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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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妖精を見た!・第一幕・地球防衛軍VS宇宙からの侵略者VSオカルト研究会

緑の山々に囲まれた小高い丘に建っている赤いレンガ造りの四人の通う我が母校、しょう桃烏中等学校。見上げた空を仰ぐそのまた上空の遥か彼方。大気圏を超える辺りに何やら怪しげな物体が近づいて来ていた。

「Gポイント上空に巨大なエネルギー体を検知しました」

「周りの人工衛星を吸収しながら勢力を拡大して降下している模様」

“ミサイル発射”

「駄目です。エネルギー体の中に取り込んでしまいました」

「いま大気圏を通過」

“戦闘機配置に着け”

「全く武器が通用しません。全機撤退せよ」

「エネルギー体は山が密集する一つの山脈の峰に降り立った模様」

“地上部隊出動せよ”

我々の知る由も無い秘密の場所からそんな緊迫した通信が飛び交っていた。


そんな事も露知らず仲良し四人組はヘルメット帽子を被って探検隊の格好でいつもの歩き慣れた裏山へ冒険の旅に出掛けていた。

「今回の目的地は秘境と呼ばれる前人未到のジャングルよ」

我らが探検隊長の鷹塚翠が歩きながらミーティングを始めた。

「最近学校で頻繁に起こっている、なくし物事件の真相を探るのね」

隊員Aの早乙女沙織が丸い形の水筒のお茶を飲みながら言った。

「それを私達が“妖精ようせいのいたずら”だって事をいくら言っても分からない人に証明するのよ!」

隊員Bの栗須川綾乃が双眼鏡を腰に回し言った。

「ところで朝から授業放っぽり出して来ているんだけどまた西園寺に喧しく言われない?」

隊員Cの飾磨由香が地図を手に気だるく聞いてきた。

「だ・い・じょぉう~ぶ。その生徒会から私達に“要請ようせい”があったのよ」

翠が誇らしげに言った。

「それって駄洒落ですかぁ~」

由香は余計に気だるい声になった。

「今先っき綾乃が言った“分からない人”はやっぱり西園寺なんだ」

沙織が納得した。

「そうよ生徒会長の西園寺を説得させるため生徒会のメンバーが直々折り入って頼み込んで来たって話よ」

翠は勝った気分だ。

「そこでこの冒険の旅を課外授業と銘打って妖精探しと一緒に待望の巨大鳥の探索をしようって訳ね!」

綾乃も納得した。

「そうそう妖精なんてそんじゃそこらで湧いて出るものじゃないわ。あの山の森の精霊達が学校に遊びに来ているのよ」

翠は自分の考えに納得している。

「それで何かと後回しになっていた目撃例の多い巨大鳥の捕獲もついでにしようって訳よ!」

沙織はいつの間にか大きな捕獲網を手にしている。

「で、大自然の叡智がふんだんに残る誰しもが拒んで入ろうとしない山に私達が第一歩を踏み出す訳ですね」

由香はワクワクが止まらない。

「気候もぽかぽかとして気持ちいいじゃない。絶好の探検日和よ」

翠は立ち止まり目を閉じておもいっきり深呼吸した。

「ちょっとあれを見て!あの山だけ雲で一杯よ!」

綾乃が指を差し大声を出した。それにびっくりして翠がむせ返った。前方の山の上空にはそこだけ真っ黒い雨雲が立ち込め渦を巻いていた。

「周りの空は晴れ上がって気持ちの良い秋の陽気の天気なのに何故にそこだけ?」

翠が双眼鏡を片手に覗いた。

「あの山って今私達が目指している目的地じゃない」

由香は地図と照らし合わせ両手で双眼鏡をしっかり持ち覗いている。

「それに山のてっぺんに雪が積もっているよ!」

沙織が言う様に頂上付近は真っ白になっていた。そこへ何処からともなく大きなヘリコプターが四人の上空を猛スピードでその山に向かって一直進に飛んで行った。

「いまのみたっ!あんな全くエンジン音のしない真っ黒で大きなヘリコプター!」

沙織が見上げながら感心した。

「ほんと、気付かなけりゃ素通りよ!ところであれって何人乗れるのかしら?」

綾乃は家の自家用ヘリコプターと比べた。

「軍用のヘリコプターじゃない?何だか騒がしくなってきたわねぇ」

由香は双眼鏡で怪しげなヘリコプターを追っている。

「いや、何だか面白くなってきそうよ・・」

翠はニンマリと不敵な笑みを浮かべた。


「目標地点到着60秒前降下準備せよ」

所属不明のヘリコプターの中ではこんなアナウンスが流れた。その大きなコンテナの様な詰め合った空間で数十人の特殊部隊の精鋭達が肩を並べて狭いなか座っている。

「さぁみんな気合を入れて戦いの始まりよ!」

そう言って地上部隊リーダーの升池真夢が変わった形のフルヘルメットを被った。

「我々はもう既に敵の手の内にいると思って覚悟して掛かって行動して。また敵はどういった形で攻めてくるか分からないわ。油断しないで頂戴」

