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フィフロスヴ  作者: 煎茶
魔法使いの章
19/30

Number.19 狐

「好事魔多し」と言うではないか。

上手くいっているときほど邪魔が入る、ということだ。

ハイフィスのお陰でこちらの位置がバレてから、隠れるのはやめて強行突破で武器を奪うことにした。

わずかな隙を狙ってデセアトの手首を切り落とす。宙に浮いた武器を素早くつかみ取って向こう(シスクトやフィティがいる方)に投げる。あとは何もできなくなったデセアトを処理する。


特別に難しいことでは無かった。デセアトの武器は砂を一掴みした程度の重さしかなかったし、手首も信じられないくらいあっけなく斬り落とせた。


1体、2体、3体......斬り落とす手首の数、破壊したデセアトの数は時間と共に増えていく。

建物からは、次々とデセアトが出撃、こちらに向かってくる。

倒しても倒しても際限なく現れるデセアトに、流石に疲れが見え始めた。


「この......いい加減!!」一太刀でデセアトを破壊する。本体と一緒に消える前に武器を回収する。

その中に、奇妙なマークがついた個体がいることを見逃さなかった。

「"狐"......?」


何十体破壊した頃だったろうか。デセアトと武器に夢中になりすぎて、二人のことを忘れてしまっていた。

流れ作業のように武器を投げつけていたせいで、目を向けることもしていなかった。

「しまっ......」1体を破壊した後、慌てて後方にいる二人に目を向けたが、その時には既に手遅れであった。


デセアトの破壊(なんでか武器を集めているようであったが)に夢中のミナトが、ようやくこちらに振り向いた。

だが遅い。こちらは既に全ての準備を完了し、退散に取り掛かっているところだ。

この小柄な少女......フィティとか呼ばれていたこの、赤髪の少女をペリセデューの管理者への手土産にする。


本当はあの"使い魔"に我々の戦いを見せつけてやりたかったところだが......こうなれば仕方あるまい。

「こいつは連れて行く!そこの、"連れ"も一緒にな!」仲間をぶっ飛ばしたやつ......シスクトとやらも捕まえている。それを見せつけるように、ミナトに向かって呼びかけた。


「シスクト!フィティ!」急いで二人のところへ向かおうとしたが、それを邪魔したのは1体のデセアトだった。

「また、"狐"の......!」他のデセアトに比べ、やけに強かった個体。それが、あろうことか武器を捨て、長剣を片手にこちらへ斬りかかってきた。

自分と相手の剣が、鋭くぶつかり合う。

デセアトとは思えないほどの......「こっ...このパワー...」信じられないことに、こちらが押し負けていた。


「うっ......焦っている?」たかがデセアト、いくら性能がいいとは言え、ここまで押されるとは...。

やりあっている間に、ハイフィスたちは青白い光に包まれていった。

"テレポート"だ。あの光が消える頃には、あそこにいる奴らは全員どこかへ消えてしまう。

それまでに......この"狐"を...!


「うぐ......この...生意気!!」やっとの思いで、"狐"の剣をはじき飛ばす。

その隙を当然逃さず、"狐"の上半身と下半身を斬り分けてしまった。

砂のように崩れ去る"狐"を横目に、光に包まれていくハイフィスたちに向かって走った。

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