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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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地図にない駅・第四幕・夏休みはやっぱ海でしょ!

四人は駅に着いた途端その眩しさに目を覆った。真夏の暑い太陽の猛烈な日差しが真っ白い駅に強烈に照り返している。

「此処ってなんてとこなの!」

沙織が目を細め顔を顰めた。

「光を反射する素材の塗料を使っているのかしら?」

綾乃は扇子で顔を覆った。

「日焼け止め塗ってきていてよかったわ」

由香は大きな麦わら帽子を被っている。

「目が慣れるまでの辛抱よ」

翠は自分だけ用意周到にサングラスを掛けている。

ようやく四人の目が慣れ全体の風景を把握できる様になったが、照り付ける太陽の日差しは変わらず眩しく全体を包んでいる。

「さぁ!海に繰り出しましょう!」

沙織が元気よく歩き出した。

「ちょっと待って!そう言えば確かこの駅、改札口が無くて普通に出れないのよ」

翠が遠い記憶を思い出した。

「じゃぁどうやって出るのよ」

沙織が振り返って聞いてきた。

「確かホームの先まで行って柵を超えて線路の路肩に出るのよ」

翠が必死に記憶を辿っている。

「そんな事したら危ないじゃない。もっといい方法はないの」

綾乃が扇子の横から顔を出した。

「そんなのあったら既にやっているわよ」

翠のサングラスの中の目が怒っている。

「あっ!電車がやって来たわよ」

由香が声を上げ皆がその方向を見た。その電車は音も無くゆっくりと確実にホームに向かって走って来た。次第にくっきりと現したその姿は年代物のシンプルな物だった。一車輌しかないその電車は静かにホームに入ってきた。

「私達もこんな電車で来たっけ?」

沙織が考え込んだ。

「その前に私達は電車に乗って此処まで来たのかしら?」

綾乃が疑問に思った。

ホームに止まった年代物の電車は車両に一つだけのドアがあり、それもまた音も無く開いた。四人はその状況を固まった様に立ち止まったままじっと見ていた。その中から青白い顔をした車掌が声を掛けてきた。

「早く乗って下さぁーい」

「そう言われてもね。私達は此処に着いたばかりなのよ」

翠はサングラスを額に上げて答えた。

「何を訳分かんないこと言っているんですか。この駅は乗車専用の駅ですよ」

青白い顔の車掌は無表情で答えた。

「そちらこそ何をおっしゃっているの?ところでこの駅の改札口は何処にあるの?」

綾乃が冷静に質問した。

「この駅には改札口はありません。あなた達もこのホームに来るのに透けて通り抜けて来たんでしょ」

青白い顔の車掌は逆に質問してきた。

「ある意味この駅は最新式ね」

由香が感心した。

「そんな事より乗るんですか?乗らなければ否が応でも乗って貰いますよ」

青白い顔の車掌の顔が急に険しくなった。

「そんな言い方されると断固として乗ってあげませんからね!」

沙織が膨れっ面になった。

「なぜ私達をそんなに乗せようとするの?」

綾乃がもう一度質問した。

「あなた達は何も分かっていないようですね。この駅ははあの世行きの駅なんですよ。あなた達はもうとっくに亡くなっているんですよ」

青白い顔の車掌は困った顔で言った。そう言えば電車の中の乗客はげっそりと死んだような顔をしている。

「私達が死んでいるぅ~?馬鹿な事を言わないで!せっかく海水浴を楽しみに此処までやって来たのに!」

翠はサングラスを掛け直した。

「それじゃどうやって此処まで来たんですか?あなた達の魂はあなた達の身体を擦り抜けこの駅に辿り着いたんですよ。そして先程言った様に改札を透けてこのホームにいるんですよ」

青白い顔の車掌は分かりやすく説明した。

「それじゃ私達は魂なの?それでこれから天国に行くの?」

綾乃が扇子を閉じびっくりした顔になった。

「天国に行くか地獄に堕ちるかは私には分かりません。私はこの電車であの世まで案内する俗に言う死神です。どっちに行くかはあの世に行ってからの手続きになりますのでそちらでどうぞ」

青白い顔の車掌の死神は淡々と答えた。

「じゃ今の私達に意識があるっていう事は臨死体験状態なの?」

由香が信じられない顔になっている。

「あなた達がどういった状態かは私には分かりませんが眩しい光に包まれて天に昇るとこの世でよく言われているように、この駅では初めて逝かれる故人が不安に思われない様に眩しい光をモチーフした外見としています」

