Number.19 狐
「好事魔多し」と言うではないか。
上手くいっているときほど邪魔が入る、ということだ。
ハイフィスのお陰でこちらの位置がバレてから、隠れるのはやめて強行突破で武器を奪うことにした。
わずかな隙を狙ってデセアトの手首を切り落とす。宙に浮いた武器を素早くつかみ取って向こう(シスクトやフィティがいる方)に投げる。あとは何もできなくなったデセアトを処理する。
特別に難しいことでは無かった。デセアトの武器は砂を一掴みした程度の重さしかなかったし、手首も信じられないくらいあっけなく斬り落とせた。
1体、2体、3体......斬り落とす手首の数、破壊したデセアトの数は時間と共に増えていく。
建物からは、次々とデセアトが出撃、こちらに向かってくる。
倒しても倒しても際限なく現れるデセアトに、流石に疲れが見え始めた。
「この......いい加減!!」一太刀でデセアトを破壊する。本体と一緒に消える前に武器を回収する。
その中に、奇妙なマークがついた個体がいることを見逃さなかった。
「"狐"......?」
何十体破壊した頃だったろうか。デセアトと武器に夢中になりすぎて、二人のことを忘れてしまっていた。
流れ作業のように武器を投げつけていたせいで、目を向けることもしていなかった。
「しまっ......」1体を破壊した後、慌てて後方にいる二人に目を向けたが、その時には既に手遅れであった。
デセアトの破壊(なんでか武器を集めているようであったが)に夢中のミナトが、ようやくこちらに振り向いた。
だが遅い。こちらは既に全ての準備を完了し、退散に取り掛かっているところだ。
この小柄な少女......フィティとか呼ばれていたこの、赤髪の少女をペリセデューの管理者への手土産にする。
本当はあの"使い魔"に我々の戦いを見せつけてやりたかったところだが......こうなれば仕方あるまい。
「こいつは連れて行く!そこの、"連れ"も一緒にな!」仲間をぶっ飛ばしたやつ......シスクトとやらも捕まえている。それを見せつけるように、ミナトに向かって呼びかけた。
「シスクト!フィティ!」急いで二人のところへ向かおうとしたが、それを邪魔したのは1体のデセアトだった。
「また、"狐"の......!」他のデセアトに比べ、やけに強かった個体。それが、あろうことか武器を捨て、長剣を片手にこちらへ斬りかかってきた。
自分と相手の剣が、鋭くぶつかり合う。
デセアトとは思えないほどの......「こっ...このパワー...」信じられないことに、こちらが押し負けていた。
「うっ......焦っている?」たかがデセアト、いくら性能がいいとは言え、ここまで押されるとは...。
やりあっている間に、ハイフィスたちは青白い光に包まれていった。
"テレポート"だ。あの光が消える頃には、あそこにいる奴らは全員どこかへ消えてしまう。
それまでに......この"狐"を...!
「うぐ......この...生意気!!」やっとの思いで、"狐"の剣をはじき飛ばす。
その隙を当然逃さず、"狐"の上半身と下半身を斬り分けてしまった。
砂のように崩れ去る"狐"を横目に、光に包まれていくハイフィスたちに向かって走った。




