Number.21 共食いの仲間入り
あのしつこいハイフィスたちが、今回は追ってこなかったことが気がかりだった。
いつも彼の隣にいる血色の悪い魔法使いが止めたのかもしれない。いやそうなのだろうと心の中で納得することにした。
3人......いや、杖で手がふさがっている少女を除いた2人が持てる限界の武器を抱え、レジスタンスのアジトへと帰還することにした。
我々をここまで案内してくれた不愛想は、どうやら先に帰ってしまったらしい、まあ分かってはいたが。道を覚えていて幸いだったというところか。
「あーそうだミナト。お前俺たちを助ける時に妙な技使ってなかったか?」
「そういわれてみれば......剣から何かが飛び出していたような気がします。」
シスクトに加勢してフィティまでもが聞いてきたのは、とっさに使った"あれ"のことであることに違いないだろう。
さて、どう誤魔化したものか。聞かれるとは思っていたが、特に良い言い訳を何も考えていなかった。
「んー、あれはショック・ブレードって言ってな。」我ながら見事な言い訳だ、と思った。
「俺が考えた技なんだけど、剣を思いっきり振り下ろして衝撃波を飛ばすんだよ」
「ほーん、随分はっきり見えるんだな。」
「そ、そそそうなんだよ!そーゆー技!!」最後少し動揺したが、大丈夫だろう。多分。
「そ、それで...招待状をいただけると...?」
「ああ、君と...君のお仲間全員分だね?君たちには十分な働きをしてもらったからねぇ。」
「は、はぁ...」
当然、舞い上がりたい気持ちも十分にあった。しかし、ある疑問が足かせとなって私を地面に捕えていた。
やはり腑に落ちない。あの戦闘はそこまで価値のある物だったのか?我々の実力を測るに足りる物だったのか?
「......どうしたのかね?いろいろと納得できない点があるようだが...黙って受け取っておくのがここでは妥当な判断だと思う。」
この人物はどうも気に入らない。だが、そう言われてしまえば何も言えなかった。
諦めて頭を下げ、おとなしく招待状を受け取ることにした。
「ウィンドヘグ・ジャッジ......?」彼が差し出した招待状には、彼の直筆だろう文字で、確かにそう書かれていた。
ウィンドヘグ......ジャッジ......どこかで聞いたことがある気がするなぁなどとぼんやり考えながら、頭を下げて真っ白な部屋を後にした。
外で心配そうに待っていた仲間たちに、堂々と招待状を見せつけた。
「これが魔王軍への招待状。私の名前と、君ら全員分ということを表すものが書かれている。これを持って魔王軍の受付に行けば、晴れて我々も共食いの仲間入りだ。」
それを聞いた仲間たちはホッと息をついた様子だった。スドキヨクルはいつも通り笑顔ひとつ浮かべていなかった。
「......ほんでハイフィス、その魔王軍の受付ってのはどこにあるわけだ?」不意にスドキヨクルが尋ねた。
「んー...えっと......案内板があるっていう話だったんだけど......」
焼けてしまいそうな日差しの下、またしても瓦礫の上に座ってぼんやりと目の前を眺めていた。
そして目の前にいるのは、やはり杖を振るフィティであった。
無事に武器を届けてから少しした後、フィティからの呼び出しを食らって来てみたのだが......。
朝から昼まで何度も何度も潰れた花に向かって杖を振っているが、やはり然したる変化はなかった。
強いて言うならば風を受けて花が少し揺れたこと、ぐらいだろうか。
そして、結局何の進展もないままに呼び出しを食らうところまで同じだった。
ショック・ブレード
分類:剣技?
ミナトが考案した技。
剣を振り下ろしたときに生じる衝撃波を、そのまま攻撃に使用する技。
彼曰く、魔法は使用していない......らしい......




