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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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吸血鬼を追え!・第一幕・学校での妙な噂

梅雨が明けそろそろ本格的に暑くなる前の湿気が体に纏わり付くまだじめついた季節。夕暮れ時にはまだ早い放課後午後三時すぎ。しょう桃烏中等学校体育館。その中にある倉庫の奥隅にある、部外者は決して手を触れない扉。その扉を開けると秘密の部屋・・、アジト・・いや、埃まみれの部室でいま四人達が奮闘していた。

「年末でも無いのに大掃除ってどうゆうこと!」

重いオカルト系図鑑を抱え持ち血液型O型、早乙女沙織(大雑把で器量良しな性格)が言った。

「しかし狭い部屋に色んな物が犇めいているわね」

何かの儀式に使う髑髏を小脇に持ち血液型B型、飾磨由香(ざっくばらんで楽天的な性格)が言った。

「私達の大先輩からずっとこの部屋だものそれは色々出てくるでしょ。ねぇ、そうでしょう」

髪の毛が長く伸びきった人形を相手に会話をしてる血液型AB型、栗須川綾乃(まだ誰も見ていないもうひとつの性格があるらしい)が言った。

「西園寺が脅迫してきたのよ!」

頭と口元をタオルで覆いはたきで埃と奮闘している血液型A型、鷹塚翠(案外几帳面な性格だが人の意見に流されやすい)が言った。

「昨日の休み時間に私が此処で一人で藁人形を編んでいると西園寺がいきなり扉を開けて・・」

翠が西園寺の顔を思い出しながら状況を話した。

「いつもながら汚っい部屋ね!たまに私がわざわざ査察にやって来てやってんだから奇麗にしておきなさいよっ!万が一、風紀委員会が介入してきたらあなた達も困るでしょ!私が言っている間がまだマシよ!」

それからも長い時間小言を言った血液型B型、生徒会会長・西園寺公佳(由香と同じ血液型の割には真逆でせっかちである)がようやく帰って行った。翠のその話に他の三人は金縛りにあったかの様に動きを止めた。

「風紀委員会は私達の第二の天敵ね」

沙織の持った掃除機が唸りを上げた。

「西園寺が此処に来なかったらいい話じゃない」

由香が雑巾を絞りながら気だるく言った。

「お願いしても素直に聞く人じゃないでしょ。ねぇ、そうでしょう」

綾乃はまだ人形の長い髪を梳いている。

「ところでさぁ、同じ学年で閉鎖されているクラスがあるの知ってる?」

翠が埃だらけになりながら話題を急展開してきた。

「今しがたまでの話からいきなり変わるわね!まぁそう言えば休んでいる人数が多いクラスもあるわ」

沙織が掃除機の柄に持たれて言った。

「何か流行りの風邪じゃない」

由香は床を拭きながら気だるく言った。

「そう言えば集団引き籠りとか時季外れの五月病とかいろいろ噂されているわねぇ。ねぇ、そうでしょう」

綾乃は今度は人形の長い髪を三つ編みにしている。

「何でそうなっちゃっているか詳しく先生からは聞かされてはいないんだけど、言う所の話によると風邪なんかじゃなくて全員貧血らしいのよ。それに原因が分からないから正式には発表出来ずそんな噂話が出回っているのよ」

翠は脚立に上り言った。

「言う所のそれって何処からの情報よ!」

沙織は掃除機の電源コードを巻いている。

「唯一分かっているのはこの前泊りで行った林間合宿の後だってこと!」

翠は棚の一番上を整理している。

「私達も行ったよね。だけど何ともないわ」

綾乃は持っていた人形をひな壇の上に座らせた。

「私達は何時も何ともないの。色んな免疫が出来てんじゃない」

由香は汚くなったバケツの水を流している。

「もう一つ言うと朝に目覚めると林間合宿のキャンプ場だったって話よ」

翠は棚の一番上の奥に詰まった物を引っ張っている。

「寝てる間にどうやって行くのよ。バスで何時間を掛けて行った裏山が三つも離れた遠い場所よ」

沙織は席に座り自分の鞄を漁っている。

「それは何だか魚の尾っぽが付いた後付けの話の様ね」

綾乃はお湯を沸かしている。

「だけどそのキャンプ場には何かありそうね」

由香もようやく椅子に座った。

「そこに泊まった者を貧血にさすほど血を吸う吸血鬼がいたりして」

綾乃がカップにお湯を注いでいる。

「蚊の大群に刺されたんじゃないの」

由香はお皿を並べている。

「そのキャンプ場にチュパカブラがいるのね!」

沙織はその皿を握りしめ興奮している。

「吸血鬼なんて・・いる訳ないわよ。だけど、・・そう、これは事件・・よ、あっ!」

“ガッタッーーン!!”