升池がそう言うと同時に床のハッチが開いた。

「目標地点上空各自降下せよ」

感情の無い無機質なアナウンスが流れ上から長いロープが投下され各々それを掴み降下していった。そこの周りは濃い雲に囲まれ視界は全くゼロだ。

「うわぁー!」

「きゃー!」

四方八方から無数の隊員達の苦痛な叫び声が上がって来る。しかし状況を確認しようとも周りは鼠色一色で視界が遮られ全く掴めない。

「どうしたー!大丈夫かー!」

「ぎゃー!」

「あぁー!」

大声を上げて安否を確認する隊員の声も悲鳴に変わり、またそれを上回る大勢の叫び声に掻き消されていく。

「みんなスピードを上げて地上まで辿り着くのよ!」

升池の大声で叫ぶ声も虚しく響く。その間も至る方面から悲鳴は縦横無尽に反響している。やっとの思いで視界の悪いなか草に覆われた地面が見えてきた。地に足が着いた途端、升池は持っていたガンマ放熱銃を構えまだ見ぬ敵の姿を探した。

「みんな状況を確認する。連絡を願う」

升池の声はマイクを通し他の隊員達と通信した。

「こちら・・いま地上に・・無事です・・」

升池のイヤホンから電波の悪い途切れ途切れの隊員達の声が帰って来る。

「周りは上空と同様濃い霧に囲まれ一寸先も見えない状況だ。無線を頼りにせず各自ゴーグルを調整して合流地点まで注意を払って来る様に」

升池は感度を合わせながら自分の位置をモニターで確認しながら銃を構えゆっくりと歩いて行った。

「隊長ー!」

升池の呼ぶ声が聞こえ振り返ると濃い霧の中から突然女性隊員の顔がいきなり現れた。

「ご無事で良かったです。他の者達はどうゆう状況ですか」

「いや・・、こっちも無線の障害で状況が掴めていない。皆の安否が心配だが・・」

「降下最中から大勢の叫び声が聞こえて・・」

喋っていた女性隊員の体が大きな影に掴まれた様に何処へともなく引っ張り持っていかれ瞬く間に升池の目の前から突然消えた。升池としては自分の部隊の姿を一人だけでも目視して安心していた最中、突如起こったその恐ろしい光景に一瞬気が動転した。

「我々はもう既に敵の手の内にいるのではなくもう敵の胃袋の中かもしれない・・」

升池の脳裏を恐ろしい思いが過った。

「各自すぐに撤退せよ!モニターを使い物音を立てず慎重に山を降りる様に!もう一度繰り返す、直ちに撤退せよ!撤退せよ!」

そう言って升池も銃を構え身を縮め速やかに山を下って行った。


「あっ美味しそうなキノコ」

沙織が木の根っこから生えたカラフルな色のキノコを手にした。

「それ絶対食べたら駄目な奴じゃん!」

綾乃が慣れない変な発音で言ってきた。

「そんなの食べたら笑いっぱなしよ!」

由香も気だるくめんどくさそうに言ってきた。

「それより前人未到のジャングルというより恐竜時代の密林にいるみたいだわ」

翠が周りの光景を見ながら感心している。

「どこか木の間から恐竜が顔をぽっかり覗かしたりして」

沙織が笑いながら言ってキノコをポケットに押し込んだ。

「いたっ!いたっ」

由香が震えながら遠くを指差している。そこにはキリンより首の長い恐竜がのっしりのっしりと闊歩していた。

「あれはプラキオサウルスよ」

文学少女の綾乃がすぐさま答えた。

「名前を聞いてんじゃなくて何故あれが此処にいるのよ!」

翠も驚き泣きじゃくりながら喜んでいる。

「じゃぁ、その向こうは何なのよ!?」

今度は沙織が逆の方向を指差した。そこにはビックフットらしき猿人がぬっしりぬっしりと優雅に歩いている。

「ここは正しく大自然の秘境だわ!」

四人は感動に浸った。

「この様子じゃ巨大鳥に会える確率も高いわ!」

綾乃が飛び上がって喜んだ。

「だけど嫌なのは虫なのよっー!」

翠に集って来る掌サイズ以上の大きな羽の生えた沢山の虫から逃げ回っている。

「そんな時には虫除けスプレーよ。貸してあげるから早く振り掛けなさい」

沙織が翠に向かって放り投げた。

「こんな物でこいつらに効くのー!」

翠が逃げながらスプレー缶の中身が無くなる勢いで無我夢中で体中に噴射した。

「やっぱり無いよりましよ。ほぉ~ら、いなくなったじゃない」

沙織が翠の滑稽な姿を見て笑った。翠を逃げ回せていたあれだけいた大きな虫たちの姿は何処へともなく飛んで行った。

「あなた達は既に虫除けスプレー振っていたのね!」

翠は既に息が上がっている。

「あっ今度は宇宙人よ!」

由香が木陰を指差した。そこには特殊フォームの服に身を包んだ者が疲れた表情で木にもたれていた。

「あなた達は何者なの?」

その特殊フォームの者が四人に聞いてきた。

「私達はオカルト探検隊よ!」

四人は声を合わせてそれぞれのポーズを構え決めた。

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