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七つの滞在 〜オタク男子の平穏な日常を破壊する、最強の美少女悪魔たち〜  作者: ほさ
悪魔たちのドキドキ旅行

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『タコは食べ物です!』

「やれー! やっちまえー!」と、なぜかクラーケンを全力で応援し始めるサタン。それに同調して「死になさい!」とヤジを飛ばすルシファー。

現在、僕たちは超巨大タコUMAの通称クラーケンを討伐するために、クラーケンが出ると言う無人島の近くまで来ていた。

「な、なんなんだこの状況は……」と僕が唖然としていると、

「あいつ相当嫌われてんなあ」とケタケタ笑う蓮華さん。

「……マモンは……魔界でも一番嫌われてた……」と、ベルフェゴールがボソリと教えてくれた。

「それにしたって戦ってる最中なのになんて呑気なやつらなのよ」とエヴァさんが呆れ果てる。

僕たちの見つめる前線では、マモンが高速で繰り出されるクラーケンの触手を優雅に避けていた。

「なんなんですの! 攻撃する暇がありませんわ!」と声を荒らげるマモンに、

「早く死になさいよ〜! そしたら加勢してあげるわ〜!」と、サタンが意地悪そうにさらにヤジを飛ばす。

「ちっ! うるさいですわよ! あんたたちなんかに加勢してもらわなくても私一人で!」と、マモンは扇子を翻すように激しく言い返す。

マモンはクラーケンの攻撃を華麗に避けながら、両手に金色の拳銃を出現させた。

「趣味の悪い武器ね」とルシファーがジト目で吐き捨てる。

「ゴールデンバレット!」と叫ぶマモンは、ドレスを翻して触手を避けながら、クラーケンに煌びやかな弾丸を打ち込んでいく。

「ウオオオオオオオオオ!」と、海を揺るがすクラーケンの咆哮。

「私の財産を使った特殊な弾ですわよ! 早くくたばりなさい! もったいないから!」と、マモンは目を¥マークにしながら連射する。

クラーケンは大量の弾丸を受けて、徐々に触手の動きが鈍ってきた。

「おー! やっちまえマモン!」と応援し始めるベルゼブブ。

「あらあら、本当に倒しちゃうかしら?」とアスモデウスがクスクスと微笑む。

「くっそー! やめろお!」と、なぜか討伐を阻止しようとするサタンに、

「あんたはどっちの味方なのよ……」とルシファーがため息をついた。

「グオオオオオ!」と叫びながら、クラーケンはだんだんと丸まっていく。

「ど、どうしたんですか?」

「弱ってるってことかしら」

「……ベルフェゴール、そろそろいくぞ」と、いつの間にか金属バットを構えて歩きだす蓮華さん。

「え? 蓮華さん!?」

「……拓巳……危ないから……エヴァの後ろに……」と、トロンとした目のまま蓮華さんについていくベルフェゴール。

「オラオラオラオラ! 早く死になさい!」と高笑いしながら、容赦なく弾丸を連射しまくるマモン。

やがて叫び声すら上げなくなったクラーケンは、球体になって完全に動きを止めた。

「……!?」と、なにか異変に気づいたマモンがピタッと攻撃をやめる。

その時だった。丸くなったクラーケンの全身から、槍のような鋭い触手が一斉に突き出された。

「な、なんだ?」とベルゼブブが目を丸くする。

まるでトゲトゲの巨大なボールのようになるクラーケン。

「少し、下がらせてもらいますわね」と言いつつ、後ろに素早く飛ぼうとするマモン。

だが、その時だった。トゲトゲになったクラーケンが、怒り狂ったように一瞬で真っ赤に変色した。

そして限界まで丸くなると、一本の太い触手が目にも止らぬ超スピードで、後退しようとするマモンの喉元へ肉薄する。

「やば……!」とマモンが目を見開いた。

がっ! と、触手の鋭い鋒が、マモンの鼻の先数センチでピタリと停止した。

「……マモン……後ろに……」と、いつの間にかマモンの横に来ていたベルフェゴールが、小さな手を触手にかざして怠惰の魔力を込めながら呟く。

「ベルフェゴール!? 勝手なことを!」とプライドが高そうな声をあげるマモンに、

「……そんなこと言って……る……場合……じゃ……」と、珍しく必死に魔力を絞り出すベルフェゴール。

「ようし! ベルフェゴール! そのまま抑えとけよ!」と、豪快に空中をドタドタと走ってくる蓮華さん。

「えええ!!! なんなんですかあの人! なんで何もない空中を走ってるんですか!?」

「わかんないわよ! あのレベルだとなにしても普通じゃないわ!」とエヴァさんも大混乱だ。

「オラァァァァァァ!」と野獣のような咆哮を上げて高く飛び上がると、金属バットをフルスイングで振りかぶりながらクラーケンの脳天に突撃する蓮華さん。

カアンッ! と、ハワイの海に金属バット特有の快音が響き渡った。

バットで強打された場所からボコン! と、クラーケンの巨体が大きくへこむ。

「くっ! まだか!」と蓮華さんが舌打ちをする。

「邪魔よ!」と、さらに上空から傲慢な声が響いた。

蓮華さんはその気配に気づいてパッと後ろに跳ぶ。

上空からルシファーが魔剣ルシフェルを構え、サタンが自身の腕を禍々しく巨大な斧に変形させ、そしてアスモデウスがなぜかベルゼブブを武器のように両手で構えて(?)クラーケンに向かって急降下する。

「ぶち殺してやるわ!」とサタンが凶悪に叫び、

「うわああああああ! アスモデウス! やめてえええ!」とベルゼブブが泣き叫ぶ。

「ふふふ、口を開けなさいベルゼブブちゃん❤︎」と、アスモデウスは聖母のような笑顔でベルゼブブをクラーケンへ突き出す。

クラーケンの大きく凹んだ場所の中心へ、サタンの斧とルシファーの剣が一閃。

ズッパァァァァァァァァァン! と、真っ二つに両断されるクラーケン。

「さ! 食べていいわよ〜!」とアスモデウスが微笑む。

「無理無理無理無理! もっと小さくして!」と涙目で叫ぶベルゼブブ。

「仕方ありませんわね! 【ゴールデンシザース】!」とマモンが悔しそうに加勢に入る。

マモンの持っていた金色の拳銃が、ジャキィンと巨大な金のハサミに変形した。マモンは両手で思いっきりそのハサミを閉じる。

バツン! と鋭い音を立てて、クラーケンの巨体はさらに綺麗な4等分へと切り刻まれた。

「くっそおおおお! あぐん!」と、ベルゼブブが巨大化させた口で、細切れになったタコの肉をすべてダイナミックに吸い込んでいく。

「ゲップ!」と、下品に大きな満足の息を吐き出すベルゼブブ。

「お……、終わったのか?」と、お雇い船長が呆然と呟く。

「ど、どうですかね……」と僕が恐る恐る海を見つめる。

「クラーケンの魔力反応が完全に消えたわ。終わったわね」と、エヴァさんがようやくホッと胸を撫で下ろした。

こうして巨大タコUMAのクラーケンは、悪魔たちと蓮華さん、そしてベルゼブブの胃袋で、あっけなく討伐されたのだった。

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