青白い顔の車掌の死神はこの駅の案内までしてくれた。

「初めての故人・・?先っきから何言ってんのよ!そんな冗談に付き合ってられないわ!」

沙織はそっぽを向いた。

「私はこの駅から出る方法を知ってますからもういいですようだ!」

翠はホームの先端に向かい歩き出した。

「ちょっとお待ち!」

そのとき天から声がした。空を見上げるとそこには天使が一人浮かんでいた。

「本当に往生際の悪い性格ね!あなた達の魂胆は見え見えよ!」

その天使もまた訳の分からない事を言い出している。

「何をおっしゃっているのか分かりませんが何か私達に御用ですか?」

由香が気だるく話し掛けた。

「どうせならこんなオンボロ電車に乗るより私と一緒に快適な飛行機に乗ってユートピアに行きたいんでしょ!」

天使が言った傍からジェット機が飛んで来た。

「西洋のよそ者が割り込んで来るんじゃない!」

青白い顔の車掌の死神はドアから身を乗り出し天使に向かって怒鳴り込んだ。

「そんな事で引き下がっていたら割り当てが合わないわ!こっちも競争が厳しいのよ!」

天使も上から見下ろし言い返した。

「こっちもノルマがあるんだから営業の管轄を弁えなさい!」

青白い顔の車掌の死神も神とは言え大変である。どうやらあの世もこの世と同じ競争社会の様だ。

「二人が争っている今の間に逃げるわよ」

翠が皆を呼び身を縮めてホームの際まで走って行った。その間天使と死神の言い争いは終わる事無く続いていた。


「さぁ~海よーっ!」

水着に着替えた四人は海を目掛け砂浜を全速力で走って行った。そして四人は仲良く一緒に海に飛び込んだ。その瞬間、空を仰ぐ位の高波が四人を襲い仲良く海中にさらわれ姿を消していった。


薬品の匂いが立ち込める部屋の中。四台のベッドの上に四人は並んで微動だにせず横になっている。一人各一台ずつ怪しげな装置が置かれ、そこから伸びたコードが額や頭に張り付けられている。四人のモニターにグラフ状で動いていた光の点滅が一斉に高い警告音と共に水平になり動かなくなってしまった。四人は体勢を崩さずまさしく死んでいる様だ。いや死んでしまったのかもしれない・・。

・・と、思いきや。突然、翠の目が大きく開いた。

「あぁ~あ、よく寝たぁ~」

翠は起き上がり大きなあくびをして腕を伸ばした。横のベッドでは綾乃が寝返りをして寝ている。また隣のベッドで沙織はいびきを掻き出した。端のベッドからは由香が寝癖で爆発した髪の毛でゆっくり起き上がった。

「沙織も綾乃も早く起きなさい。もう朝よぉ~」

翠が二人を揺すり起こした。そこへ白衣を着た一人の男子生徒が四人の元にやって来た。

「理研の臨床実験のご協力ありがとう。ゆめだった夢の録画が出来ているよ」

その白衣を着た理科研究部の部員が四人に伝えた。

「楽しみだわぁ~私どんな風に写っているかしら」

沙織は両手を頬に当てた。

「皆が同じ夢に出て来れたのが良かったんじゃない」

綾乃は背伸びをしている。

「そうよねぇ夢であれ夏はやっぱり海で泳ぐのが気持ちよかったでしょ!」

翠は満喫した顔をしている。

「私たち海初めてだもんね。なんとも臨場感もあって楽しかったわ」

由香はあくびをしながらまだ眠たそうに目を擦っている。

「それじゃ録画された夢を観て私達の夢占いでもしましょ!」

沙織は元気よくベッドから飛び出し皆を引っ張り出した。



※今回のウィキペディアで検索してみよう!※

●ゾンビ

●クラーケン

●シーサーペント

●法螺貝

●人魚

●死神

●天使

●臨死体験

●第四話・地図にない駅(全四幕)



●出演者


オカルト研究会メンバー

早乙女沙織、鷹塚翠、飾磨由香、栗須川綾乃


●ゲスト出演者


村の青年

村の彼女

ゾンビの村人

車掌の死神

よそ者の天使

理科研究部の男子学生

生徒会会長・西園寺公佳

園芸部部長・和中妙子

オカルト研究会顧問・光明寺春江先生



※この物語はオカルト研究会の四人組のドタバタコメディのフィクションであり実在の個人名、団体名、建物名、本のタイトルなど一切関係はございません。

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