翠の話す言葉をコマ送りにして力一杯引っ張ていた物がようやく抜けその拍子に大きな音と共に脚立から転げ落ちた。

「翠、大丈夫?」

クッキーを銜えた由香が駆け寄って来た。

「あ、いたたた・・痛い。あっ!何!先におやつタイム取っているのよ!」

尻餅を突いている翠の口にクッキーを一枚銜えさせた。

「その引っ張り出した手に持っているのは何?」

クッキーを頬彫りながら沙織が寄り添って来た。

「一番上の棚の一番奥の方に隠し戸があったのよ。そこからこれが出てきました!」

ようやく翠が由香に引っ張り上げられ立ち上がりおやつタイムに参加した。机に置かれたそれは染みが入った黄ばんでボロボロの古めかしい書物だった。

「歴代の先輩たちが残していってくれた産物ね。年代物よねぇ」

綾乃は紅茶を飲みながら敏感になっている。

「“オカルト黙示録”ってタイトルがなかなか凝っているわ」

沙織が口一杯にクッキーを放り込んで感心している。翠はページが崩れないようにゆっくりと捲っていった。そこに書かれた文字は掠れて薄くなり読み取れないものがほとんどだったが、図書係も務め本を読み慣れている綾乃の解読によると内容的には研究結果の議事録の様なものだった。その中に一つ興味をそそる文面があった。

「この摩訶不思議な詩の様なものは何かしら?」

綾乃が虫眼鏡を引っ張り出した。その出だしはこう綴られている。

「“後世に受け継がれし後輩達へこれを託す。我々の手には負えぬ暗号を解読されたし・・”」

綾乃は虫眼鏡でひとつひとつ文字を追いながらゆっくりと読み分かりやすく皆に説明している。そして本題へと入った。

「“暗明の間の日出でたる宝物の在処に悪魔の抵抗は眩しく赤に染まる朝焼けによってバイオス・・歓喜す・・・。”あとは字が崩れてて読めないわ」

綾乃は掠れて読みにくい字を一つ一つ声を出して読んで聞かせた。

「これってもしかして昔々の埋蔵金の場所を記した暗号じゃない?」

翠が紅茶を飲み干し飛び付いた。

「それにこの詩は唄よ。所々に♪が書いてある」

沙織がその♪に合わせ唄い出した。

「音痴ねぇ~」

他の三人が声を合わせて言った。

「まだ終わりに何か小さく書いてあるわ」

由香が気が付き覗き込んだ。そこには綻びてはいるが“林間学習洞窟にて発見”と微かに書かれてあった。

「今回の話題の話と場所が一致するわね。これは何かありそうよ」

沙織がワクワクした表情になった。

「そうよ!埋蔵金を掘り当てて私達の活動資金にしましょう!これでケチな西園寺に何も言わせないわ」

翠は勝気になっている。

「あと皆が吸血鬼に血を抜かれた原因も探りましょう」

由香もやる気になっている。

「埋蔵金が出てきたら役所に届けなくちゃ」

綾乃は冷静に判断している。

「私がこの書物を見つけたんだから財宝は私達の物よ」

翠は早い者勝ち理論である。

「それじゃ、週末に出発よ!私達だけで一泊二日で林間合宿よ!」

「だけどどうやって三つの山を越えて行くのよ。えぇ~歩きは嫌よ」

翠の一声に一同疲れが溢れ出た。

「四駆の車で行けば楽勝よ!レンタカーを借りて行きましょう」

翠は何なりと解決した。

「それじゃ執事の琴原に運転してもらいましょう」

綾乃も直ぐに翠が次に言わん事がピンと来た。

「また西園寺が活動経費の事でブゥブゥ言うんじゃない」

由香が気だるく肘をついた。

「財宝が見つかればちゃんと利子を付けて渡してやるわよ」

翠は笑ってピースした。

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