Number.24 ブルー・ケントゥリア
二人が向かった先は、無数の岩山が立ち並ぶ土地。そもそもこの世界は、岩か砂か、使い物にならなくなった文明の跡ぐらいしかないのだが......その中でも特に岩が多い地帯ということだ。
人は過去も今も住んでいない。かつては豊富な鉱物資源が眠っているという理由で鉱山がいくつかあったようだが、既に打ち捨てられているそうだ。
二人を見送るミナトを眺めながら、隣に立つ部下との会話を続ける。
「"狐"のマークを付けたデセアトか....."ブルー・ケントゥリア"で間違いないだろうな......」
「私もそう思います。しかし、やつらが表に出てくるというのは......これまでの活動を考えると信じられませんが......」部下の言う通りだ。"ブルー・ケントゥリア"とはいわゆる暗殺部隊、裏の任務を担当する部隊だった......まあ、魔王のおかげで、もはや魔王軍には裏も表もなくなったのだが......。
「"ディハームスキック・ディフィック"......あいつが、何か勅命でも下されたのかな?」
また一体、砂になった。
同胞がやられても、こいつらは微動だにしない。涙も流さないし、恐怖で震えることもない。
それを分かっているからこそ、目の前で憤っている私の上官も容赦なく潰しているのだろうが......。
「ディフィック様、おやめください。デセアトが減ると戦力不足につながります。」
「あぁー?そんなことは分かっているんだよ......!しかし......やはり落ち着かん!!」
私が止めたのは、上官がデセアトの首を掴んでいるときだった。掴んでいる、といっても低身長の彼の手はデセアトに届いていない。デセアトを掴んでいるものは何もない。しいて言うなら、エネルギー......なのだろうか?
彼が得意とする魔法はそういうものなのだ。何らかのエネルギーが、彼の意志に応じて現れて攻撃する。
「僕とお前が、魔王城に戻っている間に赤髪の小娘を連れた一行が現れて?その上そいつらに部隊の半分を潰された......だとぉ!?そんなことが認められるかぁ!」
上官は、怒りに任せて首を掴む力も強めている様子だった。
「奴らの居場所は!?分かってるんだろうなぁケイ!!」
「......分かってはいますが、どうやらケントゥリア・1がいるところに向かったみたいです。ザツィクル様の。」
また一体、デセアトが砂になった。
段々、一つ二つと巨岩が増える様子を横目に、フィティと共に指示された場所に向かう。
これでフィティに傷でもついたら、ミナトは怒るだろうなぁと、腰の剣に手を置きながら周囲を警戒する。
フィティは不安そうな顔で、目線を下にしながら歩いている。
「ん......」岩陰の向こう、かすかな光が見えた。
あの向こうにいるのだろう。フィティを残し、先に様子を見ることにした。
一歩一歩、バレないように慎重に、光に向かって近づく。
何かに気が付いた。
光の向こうに、敵は本当にいるのか?これ、罠ではないのか?
その考えが深まるにつれて、周囲の岩陰から何かが見つめているような気がしてきた。
不安が深まり、とっさにフィティの方を向いて走った。




