀委員特殊部隊の持っていた大型殺虫剤が大型昆虫に向けられ勢いよく大量に散布された。

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